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異世界サバイバルゲーマーはMODを駆使して生き残る  作者: 神崎由貴
第2章 ローランド王国編
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44.辺境伯家の人々

お待たせしました。

長らく時間が空いて申し訳ありません。連載を再開したします。

アービング辺境伯家の家令グレイさんに案内されて、辺境伯のまつ部屋に案内された。


案内された部屋には、アルスとマリーダ、二人と顔立ちが似た青年と口ひげを生やした仕立ての良い服を着た壮年の男性が座っていた。

恐らくこの男性がアルスとマリーダの父親で、アービング辺境伯家の当主、ウィーラー・フォン・アービング辺境伯に違いない。


俺達が部屋に入ると、アービング辺境伯が声をかけてきた。


「そなたがアツシ・トウジョウ殿か、娘とその仲間の命を救っていただいたこと、一人の父親として感謝する。」


そういって辺境伯は俺に対して頭を下げた。

辺境伯というこの国において高位の立場にある人物が、見ず知らずの男に対して頭を下げた事に驚愕する。

アルスやマリーダ、二人の兄と思われる人物が驚いていることから、やはり本来は辺境伯は一般人には、頭を下げたりしないもののようだ。


「アルスとマリーダの兄のライールだ。妹が世話になった。」


アルスとマリーダの兄らしき人物からも挨拶をされた。

さすがに辺境伯のように頭を下げないが、感謝の意を示している。

まあ、普通の貴族の対応はこんなものだろう。


アルスの話では、ライールは辺境伯軍の指揮権を辺境伯から預かっている最高指揮官の役職に就いている。


アルスは参謀として戦略的な部分で辺境伯軍を支えているが、ライールは辺境伯軍の士気を執りながらも、自身が最前線に立つ武人タイプの人物らしい。

【プロメテウス】の脚部位を受け継いでいるので、かなり素早い動きで、疾風という二つ名を持っているらしい。


「娘の恩人への挨拶も終わったので、本題に入ろうか。アツシ殿、そなたは何者なのかは、我々が詮索するべきものではない。アルスやマリーダの報告から推察することは出来るが、その結果として私が辺境伯として何か出来るかと言えば、恐らくはほぼ何もできないであろう。」


正体不明の武装した来訪者。

その正体を知りたいが、知ったところで今度はその対応に苦慮する。

ならば然るべきところに報告し、対応はそちらに任せる。

王国の辺境伯の力をもってしても、持て余す事案。

俺の扱いはそんなところだろう。


恐らく過去にも、俺と同じような状況の来訪者がいたのであろう。

この国の建国王もそのうちの1人であり、俺のように突然こんな訳の分からない世界に放り出されたら、元居た世界への帰還方法を探したことだろう。


辺境伯が何もできないと言うのであれば、恐らく帰還方法はこの国では発見できなかったのであろう。

マリーダから聞いた話では、建国王とその側近は、王国の宰相ただ一人を除き全員がこの世界で死亡している。


建国王に匹敵する武力と装備を有する俺達に対して、拘束することや武器等を接収することは辺境伯単独では不可能であり、敵対せず、深く追求もしないという意思表示にも受け取れる。


俺も帰り方が判らないからといって、自暴自棄になり暴れたり、あふれる戦闘力をかさに、国家の簒奪を狙うほど破綻した性格をしているわけでもない。

国を動かすという事は、その国家に属する人間の生命および財産を保護する責任が付帯する。

そんな面倒な仕事は、それが自分の仕事だと生まれた時から教育されている王族がやればいい。

先日までただの大学生だった俺に、そんな責任のある仕事は務まるとは思えないし、胃が痛くなることばかりが想像できるので、進んでやる必要はない。


ここは辺境伯、ひいてはこのローランド王国をビジネスパートナーと考えて、自分が過ごしやすい環境づくりに勤しんだ方が気持ちの上でも楽だ。


「お気遣い感謝いたします。アルス様からお話は伝わっていると思いますが、探索者協会の運営につきまして、辺境伯軍の管轄から切り離して、我々に運営をお譲り願えないかと考えております。」


