ー同族嫌悪ー
私は、その場にヘタりこんでしまった。
・・・・よ、
よかった。
**・・・・・アカズサ様・・・・・
今のは・・・・どういう意味でございますか?・・・・**
ケケちゃんは、アカズサさんからの説明で、
カンヌイさんと私が、
眷属でもって繋がっていると言う事実を知ると、
まるでこの世の終わりのような顔をして、
驚愕していた。
** !!!!!な、
・・・・・何て酷い事を・・・・!!!???
ああ、シオン様・・・・・・
さぞ・・・
さぞやお辛いのでしょうに、
健気に振る舞われて・・・**
ケケちゃんは、かなり動揺している様子だったけど、
私は、まだその場にうずくまるカンヌイさんが、
気になって、
声をかけた。
ーー・・・・カ、カンヌイさん、
・・・大丈夫ですか・・・・?ーー
「ゲホッ!!
ゲホッ!!!
・・・な・・何だアイツ・・・!?
・・・いくら、
力が半減したとは言えこの俺が、
ドブネズミ程度に、何で吹っ飛ばされるわけぇ?・・・」
カンヌイさんは、
いつものようにヘラヘラとした表情を装っているけど、
かなり動揺しているのが、
私でも分かる。
そこへ、ケケちゃんが私の前に身を乗り出して、
私とカンヌイさんの間に入ると、
険しい目付きでカンヌイさんを見下した。
**・・・あら、引きこもりの人形狂いは知らなかったのかしら?
私は野ネズミ一族。
お前は薄暗い場所がお似合いのハリネズミ一族です。
・・・お前等ハリネズミ一族は、
元々モグラ族の生き残りなのだし、本来なら我々と同類とは思いたくもありませんが、
イオリ様や、アカズサ様に対してその魔力を
100%で出しきれるお前でも、
同類である私には、そうはいきませんよ。
そもそも、戦闘種族でもない野ネズミ一族が、
ここまで生き残って来られたのは他でもない・・・
・・・・その情報網の広さ故です。
私達野ネズミ一族は、
その昔、お前達ハリネズミ一族から受けた裏切りにより、
一族の大半を失いましたが、
我々は情報網を駆使し、お前達の特性を調べ、
それに対抗できるだけの知識と、
体術を取得してきました。
その上、お前は私を相手にしては、その魔力の
25%程しか発揮できません。
・・・故に、お前は私に負けたのです。**
・・・・まるで、別人の会話を聞いているようで、
私は、開いた口が塞がらなかった。
何とか内容を理解しようと頭をフル回転する。
やっと理解できた事を纏めると、
ケケちゃんの一族は、
昔、カンヌイさんの一族に壊滅的な被害を受けて、
それに対抗手段を得ようとあらゆる情報網を探り、
心技体を会得し、
その被害は、食い止められたと。
・・・それで、
ケケちゃん達ネズミ一族と同類の種族間の争いには、
<魔力>の解放に制限があり、
それを知らなかったカンヌイさんは、ケケちゃんの攻撃を
弾き返す事が出来なくて、敗北し、今に至った・・・
・・・・そんな感じかな・・・。
私が脳内で情報を整理していると、
ケケちゃんは、
汚いものでも見るような目付きでカンヌイさんに口を開く
** ・・・常に油断しない事です。
眷属だからと、安心していたら、私に寝首をかかれますよ。**
すると、カンヌイさんはイライラした表情を隠さずに
ケケちゃんを睨み付ける。
「やれるもんならやってみなぁ?
さっきは油断したけどさぁ、
あまり俺を舐めるなよぉ?
死んだ方が良かったと思わせてやるよぉ♪」
カンヌイさんは、不気味に笑っている。
私は、カンヌイさんを自分の眷属にした
夜王さんを、少し恨んだ。