ー決意ー
イオリとシオンが山の頂きに到着すると、
そこにあった木々は綺麗に消えて
山肌が綺麗に露になっていた。
その土色一色の地面の一ヶ所が、
血だらけなのを除けば、だが。
ーー!!!!????な、な、な、何でこんなに血が!!??ーーー
「・・・何でこんな状態なのか説明してよアカズサ。」
2人は無事にアカズサとクロサギに合流したが、
アカズサの片腕がもげている光景に衝撃を受けた。
っと言っても、衝撃を受けたのはシオンだけで、
イオリはアカズサに冷たい目線をくれているだけだ。
「・・・・・・いや、ごめん。
勘違いしないでくれ、
俺が勝手にやった事で
クロサギが何かしたわけじゃないんだ」
ーーだ、だ、大丈夫ですかアカズサさん!?ーー
「・・・・じゃあ何か、お前が自分で自分の腕を切り落としたって言うのかよ。
一体どんな事情があったらそんな事になるんだ・・・」
イオリは、アカズサの様子に呆れ顔で見ていたが、
シオンはオロオロとアカズサの回りを行ったり来たりしている。
「シオン、怖がらせてごめんな?
シオン達が来る前にはくっつけておこうと思ったんだけどさ、
いざ考えてみたら、ハハハッ
どうすればくっつくのか分かんなくッ
ガンッ!!!!
ハニカミながら言うアカズサの能天を、
イオリは思い切り手刀を振り下ろした。
「笑い事じゃない。
この緊急時に何考えてるんだよ、この大馬鹿者が!!!」
「〜〜〜〜〜〜ッ!!!!
・・・・・・わ、悪かった!!!
ごめん
イオリ、頼むから
そのゴミを見るような目はやめてくれ!!!」
ーー・・・あ・・あははは・・・ーーーー
「おいテメェ等、遊んでんじゃねぇよ。」
アカズサが、目線でイオリに殺されかけていると、
クロサギが呆れたように話しかけてきた。
「随分余裕だな、
(クソ親父)がどう出てくるか分からねぇってのに
・・・こんなヤツ等にこの世界の命運を任せた
〈管理者〉共の神経を疑うぜ。」
クロサギはそう言い、シオンの方に歩いてくる。
すると、怖くなったシオンがビクリと肩を弾ませたので、
イオリは無意識にシオンの前に出た。
「・・・・何。」
「ネコに用はねぇ、
どけ。
・・おいガキ。」
ーー・・・!!!!は、はい。ーーーー
クロサギの威圧に、シオンはオロオロとしている。
「ったくめんどくせぇな、いちいちビクつくんじゃねえよ。
取って喰わねえからこっちこい。」
クロサギはそう言うと、手のひらを上下させながら
シオンに顎で此方に来いと促している。
シオンは、クロサギの残酷な一面を見ているだけに
どうしたら良いのかと不安気にイオリとアカズサを見やるが、
2人も、人間相手に話をしようとするクロサギを見たことがないため、
行動を計りかねているようだった。
黙っていて、また機嫌を損ねてしまってもいけない、
シオンは思いきってクロサギに近づいた。
ーー・・・・・な、何ですかクロサギさん。ーーー
ピクッ
「・・・・・クロサギさん、だと?
あああ首がムズムズしやがる!!!おいガキ、
次さん付けで呼んだら殺すぞ。」
ーー!!!!ご、ごめんなさい!ーーー
クロサギの脅し文句にすっかり竦み上がってしまった
シオンは慌てて謝罪したが、
「・・・・・・・・」
クロサギは無言でシオンを見ている。
ーー・・・・・・?????あ、あの・・・・・???ーーー
「・・・・やっぱお前からは何の力も感じねぇな。
たかが人間のガキのクセに
コッチでよく生きてられたもんだ。」
クロサギはシオンを見てからそう言うと、
徐に腕を掴んできたので
思わずシオンは身構えた。
ーー・・・!!!ーーー
「おいガキ、
言っとくがヘマしたらただじゃおかねぇぞ。
〈クソ親父〉は今はバケモンだが、
元は〈管理者〉だ。
怪しまれたら瞬間テメェはアイツの腹ん中か、
精神を破壊されてめでたく人形にされるかのどっちかだ。
それが嫌なら死ぬ気であの〈クソ親父〉を騙せ。
分かったか。」
ーー・・・・・は・・・・・・・はい・・・ーーー
そこに、堪り兼ねたイオリが口を挟む
「おい、シオンを追い詰めるような事を言うなよ!!!」
イオリの言葉にクロサギも噛みつく。
「ああ?本当の事だろうが。
いざとなったら守って貰おうなんて思うな。
所詮コイツ等程度の魔力じゃ無いも同じなんだよ。」
クロサギはそう言うとイオリとアカズサの方を睨む。
3人のやりとりをそれまでアカズサは黙って聞いていたが、
口を開き
「・・・確かに、俺達の魔力じゃ
束になってもオワリに傷一つ付けられない。」
その言葉に、イオリは信じられないと言う顔をする。
「!!アカズサ、お前まで何言うんだよ!?」
「・・・でもそれは、
作戦が失敗したらの話だ、
そんな話をするのは愚行だろうクロサギ?」
アカズサは、含みのある笑みでクロサギを見つめた。
「・・・・テメェ何が言いてぇんだ。」
アカズサの言い方にクロサギがイライラして睨むと、
アカズサは真っ直ぐにクロサギを見つめて
「今回の作戦は失敗しない。
シオンの後ろには俺も、イオリもいる。
そして何より、
・・・お前がいるんだ、クロサギ。
お前程の魔力を有した男がいるって言うのに、
・・・まさか、失敗すると思ってるのか?」
その、挑発とも取れるアカズサの言い様に、
クロサギはピクリと眉を動かし
アカズサをギロリと睨み付けた。
「・・・ああ"?
ケンカ売ってんのかテメェ
この俺が付いてて失敗なんて
あり得ねぇだろうが!!!」
その、クロサギの怒号に、
アカズサはニヤリと笑みをこぼし、
イオリとアカズサは、
クロサギの突然の意気込み様に驚きを隠せなかった。
「・・・・・なるほど、
結局さ、アイツはアカズサの〈対〉だから
自分自身をよく知ってる(兄)の方が一枚上手って事なのかもね。」
イオリの言葉に、シオンは目を丸くして
見つめるばかりだったが、
オオオオオォオオオオオアオオ
ーー!!!!!?????!!ーーーーー
シオン達のいる山の一つ向こうから
おぞましい雄叫びの声が
響き渡った。




