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異世界サバイバルゲーマーはMODを駆使して生き残る  作者: 神崎由貴
第2章 ローランド王国編
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38.協会長 バルガス

「エミルさん、リュクスさん、頭を上げてください。今回の件は誰にも予想できなかったことです。幸い開拓村はこちらのアツシ殿達のご尽力によって守り切ることが出来ましたから。」


 マリーダが頭を下げている2人の受付嬢にフォローを入れている。


「アツシ殿というのですね、今回はこちらの情報収集不足によって、多大な被害が出るところを未然に防いでいただきありがとうございます。」


 エミルと呼ばれた、眼鏡美人がこちらにも頭を下げてきた。


 確かに、今回の件は予測不可能だったのだろう。

 開拓村に、魔族率いるゴブリンの集団が攻め寄せるなど想定外だったのだろう。

 依頼を斡旋した探索者協会が、責任逃れをするようであれば、組織としては最低の部類だが、一介の受付嬢ですら情報の誤りを認めて謝罪しているのだ。

 職場環境は最低だが、その中で働くスタッフは精いっぱい努力して働いているのだろ。

 この組織に肩入れしたくなってしまった。


「いえ、たまたまマリーダさんと道中でお会いして、その流れでお助けすることになったので。気にしないでください。」


 受付嬢と今回の件でのやり取りが一段落したところで、エミルさんが申し訳なさそうに、アルスに話しかけてきた。


「アルス参謀、申し訳ありません。今回の件で少し動揺していたようです。協会長室にご案内したします。」


 アルスの今のやり取りを見ていたので、特に不機嫌になることなく、頷いてエミルの案内されて奥の扉へと向かった。

 俺達もその後を追って協会の奥へと進む。


 受付の奥の扉を進むと廊下があり、幾つかの扉の先の奥に、立派な扉があった。

 恐らくここが協会長の部屋なのだろう。

 エミルさんが扉の前で、ノックをして室内へ呼びかける。


「失礼いたします。協会長、辺境伯軍参謀のアルス様がお見えです。」


 しばらくして、室内から返答があり、エミルさんが扉を開けた。


 室内には、お応接用のテーブルとその奥に事務処理用の机が置かれ、隣の部屋へ通じる扉が1つあった。


「アルス参謀、お越しいただき恐縮です。申し訳ありませんがこの人数ですと、この部屋では全員が座れませんので、会議室を用意してあります。そちらで対応させていただきます。」


 協会長は、思っていやより若く、40代の筋肉質の大柄な男性だった。幾分つかれた表情だが、本来はもっと精悍な感じなのだろう。

 今回の件での恐らく心労から少しやつれている様にも見える。


 協会長室の手前の部屋が会議室になっており、10人以上が座れる大型のテーブルが設置されており、全員が座ることができた。


「改めてアルス参謀には今回の件で、こちらの不手際を穴埋めしていただきました事につきまして、謝罪と感謝を申し上げます。」


 全員が着席するのを見計らって、協会長が立ち上がり謝罪した。

 隣に立っていたエミルさんも同時に頭を下げる。


「いえ、こちらからの情報提供も足りない状況では、仕方のなかった事だと思います。それに我々が開拓村、今はウィルという名前ですが。ウィルにたどり着いた時にはこちらのアツシ殿が、全て解決してくれてましたから。」


 アルスはこちらを見ながら、協会長に紹介してくれた。


「おお、こちらの方が魔族殺しのアツシ殿か。私はローラント王国探索者協会の協会長をしております、バルガスと言います。見ての通りの武辺もの故、気の利いた言葉も出ませんが、この度のご助力感謝いたします。」


 何か変な二つ名がついてませんか?