俺は、事前にアルスに打診していた探索者協会の運営権について切り出す。


「いきなり探索協会の運営権をよこせと言われても、探索者協会には辺境伯軍の戦力の一翼を担ってもらっている。そのような話、現状では我が辺境伯軍の戦力低下にしかつながらない。魔境を背後に抱える我が辺境伯家としては、簡単に了承することは出来ない。」


辺境伯軍の指揮官として、ライールがまず発言した。

辺境伯軍の総数は戦闘要員が約2000名、質はバラつきがあるが探索者は500名以上が登録している。

人数だけとれば、1/5の人員の指揮権が辺境伯軍から削がれることになる。

運営権をどこの誰とも知らないヤツに投げて寄こすことは絶対にありえない。


「運営権については、クエスト関連についての運営と報酬についてのみを譲渡していただきたいと考えております。既存の緊急時の動員権や討伐、調査の依頼につきましても、従来通り辺境伯軍から受けさせていただきます。組織の運営に掛かるコストと報酬関連の費用がこちら持ちになるので、辺境伯軍は資金的に余裕が生まれると考えますが。」


まずは、組織の運営についての透明性と、従来通りの権利を認め、資金面で辺境伯軍を圧迫している部分を軽減するところから話を進める。


「確かに探索者協会の運営に掛かる費用は莫大であり、依頼関連についても、各村や各個人の依頼以外の討伐や調査については、辺境伯軍の資金からの持ち出しとなっているが、それも含めて必要な経費と考えている。」


自身が前線に赴く武闘派のライールだが、さすがは【プロメテウス】を受け継ぐ魔術師の家系、弟のアルスに資金等の運用は任せてはいるが、辺境伯軍の金の流れは把握している。そのうえで、必要な資金と割り切っている。


「探索者の運用につきましては、魔境の開発に伴う討伐に重点を置こうと考えております。私はウィルの村にほど近い場所に地下資源を発見いたしました。そこを開発する為にも、辺境伯家にはご協力をお願いしたいと考えています。地下資源につきましても、採掘量の4割を辺境伯家へ。製鉄した状態で納品したいと考えております。採掘した地下資源のサンプルをお持ちしましたが、ストレージから製鉄したものと、製品化した武具を取り出しても宜しいでしょうか?」


辺境伯の許可を得てから、ストレージから採掘した鉄鉱石と製鉄したインゴット。鋼鉄製のロングソードと槍を取り出してテーブルに並べる。


辺境伯とライールは、それぞれインゴットと鋼鉄の槍を手に取りその品質を確かめている。


「これほどのものとは・・・。アツシ殿、本来なら採掘量の6割を主張したいところだが、我々には鋼鉄をここまでに仕上げる技術はない。採掘量の4割、うち2割を武具として納めてもらえるかな。ここまで品質の高いものではなく、一般の兵士が使用できるように、槍の穂先と、隊長格用のロングソードという形で納めてもらいたい。それがかなうなら、探索者協会の運営権の一部譲渡と魔境の採掘権を認めよう。」


今まで俺とライールのやり取りを黙ってみていた辺境伯が決断したようだ。


「残りの採掘加工したものも市場に出回れば、探索者協会の運営に充てていた資金から買い足せるでしょうし、王家へも納められたものから献上すれば、文句は出ないでしょう。」


アルスの援助射撃もあり、辺境伯、ライールともに納得したようだ。

特にライールは、【高品質 ダマスカス鋼の槍】が気に入ったようで、商談成立の記念に譲渡したら、えらく喜んでくれた。


交渉が成立したので、お近づきの印に、辺境伯とライールの【プロメテウス】も応急処置しておいた。

完璧な修復ではないにしても、現状の数倍の修正値の改善が見込める。ライールは譲られた【ダマスカス鋼の槍】をもって辺境伯家の庭にある訓練場へ、アルスを引きずって走って行ってしまった。


レベル的にも、装備的にもライールの模擬戦の相手を出来るのは、辺境伯軍ではアルスしかいないようだ。


さすがに辺境伯に模擬戦の相手をしてくれとは言えず、妹のマリーダは魔術師だ。肉体派ではないとはいえ、弟のアルスは【プロメテウス】の頭部の伝承者である。兄の猛攻にも死なない程度には耐えられるという理由での選抜らしい。

その日、辺境伯家の訓練場で、辺境伯軍参謀アルス・フォン・アービングは3度生命の危機にさらされた。



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