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歪な箱庭(仮)  作者: 主食がお菓子
1/3

男とネコと少女

学園モノ黒ファンタジーになる予定です。

突然舞い込んだ一通の手紙。


【 国立専門学園にて教員として採用されました】


身に覚えのない内容に、はじめはイタズラかと破って捨てた。


が、次の日目を覚ますと見知らぬ校舎を前に横たわっていた。これは夢かと頬をつねると痛い。どうやら夢ではないらしい。


周りは雑木林。街からだいぶ離れた場所だとわかるほどだ。やみくもに林の中を彷徨うか。


【 なお、これは強制執行の案件であり、貴方に拒否権はありません】



ふと、手紙の一文を思い出した。


俺はこの場に強制連行されたんだと、その時理解した。


ついてない。そう思った。

なぜなら国立専門学園のいろんな話を目にしていたからだ。主にネットで。


そこには様々な憶測が飛び交い、正直ホンモノとウソの見分けがつかない。が、どれもいい話ではない。


『国から手紙が届く→入学らしい』

『入学したら寮生活だから家族と離れ離れになる』

『卒業後は行政機関の職員かな? 安定の公務員じゃん』

『そもそも卒業した誰かを知ってる奴はいるのかよ』

『全員脱落説』


噂通り手紙が届いたが、20を越えた俺には入学ではなく教員としての採用だった。ここの職員は一般人から選出されるのか。が、その基準が全くわからん。


俺、教員免許なんて持ってないし、そもそも大学を中退してからバイトで食いつないでたんだけど。


「やばっ、今日のシフト! ……て、あれ? 」


携帯がない。


携帯がない=バイト先へ連絡できない=無断欠勤でクビ


「のぉおおおお」


まずい、お金がなきゃ生活が出来ない。仕方ない、事情を説明して電話を借りよう。そんで、きっぱり教員採用を辞退しよう。


そう思い校舎の中へ入ったが、早速迷ってしまった。

というもの、校舎内は白で統一され、まるで迷路の用に階段も部屋も見当たらない。


いくらなんでもこの造りはおかしい。


「おーい、誰かいませんか」


こだまする声に返事はない。


ここ本当に国立専門学園の校舎なんだろうか。実は既に廃墟で、何かの実験に使われているとか。で、俺はその被験者なんじゃー。


そんな事を考えていると、足元に1匹のネコがすり寄ってきた。………ネコ?


「なんで、校舎にネコ? 誰かのペットか、首輪がついている」


持ち上げても嫌がらず大人しい。じっと俺の顔を見つめている。不思議なネコだ。


「ここに何の用? 」


ばっと振りかえれば、金髪少女が立っていた。ここの生徒か? 大きなリボンが目につく。


「にゃあーー」

「おわっ」


少女の声に反応して、ネコが暴れ出した。手からスルリと抜け出し、走り去っていく。


「追いかけて」

「え? 」

「ここに用がないなら、あのネコを追いかけて」


意味がわからなかったが、少女の気迫に押されネコを追う。少しぽっちゃり目のネコだったが、思いのほか足は速いようでなかなか追いつかない。


だんだん近づいたと思ったら、隙間のある窓から外へ逃げていった。流石にこのサイズは通れない。


「早く行って」


「おわっ、後ろに立つなよ。びっくりするだろ」


「行って」


「いやいや無理無理。この隙間通れないし、これ以上窓も開かないから」


「行って」


えーー、窓割って行けってか。なんだよこの女、変な奴。


「早くって、もう遅かった」


何がと、ツーンと鼻を刺す匂い。これは嗅いだ事がない匂いだが、何かわかる。鉄の錆びた様な刺激臭。


「うわぁ、ああ」


引き裂かれた何か。その何かを考えるよりも前に、意識が途切れた。




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