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記録  作者: 優希
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喪失感に気づいた日

 ここはかつて彼のいた場所だ。いくつかの廃墟はあるけれど…あの頃の面影は殆どない。そもそもここは人口減少によって打ち捨てられた場所だ。そんな所にわざわざ来る人などいない。けれど私にとっては彼の存在を感じられる場所だ…私は失ったのだろうか。それとも得ただろうか。よくわからない。記憶を手に入れて存在を失った…ここに来ると改めて思う…世紀が暮れて行くあの時と違って独りで生きていかなければいけないのだと…寂しさと何とも埋めがたいもやもやとした気持ちを感じながら、不安ではなかった。むしろ安心感に近いものを感じることができた。これが彼の遺した物の力だろうか。私の年齢には不釣り合いなほど多くの物を遺してくれた。そこまで気を使い困らないようにしてくれているのに…5年たっても消えない寂しさはどこから来るのだろうか…それとも…多くの事をしてくれたから寂しいのかもしれない…もしかしてこれは寂しさではなく喪失感なのかもしれない。そんな事を考えながら私は彼に「ありがとう。また思いだした頃に会いにくるよ。」そう届かぬ言葉を告げその場を去った。

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