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ユメモノガタリ~2~  作者: 久川 りつき
21/51

ー見知らぬ人ー



3人が振り返ると、そこには


山暮らしには不釣り合いな服装の男性が立っていた。


私はその男性を見る。



黒と茶色の柄が入ったタキシードのような服を着ている。


手には白い手袋をはめて、


首には紐のような物にブローチのような物が付いている。


靴は、黒い、革靴だろうか、



私は、あまりに景色に浮いているその人の顔を見る。



歳は30代~40代位、


えっと、あれは、何だっけ。



モノクル?



片目に眼鏡をかけている。



髪は真っ白で、まるで雪のようだった。





<フフッそんなに見られたら、



穴が空いてしまいそうですね。>




ーー・・・・・!!!!!!!す、すみません!!!!ーー




や、やってしまった、



雪深い山奥なのに、



まるでこれからパーティーにでも行くのかと思うような


男性の出で立ちに、思わずじっと眺めてしまった。




「・・・・あの、



失礼ですが、この小屋にお住まいですか?」



アカズサさんは、普段の口調ではなく、


丁寧に質問している。



<ええ、もうかれこれ1000年程は。


さて、こんな吹雪の中に、私に何かご用でしょうか?>




「・・・・すみません、


実は、俺達は遠く南の方より人探しに来ていまして、


情けない話、ここまでの極寒とは知らずに来たため、


このように薄着で、凍えそうで困っているのです。


もし叶うのなら、貴方様の住まいに、


せめて、吹雪がやむまで身を置かせては


貰えないかと。」




アカズサさんは、そう言うと先程まで平気な顔をしていたが、


両肩をさすり、寒そうに振る舞った。



<おやおや、それはいけませんね、


どうぞ早く中にお入り下さい、


調度今、暖炉に火をくべて、野菜をたっぷりと使ったスープを作っています。


大したもてなしは出来ませんが、



さあどうぞこちらへ、



レディ。>



すると男性は私に近づき、


滑るような手つきで私の手を取ると、


その手の甲に顔を近づける。






・・・・・









・・・・・え・・・・・?








・・・・・って、・・・・え・・・・??



<・・・・おや、



申し訳ありません、寒さに震える可憐なレディを



エスコートしようかと思い


手を差し出したのですが、お気にさわりましたか?>



私は、あまりに突然の事に呆然としていたようで、


その言葉にハッとして顔を上げると、


イオリくんは私を抱いたまま後退りし、


アカズサさんは私とイオリくんの前に立ちはだかっている。



ーー!!!!????ど、どうしたんですか2人共!?ーー





<・・・ふむ、その子達は少々文化が違うのですね、


これは大変失礼を致しました。


さあ、ここで話をしていては風邪を引きます、


中へご案内致しましょう。>



男性はそう言うと、


私達にお辞儀をすると、ゆっくりと家の中に入っていってしまった。



「・・・・・・」


「・・・・・・・。」



2人はただただ固まっている。



ーー・・・・・あの、2人共、大丈夫ですか?ーー



私が心配になって声をかけると、


2人同時に私を見る。



「シオン!!!


大丈夫か!?


急にシオンに接吻をしようとするなんて、危険かもしれない。



やはり家に入るのはやめた方がいいか・・・」



「・・・・・・・お前、自分が何をされそうになったかわかってんの?」




2人ともが同時に話始めるので、


私はどっちを向いていればいいのかが分からず、



視線を行ったり来たりするはめになった。



ーーちょ・・・・ちょっと待って下さい!!ーー




「「・・・??」?」



ーー・・・多分、今のは挨拶の類いですよ。


見た感じ、ーアチラ側ーの、私の国でも無さそうでしたし。


外国の方なんじゃないかと思います


さすがに突然だったので驚きましたけど、


確か、外国にはそんな挨拶があったと思います。ーー


私が、2人に説明をすると、


しばらく怪訝そうな顔をしていたけど、


何とか納得してくれたようだった。




「・・・・・ー外国ーと言うのは、


随分と失礼なんだな、まあ、そう言う文化なら、


仕方ない・・・・とはならないがな。」


「・・・とにかく、アイツが<時の番人>の可能性だってある。


まずは話を聞いてみよう、


そのあとで、※どうにでもすればいいしね※。」





・・・・・イオリくんが何か恐ろしい事を言っていたような気がしたけれど、


私達は、アカズサさんはともかく、


本当に凍えそうだったので、


とりあえず家に入らせてもらう事になった。


私は、イオリくんに言って玄関で降ろしてもらうと、


アカズサさんの次に中に入る。


すると、フワッと温かい空気が体を包んで、


とても心地が良くなる。




家の中は、外のイメージと全く違った。


外観から、床は木製だと思っていたらタイル張りの石だ。


でも、足は冷たくないから不思議だ。



玄関で立っていると男性が声をかけてきた。



<ああ、靴を履いたままで結構ですよ、


上着をお預かり致します。>



男性はイオリくんに手を差し出している。




「・・・僕は寒いし、このままでいい。」



<おや、そうですか?



ではレディ、その濡れた上着を着たままでは風邪を引きます、


どうぞ、コチラに掛けますので。>



私がおずおずとアカズサさんの上着を渡すと、


男性は上着を丁寧に受けとると、


玄関の端にあるハンガーポールに掛けてくれた。



ーー・・・あ、あの・・・・ありがとうございます。ーー




<いえいえ、では奥にどうぞ、


スープも用意していますし、


今朝焼いたばかりのパンもありますよ。>





ギュルルルルルゥーーー




「・・・・・。」



<・・・・・>






ーー・・・・・・・・!!!!!!!!!!ーーーー





・・・・・イオリくんがコチラを睨んでいるぅ!!!!!!





な、







なんで、








なんでまた空気を読まずに鳴るんだ私のお腹!!!!?????




私は恥ずかしすぎて死にそうな顔をしながら、


チラリと男性を見ると、



急に男性は両手をポンッと叩いたかと思うと




<これはいけませんね、


レディの前でお聞き苦しい音を立ててしまい失礼致しました。


先程まで木の実を取りに行っておりまして、


ランチをまだ頂いていませんでした。


やれやれ、私としたことが。>



男性は、自分のお腹が鳴ったと言っている。


・・・




・・・・え、もしかして





・・・・私の事を庇ってくれたのかな。・・・・



男性はさてさてと、


暖炉に掛けてあるお鍋の中から美味しそうなスープを、


真っ白な平たいお皿に注いでいく。






・・・・・





「おい。」





ーー・・・・!!!!!ひ、はい・・?ーー





急にイオリくんが話しかけて来たので、


私は一瞬変な声を出してしまった。




「・・・・さっきの腹鳴りは、


お前じゃなかったのか。


・・・悪かったな、てっきりお前かと思った。」



・・・・







・・・・・いいえ、






・・あれは間違いなく私ですイオリくん。




私は、ダイニングテーブルに次々と並べられる料理を



また鳴ってしまいそうなお腹を押さえながら見つめた。




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