表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界サバイバルゲーマーはMODを駆使して生き残る  作者: 神崎由貴
第2章 ローランド王国編
37/48

37.探索者協会

一部文章を変更いたしました。

 ランスの街の商業区から少し離れた軍事施設が立ち並ぶ一角にその建物はあった。

 ある意味、辺境伯軍の下請け的な部分もあり、その兼ね合いからの立地だと思われるが、軍事施設が立ち並ぶ中にあるその施設ははっきり言って入り辛い雰囲気を出していた。


 ハンヴィーで移動中の車中から見ても、明らかに兵士ばかりが目立つ軍事施設の一角は、一般の住人すらほとんど歩いていない。


 よくあるゲーム内の冒険者ギルドを想像していた俺は、そのギャップに驚いた。


「官公庁の総合施設の中に一軒だけある居酒屋みたいで、外部からは正直入りずらいな。」


 当然、探索者は辺境伯軍の軍人ではない。あくまで自由業の探索者なのだ。【紅の風】のメンバーは比較的しっかりとした雰囲気だが、開拓村に向かう前にであった【大地の炎】のような、いかにも冒険者と言わんばかりの探索者には、なじみ辛い雰囲気が漂っている。


「まあ、探索者に軍の防衛任務を一部委託しているという事もあり、作業効率を考えると、軍としては近くにそう言った施設があった方が何かと仕事を持ってきやすいということはありますね。」


 アルスが現状を説明してくれたが、参謀殿はやはり軍よりのご意見のようだ。


 確かに、軍としては仕事の依頼を遠くの施設へ張り出しに行くよりも、隣の自前の施設に持ってく方が絶対に楽だろ。その仕事の受注率等は度外視の完全なお役所仕事です。


 我々は探索者に軍のお仕事を提供しています。お仕事が欲しかったら、ちゃんとした格好で来てくださいね。そんな雰囲気だ。

ダメだこの組織、早く何とかしないと。


 俺が仮に探索者だったら、そんな雰囲気の中仕事なんて取りに行かないし、モンスターを狩って、商人に卸すハンターのような仕事の方が気が楽だ。


「私もこれについては、探索者となってから思うことはあるのですが、具体的には、どうすればいいのか。費用的な面も含めて兄上を説得するまでには、答えを得られていません。」


 マリーダは問題点に気が付いてはいるが、過去からの慣習と、費用面から具体的な提案には至っていないようだ。


「まあ、とりあえず中を覗いてみよう。立地以外の問題点もあるだろうから。」


 アルスを先頭に探索者組合の建物へ入った。


「問題点だらけじゃないか。」


 速攻で突っ込みを入れたくなった。


 建物内は、地方の市役所そのものだった。


 入り口入ってすぐの左右の壁に綺麗に張られた依頼書。まあこれはいい。


 依頼書の内容は、開拓村の防衛や行商人の護衛、ゴブリン討伐などいかにもな内容で、冒険小説やRPGも大好きな俺としてはわくわくする内容だった。


 しかし、依頼には難易度等の記載はなく、内容と報酬、依頼主と期間または期限しか記載されていなかった。


 例えば、このゴブリンの討伐依頼書

【開拓村の周辺にゴブリンが出没中 退治せよ】

 期限は7日以内 報酬はゴブリン1体に付き1銀貨


 これは俺がこの世界に来て間もないから疎いだけで、この世界の住人はゴブリンを熟知しているから、この依頼の危険度など把握済みなので、危険度や難易度等の設定なのないのだろうか。

 報酬に釣られて、駆け出しの探索者が犠牲になってもこの組織は問題ないのだろうか?

 少なくとも、ウィルを襲撃したゴブリンは、15人の兵士とベテランともいえる【紅の風】のメンバーを以てして村を含めた余裕の全滅コースだった。


 多分このゴブリンの討伐依頼書は、ウィルが開拓村だった頃に張り出されたもので、間違いなく死の依頼書だ。


 依頼書の壁を超えると、記入用のテーブルがいくつか置かれ、待合用のベンチが置かれた空間に出る。

 正面に窓口が2つ設置されている。 まさに市役所スタイル


 警備のための兵士が数名立っているが醸し出される雰囲気は、市役所のそれだ。

 窓口は依頼の受付口と、依頼報告の窓口だった。

 依頼の受付窓口には、キリっとした眼鏡の若い女性が座り、報告用の窓口には、ぼんやりとした感じの女性が座っていた。


 待機していた兵士はアルスを確認すると、姿勢を正し整列した。

 アルスは片手をあげて答えて、警備に戻るように促した。


 眼鏡の女性が、こちらを確認すると窓口から、こちらへ向かって凄い勢いで向かってくると【紅の風】のメンバーの前までやってきた。報告窓口の女性もそのあとに続く。


「マリーダさん、ルクスさん、オリビアさん、アーティアさん、ご無事だったんですね。【大地の炎】から急報が入った時はどうしようかと思いました。我々の依頼で、危険な目にあわせてしまい申し訳ありません。」


 眼鏡の女性がそう言って、頭を下げ、報告窓口の女性もそれに倣った。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