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記録  作者: 優希
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テスト勉強

半ば拉致と言える状況で薫の部屋に連れ込まれテスト勉強をしている。薫は日本語と英語が苦手で、春香が数学と科学が苦手だったと思う。私と言えば、彼は日本語…彼の時代は国語と言ったか…と英語は大層苦手だったらしい…けれど、企画書やら報告書で散々穴埋めや抜き出しをしていたし、英語は頭痛と闘いながら論文を書いていたからテスト程度なら問題ない。そんな訳で先生代わりというわけだ…教えるのは別に良いのだけど、2人が問題を解いている間の暇の埋め方が分からない。昨日の謎のお菓子箱も気になるし…家庭訪問の事も気になる。私にとっては少し迷惑な状況に置かれている…この場でテスト勉強をしないわけにもいかない…本当に迷惑な話だ…ふと、彼が昔読んでいた小説の一場面を思い出した。SFで大人が子供に戻ってしまい、テストを受ける事になり歴史の年号や科学の用語が思い出せずにハマる様な描写があった。今まで失敗した事はないけれど嫌な事を思い出したことに変わりはない。兎も角、歴史の年号と科学の用語の確認をしておきましょうか。あれ…テストの範囲どこからどこだっけ…ま…良いか。教科書全部の年号と事件の名前を覚えておけば間違いない。そんな事を考えていると春香が「優希~ここの公式教えて~」と言ってきた。少し考えて…「春香…あなたの場合、公式より解くためのストーリー覚えた方がいいよ。」とアドバイスしてみる事にした。春香はよくわかっていなさそうに「ストーリー…?」と聞き返してきた。私は「そう。ストーリー。春香は推理小説読む?」と続けた。「少しは」という答えを聞いて、「じゃあ、それで説明しよ。問題の数式は現場の説明ね。悲鳴が聞こえた。悲鳴に驚いて来てみたらドアには鍵がかかっていた。ドアをぶち破って入ってみたらご遺体が転がっていた。包丁が刺さっている。犯人はいなくって窓も鍵がかかっている。ぶち破った一人が驚いて倒れた時に壁に触った。もう一人はご遺体を必死でゆすったから指紋まみれ。まあそんな感じね。」そう言いながら式を書き写す。春香に「長いよ…」と言われてしまった。「ごめん。ごめん。推理小説の状況説明と同じって事だけ分かればいいよ。そこまでは大丈夫?」と問いかけた。「大丈夫。」という答えに「次は犯人を特定する為に登場人物がいつ何をしていたか調べるよね。」と続けた。「で…X、Y、Zというのが登場人物の名前ね。」といったあたりで春香の顔色が怪しくなり始める。「分かった。もうちょっと分かりやすい話で説明しなおすよ。」と仕切りなおす事にした。春香は不安そうにうなずいている。「薫と春香と私がいて…おやつを置いてあったのだけど誰かが食べてしまいました。」と言ったところで薫が「え…?なに…?」と口を挟んできた。私は「数式の説明に使っているだけだから気にしないで。」と言ったところ薫が「え…何で?連立方程式でしょ?何で私が出てくんの?」と返してきた。ごもっともだ…私が「ほ…ほら…X、Y、Zで説明すると春香目が泳いじゃうからさ…」というと、春香が「え…?私目泳いでた?」と言ってくる。自覚がないらしい。大きくうなずきながら「おもいっきり」と言った私に、薫が左手をひらひらとさせながら「どうぞ続けて」と言わんばかりに目配せしてくる。私は「おやつを誰かが食べてしまったところまで説明したっけ。えっと…口々に私がいつトイレに立ったとか、春香が飲み物取りに行ったとか、薫がいつどこへ行ったとか言っているのが問題の数式ね。」と言いながら問題のX、Y、Zをそれぞれの名前に書き換えて写しとる。今度は明らかに春香の表情が明るい。どうも理解できているようだ。「で…このままじゃ全然分からないから、まずは春香の言い分から私がやった事を取り出すのね。この時どうすれば私のやった事だけ取り出せる?」と質問してみる。春香は少し考えて「私の言った事から私と薫がやった事を良ければいい…?」と少し自信なさげに答えた。私は「正解!同じように春香や薫のした事も取り出せば…一応聞いておくけど別の式使う理由はわかる…?」