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異世界サバイバルゲーマーはMODを駆使して生き残る  作者: 神崎由貴
第1章 ニューワールド
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29.作業台

 今回建築予定のウィルは、石素材以上の耐久力を持った素材を防壁に使用する前提になっている。

 防壁の高さは、5m南側の防壁の厚さは3m以上になる予定だ。


 それだけの素材をどう調達するかといえば、ウィル周辺の岩場と、付近の粘土層及び、石灰石の層はすでにティアが調査し、伐採と併せて、試掘済みだ。

 初日の作業を終えた伐採班は、明日から石素材と、粘土及び、石灰石の採掘作業を開始する。


 俺達、建築班は明日から防壁の作成と石畳の敷設に入るが、その前にいくつか準備して置くものがある。


 大体のサバイバルゲームでは、作業台と呼ばれる、素材を加工する為のツールが存在する。


「WARS」でも、単純に素材を加工する作業台や、レンガやセメントに加工する為の炉、料理を作るためのレンジなど様々な作業台が存在する。


 ゲームの仕様なので、実際の容量では絶対に入りきれない物量のアイテムが、作業台の中に内包される。

 まあ、ストレージと同じ仕様ですの一言で終わってしまうのだが。


 今回の防壁づくりにあたっては、ベースは焼きレンガを使用する予定だ。

 現実世界では、粘土を整形して、乾燥、炉で焼き固めるという工程が必要となるが、「WARS」での焼きレンガは、素材である粘土を、作業台である【炉】内で焼きレンガに加工する操作をするだけで、大量生産できる。

【炉】の稼働に必要な燃料も今日の伐採で十分に確保できている。


「ティア、一応作業台は【炉】を3基と【ミキサー】を1基、木材加工用に、【作業台】を1台で足りるだろうか?」


 防壁と、軍事施設の建築を考えた上で必要になる作業台の数を上げて、確認をとる。


「【炉】はレンガ用に2基、セメント用に1基、コンクリート用に【ミキサー】1基という事ですね。それだけあれば十分だと思います。」


 俺は作業台の生成ために、ガレージ内の工房で必要な素材を確保して組み立てを開始した。



「マスター、そろそろ夕食の時間ですが、作業台の方は完成しましたか?」


 作業を開始してしばらくすると、ヴァルトラが工房に籠って作業をしている俺を呼びに来てくれた。作業もほぼ完了したので、食堂へ向かう。


 食堂には、【ワルキューレ】と【ドワーフ戦士団】のメンバー、【紅の風】のメンバーと、なぜかアルス参謀と護衛騎士のミーアも席についていた。

 一応上座には俺とアルス参謀が座り、後はグループ毎にテーブルに着いた。


「アツシ殿、本日は夕食にお招きいただきありがとうございます。ティア殿がアツシ殿から、話もあるとの事で、ミーア共々参りました。」


 貴族らしからぬ物言いに少し戸惑ったが、ティアが呼んだのであれば、何かあるのだろう。


「こちらこそ、アルス参謀をお呼びたてしてしまい、申し訳ありません。」


 テーブルには、冷蔵庫から出された料理が、並べられている。

 時間停止の機能が付いたストレージであるキッチンの冷蔵庫から出された料理はどれも、出来立てのおいしそうな匂いを醸している。


「話もありますが、まずは食事にしましょう。アルス参謀はお酒はお飲みになられますか?」


「そうですね、せっかくの料理。冷めないうちにいただきましょう。酒は強くはありませんが、たしなむ程度には飲めますよ。」


 同意が得られたので、食事を開始する。

 俺は冷蔵庫から瓶タイプのビールを持ってきて、カップ2つに注いでアルス参謀に1つを手渡した。

 護衛のミーアが確かめようとするが、アルス参謀はそれを手を挙げで制してから受け取ってくれた。


「アツシ殿とは、今後も様々な面で協力することになるだろう。今後は肩書なしで呼んでいただいて結構ですよ。私には年が近い友人のような人間が居ないので、アツシ殿にはそういった人間になっていただけると嬉しいのですが。」


 辺境伯家に生まれて、マリーダの話では、戦闘は苦手なようだが、若くして辺境伯軍の参謀にまで上り詰めたこのアルスという若者は、苦手な部分を自覚した上で、自分にある才能を冷静に分析して、知識を磨き辺境伯家のためになる人間を目指したのだろう。

 そのための努力に時間を費やし、自分の兄弟以外とはそれほど近しい人間関係を築けなかったのだろう。


 不器用だが、生き方がまじめなこの青年には、俺は好感を持てた。


「では、アルス殿との友情と、このウィルの完成を願って。」


 カップを重ねてお互いにビールをあおった。


 それからは、自分自身の身の上や、今後どうしていきたいかをお互い酒の力を借りながら、語り合った。


 周りは周りで、酒好きのドワーフと、同じく酒好きのルクスが飲み比べを始めたり、護衛のミーアが、実は甘いもの好きで、デザートをすごい勢いで食べたりとそれなりにみんな楽しんだようだ。


 途中、アルスをパーティーに編成し、ステータスを確認したが、やはり戦闘系のスキルを一切保有しておらず、知識系のスキル構成だった。

 スキルポイントが余っていたの、本人に確認を得たうえで、射撃スキルを取得させた。


「これは俺からの贈り物だ。辺境伯家の人間として、軍の幹部としていつ命の危険にさらされるかもしれないからな。使い方は、酒の入っていないときに教えよう。」


 俺は、ストレージから予備のサイドアームである【グロック18】を取り出しアルスに手渡した。

【グロック18】はポリマー製のボディの非常に軽い銃だ。金属部品がほぼないため寒冷地でも使用可能である。

 セミとフルの切り替えスイッチがあり、弾薬の数量は17発と十分な数を有している。予備のマガジン1本と併せてささやかなプレゼントだ。


「ありがたくいただくとしよう。今後とも宜しく頼む。」


 アルスが右手を差し出したので、同じく手を差し伸べて固く握手した。



保有MP20

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