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異世界サバイバルゲーマーはMODを駆使して生き残る  作者: 神崎由貴
第1章 ニューワールド
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15.傭兵MOD

 傭兵MODをインポートして、タクティカルボードの画面からワルキューレの第一攻撃部隊を選択した。通常の「WARS」では、ここでゲーム内通貨を消費して、傭兵部隊への緊急救援要請を行い、数分後に、部隊ごとに設定した乗り物で救援にやってくる演出が入るのだが、今回の場合は、緊急要請から即召喚のようだ。


 閃光が収まると、本来は乗車して乗ってくるはずの、高機動多用途装輪車両ハンヴィーの装甲板追加のモデルの前に、第一部隊が整列していた。第一攻撃部隊は、ワルキューレの中でも、打撃力に特化した超攻撃型の部隊だ。全員が俺やティアと同じ都市迷彩柄の迷彩服に身を包んでいる。


 長身の銀髪の女性が、リーダーのブリュンヒルデ。近接、中距離を得意とするスキル構成と装備を持つ。今はSCAR-Hを装備しているが、デフォルトの装備一覧の中には、近接用の戦闘用スコップなどを持つ。


 次が、茶色いボブのホンワカした感じのおっとり美人が、ヴァルトラ。P90を標準装備として、暴走しがちなブリュンヒルデの代わりに、第一部隊の指揮をとり事が多い頼れる副官だ。特技は爆発物全般と工兵としても優秀だ。


 金髪の小柄なツインテールが、オルテ。416Dを主装備としており、ハンヴィー上部の銃座に搭載されたM249軽機関銃の射手も務める。


 最後が、黒髪ポニーテールのシュバルツ。主装備はMSR-338。根っからのスナイパー気質で、一応サブ武器としてM4A1カービンを持っているはずだが、実際に使用しているところを見たことがない。


「マスター。ワルキューレ第一攻撃部隊、現時刻を以って、隊長の指揮下に入ります。ご命令を。」


 ブリュンフルデが、設定の軍人らしく、ビッシっと決めてきた。


「みんなに来てもらったのは、俺とティアだけでは対応しきれない状況になっているからだ。現状は謎のワールド転移により、元のベースへの帰還が困難な状況だ。捜索中に、助けた女性から、この開拓村がゴブリンに襲撃されているとの情報をえたので、現在この村に立てこもっている。現状を打破するためにワルキューレのみんなに協力してもらいたい。」


 簡単な状況説明を行い、ワールド転移による弊害等が無いか確認する。


 ヴァルトラが挙手にて発言を求めてきたので、許可する。


「マスター、装備等の確認と共に、私自身のステータスを確認しましたが、我々は本来、上限レベル80のはずですが、経験値が数値化されています。これは、つまり我々もレベルアップできるという事のようですが、レベルアップしても宜しいでしょうか?」


 オペレーターや傭兵等のNPCは、キャラ作成時にレベルが固定されている。

 オペレーターや幹部などは、レベル100、一般傭兵は80で、それに伴ったスキルポイントが付与されているので、そこから各種スキル等を割り振って、キャラの特徴を出していく。

 それがめんどくさいというPC(プレーヤーのためにデフォルトで作られた傭兵団等もあったが、俺は傭兵団を一から創設した。

 ワルキューレもその1つで、主に近代戦闘を主任務とした作戦行動において、俺とティアのサポートができるように隊員のスキルを割り振っている。


 PCと違い、NPCは制作時から成長しない。それが、このゲームの中でのるーるだったはずだか、俺の成長限界値レベルキャップが外れたのと同じく、NPCにも成長要素が加わったようだ。これはうれしい誤算だ。


「これからの戦闘に参加することで、是非もなく、経験値は入るだろう、その過程でレベルアップするのであれば、それは仕方のないことだ。大いに成長してくれ。君たちワルキューレがより強力になることに俺は期待する。」