と続ける。春香は余り分かっていなさそうだ…そこで「式=言い分ね。1人の言い分だけで決めつけちゃ駄目でしょう。」というとああという顔をしていた。「それぞれのやった事は説明できた。次に薫と春香の式で私が登場してきている部分を、私がやった事で置き換えると…ほら私がやった事が分からなくても薫と春香のやった事だけで薫と春香のやった事を説明できる。」とさらさらと式をつづったところ春香は1つずつ指で追いかけている。ちょっと理解できているか不安だ…私の不安をよそに春香はゆっくりと理解できたようだった。私はそれを見計らって「同じように春香の式で薫が登場してきている部分を、薫のやった事で置き換えると…春香のやった事を薫や私がやった事と無関係に説明できるよね。」と続けた。今度はどうもすんなり理解できたようだ。「春香のやった事はわかったから、今度は薫と私の式に登場してくる部分を置き換えて、更に薫の式に登場してくる私の部分を私のやった事で置き換えると薫のやった事も分かる。」と言ったところ、春香は私からペンを奪い取って「じゃあ最後は優希の式に私と薫のやった事で置き換えれば…全員のやったことが分かるって事ね。」と言っているけれど…うん…私は「おしい。ここ見落としている。ここはこうね。」と訂正した。春香は「あ…そっか」と言いながら直してゆく。私は「最後にX、Y、Zは匿名の人を表すのにAさんとか使うでしょう。あんな感じだと思えばいいよ。次の問題自分でやってみ。」と言って歴史の教科書を読み始めた。隆盛を誇った西ローマがゲルマン人の大移動であっけなく滅び、スペインに後ウマイヤ朝ができいよいよフランク王国が分裂しようかという頃、薫から「ねえ…優希…何でそんなすらすら進められるの?」と聞かれた。ぼーっと年号を覚え続けていた私は「あ…ただ年号覚えているだけだから。」と用量の得ない答えをしてしまった。案の定薫は「年号だけ覚えてどうするの。起こった事も覚えないで。」と言ってきた。私の「起こった事の方は大体覚えているから。」という答えに薫は驚いた顔で「え!?何でそんなに覚えられるの!?」と聞いてきた。何でと聞かれても特別な事をした覚えはない。「ん~」としばらく考えて…「特別な事はあまりしていないけれど相関関係で覚えているからかな…」と答えた。春香が「相関関係?」と割り込んできた。薫は「あんたの考えている相関関係じゃないから。」というのに「突っ込みありがとう」と心の中で呟きながら「国同士、事件同士の相関関係。例えば…漢が匈奴を滅ぼせば、フン族として現れ、ゲルマン人の大移動を起こし、ゲルマン人が西ローマを滅ぼし、西ゴート、東ゴート、フランクを興す。みたいな感じ。」と言った。薫の反応は案の定この説明では理解できていなさそうでぽかんとしている。私は「紛争が起こると難民が出るでしょう。今だと難民は数か月で大陸を横断するけれど、地図も、電子機器も、ヘッドセットも無かった時代、太陽の登る位置と沈む位置だけで移動していたらからとっても時間がかかる。そうすると避難した先で国を作って原住民が新しい難民になったりして100年位かかったりするの。他にも戦争に負けたから今まで犬猿の仲だった国が同盟したり。戦争や事件が1個だけで起こらないで流れの中で起こる。だから相関関係。」と付け加えた。薫は一応理解したように見えたけれど「でも何で相関関係で覚えるの?」と聞いてきた。「1個1個の戦争・事件を見ていると何で国が滅んだか分からないけど、相関関係で見ていると周辺の国との関係で滅びたとか見えてくるの。あと忘れにくくなるからね。」と答えた。薫は何となく納得してくれたようだったが「それって凄く時間かからない?」と聞いてきた。私は「そうね。教科書全部でやろうと思ったら3か月くらいかかるかな。今なら期末テストには間に合うよ。」そう答えた。私の言った時間の長さが相当不服だったようで薫が嫌そうな顔をしながら勉強を再開した。結局その後外が暗くなるまで勉強会は続いた。明日からテスト前日まで続くのだろうか…まったく迷惑なものだ…迷惑なものだ……

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