日付が分からない日
「ねえ、薫。今年何年だっけ?」そう私は話しかけた。「2052年。てか、優希。今何月だと思っているの。5月。5月よ。」少し嫌味を含んだ返答に、「ん…ありがと。」と生返事をしながら封筒を閉じる。そんな事をしていたら、薫は前の席に座って私の前髪を触りながら「優希は良いよね。そうやってとぼけておけばみんなに可愛いって言ってもらえて。」と言ってきた。「良くない。子ども扱いはされるし、高い所に手は届かないし…一昨日とか頭の上にお皿降ってきたんだからね。」そうは言いながらも、小柄な事は満更でもない。何故ならこれは彼?私?…もう一人の私の愛情だからだ。私はもう一人の私と一緒に生まれた。彼とは9歳まで一緒にいた。ただ、成長とともに私は一緒にいる事が難しくなっていった。そんな時彼は、「あなたの気持ちが分かるからとても辛い。しばらく眠っていてほしい。いつかあなたが戻って来れるようにするから。」と言った。私は「困った時に人生経験豊富になっていると思う、あなたが助けられるようにして。」と条件を付けた。彼は条件を守っただけ。とはいえ132cmは…せめて、あと…10cmは欲しかった。彼は実用性を考えて融通を聞かせるという考えは無かったようだ。「優希、優希。ねえ聞いてる?」そう声をかける薫の声で我に返った。「そろそろ帰るよ。」と促され私は席を立った。