5.実績解放
5km月5km1日一部内容修正
ティアからモンスターの解析結果がリポートされ、視界の左上に表示される。
「グレーウルフ1、距離20m」
ティアの肉声のエネミー情報を確認し、P90を構える。
大型のグレーウルフは、俺よりも小柄なティアに目標を定めたようで、俺の左側に立つティアに向けて駆け出した。
P90のセレクターをバーストに切り替え、ドットサイト越しにグレーウルフを捉える。視界の真ん中上部に【グレーウルフLv.10】という表示と残存体力のバーが表示される。
「WARS」では、アナライズするか、又は1度討伐したモンスターは、データが蓄積され、名称、レベル、体力が視覚化される。
移動距離を考え、いつものようにヘッドショットから、体を捉えるように指切りで、3点バーストで射撃する。
「WARS」では、実際の銃火器の操作が訓練できないように、銃火器の操作は簡略化されている。このP90も安全装置とセレクターとマガジンキャッチのボタンしかついていない。
レベル的にヘッドショットの1撃で削り切れそうだが、未踏破MAPの生物という事もあり、今回は万全を期して、3発撃ち込んだ。
目測通り、ヘッドショットの1撃でグレーウルフの体力は0になり、残りの2発はオーバーキルになった。
グレーウルフを倒すとファンファーレと共に、視界に【実績解放:初めての討伐】【MP1取得MP所持1】と表示された。併せて左下にEXP:100と表示された。
「MPってなんだ?」
HK416を構えていたティアが銃を降ろしながら、近づいてきた。
「おそらく、現在謎の転移後に使用不能になっているMODの横に数値がありますので、MOD解放に必要なスキルポイントのようなものではないかと?」
MODの解放用のポイントだからMPなのか?
そもそもMODって外部的なプログラムをゲームに取り込むものであって、「WARS」では、ポイントでの取得ではなく、プログラムの組み込みだったんだけどな。
ティアの言葉を受けて、タクティカルボードを起動し、メニュー画面を確認する。
その中からMODを選択すると、俺が「WARS」使用していた様々なMODが灰色に表示されている。
現状で機能している白抜きのMODは数種類で
・中世MOD
・銃火器追加MOD1
・乗り物追加MOD1
・採取物追加MOD1
・賢者の嗜みMOD
のみで、後は灰色表示の
・傭兵MOD:3P
・日本語化MOD:1P
・魔術MOD:3P
・プレハブMOD1:5P
・近未来MOD:100P
・地形生成MOD:300P
のように灰色のノンアクティブ状態のMODには、MODの横に数字が表示されており、ご丁寧に所持MPまで表示されている。
試しに傭兵MODを選択すると【MPが不足しています】と表示された。
日本語化MODを選択すると、【取得しますか?はい/いいえ】と選択肢が表示される。
なるほど、実績解放でMODが使用可能になるシステムですか・・・。
って、勝手にゲームシステムが変更されているんですが、どうゆうことだ?
「ティア、MOD解放型のシステムが追加されている件について、リポートって挙がってるか?」
ティアは首を振りながら
「そのようなリポートはアナウンスされていませんし、実績解放自体がほぼ機能していなかったような状態でしたから。」
たしかに、クエストや実績解放はゲームシステムとして存在していたが、形骸化していて、現在はほぼ機能していなかった。
MODの取得はとりあえず保留にして、仕留めたグレーウルフを確認する。
ゲーム上では、モンスターは解体することで様々な素材になる。
素材の解体のため、ホルスターからコンバットナイフを抜き、グレーウルフにナイフの刃を当てる。
もちろん何の知識も無いただの大学生の俺が動物をナイフ1本で解体できるわけがないので、そのモンスターの死体に解体効果のある武器を当てるという事に意味がある。
この解体のモーションを行うことで、グロテスクな惨状を見ることなくモンスターの死体は、素材に変換され、ストレージに収納される。
今回でいうと、【臭みの強い生肉×4】【狼の毛皮×1】【骨大×2】【動物の脂肪×1】となる。
また、ファンファーレと共に、視界に【実績解放:初めての解体】【MP1取得MP所持2】と表示された。
今度はEXP取得の表示はなかった。
俺は再度タクティカルボードからストレージに今手に入れた素材が収納されているのを確認したとに、ステータス画面を呼び出し、キャラデータを確認した。
俺のキャラクターレベルは200 経験値もレベル200(カンスト)になった時から入っていない。
「WARS」では、累計経験値性ではなく、次回レベルアップまでの必要経験値に対する現在の保有経験値での表示つまり
100/40000000EXP という表記になる。
次のレベルまで途方もない数字だかこれは、MOD【賢者の嗜み】のせいなのでここでは関係ない。
「レベルキャップが外れている・・・。」
問題はそこだ。現在の俺のレベルは200で現行バージョンでは、レベルは上がらないはずであり、システム上経験値は1も入らないはずなのに取得経験値と、必要経験値が表示されている。
「俺の知っているWARSとは、色々と違ってきているようだな。」
改めて、いつもの「WARS」ではないと感じ、より慎重に行動することを自分自身に命じた。
ちなみに【賢者の嗜み】MODはレベルアップ時に取得できるスキルポイントが2倍になる代わりに、レベルアップに必要な経験値が2倍になる有用MODだが、一般プレーヤーからは成長が遅い等の理由から敬遠されている。
MOD名の由来ははるか昔のゲームに、聖職者と魔術師の魔法を両方取得できる代わりに経験値が2倍かかるという上級職があり、MOD生産者がそのゲームのファンだったため【賢者の嗜み】と命名したそうだ。
彼のフォーラムには、本当は【識者の嗜み】と名付けて、鑑定機能も組み込みたかったようだが、周りの説得により、よりメジャーな【賢者】を勧められたと書かれていた。
周囲の安全を確認し、ティアに周辺の探索をお願いしながら、実績解放を実施することにした。
アックスで周囲の木を伐採し、サイズで草を刈り、ピックで岩を砕き、シャベルで土を採取した。
【実績解放:初めての伐採】【実績解放:初めての採取(土、草、木の実)】【実績解放:初めての採掘】【MP5取得 所持MP7】
森の中でできる採取職系のアクションはほぼ実行したので、当初の方針通り東に向かって前進することにした。




