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異世界サバイバルゲーマーはMODを駆使して生き残る  作者: 神崎由貴
第1章 ニューワールド
12/48

12.開拓村

4月11日脱字修正


 出発前にティアから、マリーダの【プロメテウス】の耐久値が限界値を超えて消耗しているとの指摘があったので、確認してみた。

「WARS」の装備品には耐久値の設定があり、耐久値が下がれば、その分その装備による能力値の補正値が低下する。

 修理には、必要素材とその装備に対応する生産職クラフターのスキルが必要となる。

 俺はもちろん生産職技能クラフタースキルも全職マスタークラスなので、どんな装備でも生産から、修理まで出来る。


 マリーダの【プロメテウス】の耐久値は現在 41/200 で本来の性能の20%程度しか発揮できていない。

 本格的な修理は、ガレージ内の工房でないと出来ないが、遠征中の不測の事態に対応するために、応急キットはいくつか用意しているので、この場で応急処置をしてしまう。


「アツシ殿は、魔導級装備アーティファクトの修繕が出来る生産職クラフターなのか、それでいてあの戦闘力・・・。」


 マリーダはこちらを尊敬した眼差しで見つめている。

 すまない、俺の心の職業は建築士ビルダーなんだよな。

 建築をするために必要な素材の確保や、自前での修理や素材加工の為に、取得た職業ジョブスキルを尊敬の眼差しで見られた恐縮してしまった。


「マリーダの近くには、魔導具を修復できる職人はいないのか?」

 耐久力の減り方を考えるともっとこまめなメンテナンスが必要に思われた。


「【プロメテウス】等の魔導級装備アーティファクトの修繕が出来るのは、宰相閣下のみで、修復に使える素材もあまり残っていないので、各貴族家での順番待ち状態なのです。この【プロメテウス】も7年前に修復してもらってから、そのままの状態です。」


 修復の為の素材次第だが、もしかしたら、今後この国での大きな足掛かりの一つになるかもしれないので、心のメモに書き足して置いた。


 応急処置的な修理だったので、【プロメテウス】の耐久値は100/200までしか修理できなかったが、今までよりはましだろう。


 準備も整ったので出発するわけだが、ここから南の開拓村まで聞く限りでは、約10km到底徒歩では時間が掛かりすぎる。

 マリーダの使用していた飛行魔法フライトは1人用で、人の運搬には適さないので「WARS」の乗り物をストレージから取り出す。

 ティアと俺でそれぞれ4輪バギーのグリズリー改を取り出す。

 ティアには索敵をしながら先行してもらい、マリーダが俺の後ろに乗って魔法でバックアップしてもらうことになった。


 このバギーへの分乗でひと悶着あったが、無事出発できた。

 銃火器と同じく、「WARS」の中で、未成年が車やバイク等の操作を習得してしまわないように、操作は簡素化されている。ハンドルにアクセルとブレーク、バックのボタンがあるだけの簡単な作りだ。


 初めてのバギーの乗り心地にマリーダは真っ青な顔をしていたが、構わず先を急ぐことにした。さすがに最高時速を維持することは出来なかったが、約20分ほどで、開拓村付近まで南下することが出来た。


「およそ280m先に大型のモンスター2、ゴブリン10を確認しました。どうしますか?」

 先行するティアから、ヘッドセット越しに通信が入った。


「その数なら、すれ違いざまに攻撃しながら脇をすり抜けよう、ティアは大型をゴブリンはこちらで対応する。倒さなくても構わないから、牽制と行動力の削減を目的に行こう。」


 どちらにしろ、まずは開拓村へ到着することを優先させる。

 途中の敵も最終的には開拓村へ向かうはずなので、注意をこちらに引き付けることにした。


「マリーダ、この先にゴブリンと大型のモンスターがいる。俺達はゴブリンにダメージを与えるので、手伝ってくれ。全部倒さなくていいので、魔法での援護を頼む。」


 ミラー越しのマリーダは真っ青な顔だが、理解したようで、頷いて見せた。

 左手でがっちりと俺の肩を掴んで、右手を前に突き出して、魔法詠唱を開始した。

 俺も、左手でグリップを保持しながら、P90を右手で構えて、弾丸をばらまく準備をした。


 不安定な体制なので若干スピードは落ちたが、すぐに前方にゴブリン達が見えてきた。さすがにバギーのエンジン音に気が付いてこちらへ向かってくる。

 ゴブリンの後ろには、大ぶりなこん棒を下げた緑色の肌をした大型のゴブリンがいる。


「大型モンスターはホブゴブリンです。有効射程距離に入り次第攻撃を始めます。」


 ティアからの通信等同時に、解析アナライズデータが表示される。

【ホブゴブリンLv.10】【ゴブリンLv.5】

 先行するティアがMP7A1でホブゴブリンの足元を斉射しながら脇をすり抜けていく。倒し切れていないが、2匹とも膝をついて行動不能状態だ。

 続けて俺達も、P90の斉射とマリーダのファイアブラストでゴブリン達を薙ぎ払っていく。

 ゴブリン達の間をすり抜けながら開拓村を目指す。


 直ぐに開拓村の北側の門が見えてきた。

 事前にマリーダに確認した限りでは、開拓村には北と南に門があり、村の周りを木で作られた高さ2mの柵で囲んでいるようだ。



 前方に見える北門は分厚い木でできた扉だが、半分が破壊された状態であり、門を挟んでゴブリンやホブゴブリンと、兵士たちが戦っていた。

 10人位の兵士が、その倍以上のゴブリンとホブゴブリン相手に劣勢に立たされていた。


「このまま、門に向かう、あのままでは、門はもう持たない。一旦中に入って門を塞ぐぞ。マリーダ、兵士たちを門の中に引かせくれ。」


「ティア、門を塞ぐ間の援護を頼む。時間が無いからブロックで一気に塞ぐぞ。マリーダ、少し乱暴な運転になるから、しっかり掴まっていてくれ。」


 それぞれに指示を出して、一気に加速した。


「マリーダ=アービングだ、一旦体制を立て直す。全員門の奥まで撤退してくれ。」

 マリーダの声に兵士達は、戸惑いながらも従ってくれた。

 さすがは貴族、兵士達のもしっかりと指示できるようだ。


 ゴブリン達をけん制しながら、俺達は一気に門の中に駆け込んだ。

 バギーを反転させるとティアは門の外に向けてMP7A1を発砲し始めた。


 俺もバギーから飛び降りると、門の手前に陣取り、タクティカルボードから、クラフト画面を呼び出した。


「WARS」での建造物の製作は2種類ある。

 レシピに従い、ブロックと呼ばれる構造体を作り出し、それを重ねていくことで建造物を制作する方法と、プレハブと呼ばれる自分が事前に登録した建造物に必要な素材を消費して、一気に建築する方法がある。


 今回は緊急なので、ブロックを重ねる事で、建造物を作成する。

 とにかく、破られた門を塞ぐことを最優先させるので、素材はガレージの周りで採取した岩石を選択、何千回もゲームの中で繰り返した作業を手早く行う。

 作成したブロックを、門の内側に重ねていく。

 何の意匠もない無機質な正方形の岩のブロックが、中空から突然現れて重なっていく。ものの数秒で、門は厚さ1mの岩の壁で塞がれた。










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