 ここは速やかに訂正しておこう。


「魔族を倒したのは、こちらのブリュンヒルデです。部下の手柄を私が掠め取りような形になっては宜しくないので、訂正させていただきます。」


 バルガスは、快活の笑いながら理解を示してくれた。


「アツシ殿は紳士な御仁ですな。部下の手柄はそのまま上官の手柄でもあるのですがね。」


 頃合いをみて、アルスがここに来た本題を切り出す。


「バルガス協会長、今回の件で私にも思うところがあり、探索者協会を辺境伯軍から切り離そうと考えている。」


 途端にバルガス協会長は険しい表情になる。


「それは、今回の不手際についての責任は協会にあり、辺境伯軍としては今後支援を行わないという事でしょうか?責任の所在を明らかにして処分をするという事でしたら、このバルガスの首1つで贖えないでしょうか?」


 先ほど自身が協会の不適際を、アルスにフォローして貰ったことに述べたばかりだ、責任を取るつもりでこの日を待っていたのだあろう。覚悟は決まっているようだ。


「いえ、誤解を与えるような言い方をしてしまいました。協会は今まで通り存続していただきます。責任についても、元の依頼情報は辺境伯軍から出したものですから、協会だけを責めるわけにはいきません。」


 アルスがすかさずフォローして、少しバルガス協会長は安心したようだ。


「探索者協会は、辺境伯軍からの下請け的な立場から独立して、より自主性を持った組織になるべきだと思うのです。私が言うのも変ですが、軍の都合ではなく、今後活発化するであろう魔物の襲撃に対して、備えられる組織に生まれ変わるべきだと思うのです。」


 アルスの話を聞きながら、ガルガスは考えているようだが、やはり不安があるようだ。


「参謀の仰ることは理解いたしますが、組織運営につきましてはやはり運営資金が必要であり、依頼者と依頼料がある程度見込める状況でないと、そのような組織運営は難しいかと思います。ランスにある支局に協会長である私が居るのも、このランスがローラント王国で一番の探索者の需要があり、辺境伯軍との連携がとりやすいからです。」


 仕事を回してくれる、元受けと仕事の需要があるこのランスに協会長自らが待機して、様々な折衝を行ってきたのだろう。


「資金と依頼については、こちらのアツシ殿から、提案があるそうだ。最終的には辺境伯軍の最高責任者である父上と、軍の統括である兄上にご判断いただく必要があると思うが、そこはほぼ説得できると確信している。」


 アルスの確信に満ちた表情に戸惑いながらもバルガスはこちらを見つめてくる。


「私からご提案したいのは、組織の運営について、従来通りの一般からの依頼と、もう一点、私達からの依頼を受けていただきたいう部分です。これは採取や討伐といった従来からあるもので、主に辺境伯軍からの依頼の代わりに受けていただきたいものです。そちらの依頼につきましては、依頼料はこちらでお支払いいたします。」


 一旦、依頼と依頼料についての部分で話を切る。

 相手も考える時間が必要だし、こちらに聞きたいこともあるだろう。


 探索者協会には、クエストボードの依頼をこなしてもらうつもりだ。

 探索者協会に所属する探索者全員を、「WARS」のゲームシステムで言うところの組合ユニオンに加盟してもらい、クエストの達成で定期的なゲーム内通貨ジェムを稼ぐつもりだ。


 稼いだジェムの中から、この世界で高額で売買できるものをショップで購入して、依頼料にあてる。

 俺達は、無理せずにジェムが確保できて、探索者は経験値と報酬を得られる。

 辺境伯軍は、探索者協会の維持費に軍事費を消費せずに、討伐系の依頼を探索者に実施させることが出来魔物が間引きできる。浮いた軍事費で俺から鋼鉄製の武具を新調して軍事力を増強できる。まさにWin×3だ。


「次に探索者の個人、クランの強化を図り生存率を高めます。人的な部分と装備面での支援もこちらで出来ると思います。」


 組合ユニオン加入時のキャラクター登録の際に、ステータスの確認を行い、スキルポイントを使用して、本人が目指すスキルを取得することで個人の資質を高め、ブートキャンプのような場を設けて、パワーレベリングで個人のレベルを引き上げることも出来るだろう。

 協会内の販売店にて、鋼鉄製の装備を卸すことで、装備面でのフォローも出来るだろう。


 一応、アルスと話しあって、俺と辺境伯軍、探索者協会にとってメリットのある仕組みを考えたつもりだ。







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