 ワルキューレの緊急招集から黙って様子を見ていたマリーダが、しゃべり始めた。

「まるで、おとぎ話の中の騎士召喚のようですね。アツシ殿には本当に驚かされる。今目の前で起こっていることが、まるでこのローラント王国の建国伝承のようだ。」


 少し気になる話だか、先にやらなければならないことがある。

 これだけの人数を招集すれば、必要となるのが、弾薬や食料といった兵站の問題だ。

 俺達の場合は、ある程度弾薬は各自保有しているが、あくまでPVEすなわち、対モンスター用の装備であって、本格的な戦闘を前提とした弾薬を保持しているわけではない。

 今回のような大掛かりな戦闘を前提とした装備の準備はしていないので、ストレージ内の弾薬だけでは心もとない。


「マリーダさん、こんな時で申し訳ないが、一軒民家を提供してもらえませんか?我々も大人数になったので、休める場所はあった方がありがたいのですが。」


 防衛の準備も一時とはいえ整ったので、怪我の治療等、兵士や自警団等も交代で休むことが出来るだろう。俺達6人も休める場所の提供を求めても、違和感はないだろう。


「それなら、我々【紅の風】が使用している民家があるので、そこを使用してもらっても構わない。2棟に分かれた建物なので、片方をアツシ殿達が使用してください。」


 直ぐに案内してもらった。村の中心にほど近い広場のわきの1階建ての民家で、家の前が広場だったので見通しも良かった。

 直ぐに中に入って、内部を確認した。寝室とダイニングしかない家だが広さは十分だった。

 寝室の壁にガレージの移設用のアイテムを敷設して、ガレージの入り口を作成した。


 ティア達に、弾薬の補充等は任せて、俺はもう1つのミッションである監視塔を作成に取り掛かることにした。


 村全体が見通せる場所という事で、村の中心の広場が候補地となった。ガレージからも近く、最適な場所だ。村の周囲は四方各400mm程度の広さなので、15mも高さがあれば、十分だろう。


「マリーダさん、ここにちょっとした監視塔を立てます。これからの村の防衛に必要不可欠なものですので、どうかご了承ください。後ほど不要になりましたら、責任をもって撤去しますので、お願いします。」


 マリーダが、すぐに村長の許可を得てくれたので、準備に取り掛かる。

 ここは村の中心にあり、防護施設というわけではないので、土台部分の耐久値は直接攻撃にさらされるわけではないので、それほど必要ない。必要なのは、15mの高さを支える素材の強度だ。

 タクティカルボード内の組み立てレシピを展開し、プレハブをデータ内で仮組していく。

 強度と柔軟性を併せ持った、携帯電話の基地局のような鉄骨の塔を設計した。

 最上部には、監視のための屋根付きの小部屋を据え付ける。雨風を防ぐとともに、屋根には360度狙撃可能なスペースを用意した。


 設計が完了したので、建築予定箇所を、ストレージから出したスコップで掘り下げていく。俺の持つスコップはアイテムレベル150の最高品質のスコップで、1堀りごとに地面がアイスクリームのように掘り返されていく。ブリュンヒルデも手伝ってくれたので、すぐに2mほど掘り下げることが出来た。


 掘り下げた場所に、タクティカルボード内で設計した監視塔を重ねて、必要素材をドラッグしていく。必要素材はガレージからストレージに移してあるので、すぐに完成する。


 必要素材を全てドラックして必要量が満たされると、画面に【ビルド】の文字が表示されたので、迷わず選択する。

 すると、3Dプリンタを高速で動かしたように、監視塔が一番下のパーツから組みあがっていきます。


 実行してから数分で、鉄骨をメイン素材とした監視塔が完成する。

 監視塔に登りながら、南と北の現在も攻防が続く門を確認する。

 高さと視認性は十分得られた。戦闘中はここにはシュバルツに待機してもらう予定だ。

 ここから優先的に大型のモンスターを狙撃していく。


「さて、準備も整ったので、飯を食ったら、反撃と行きますか。」







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