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遭遇遭難

 キリシタン大名、小西行長こにしゆきながからの突然の昇格に極秘命令を賜ってから部屋に戻った時貞ときさだは一人座して気持ちを整理していた。


「早速、何か案がないか、島津義弘しまづよしひろ殿の謁見対策を私なりに練らなければ。重臣を承った以上、総ては行長様のためにも……」


 だが、薩摩の島津義弘を相手にするだけに生半可なまま謁見えっけんをするわけにもいかない。だが、今日明日といい方法を思いつくことは難しい。しかし今は一人ではなく、支えがあるからこそ時貞の心には安堵感があった。


「とはいえなかなか、思いつかないものですね……そうです、しばらく神に祈りを捧げていなかった。流石にここで唱えるのは声が漏れてしまう。ここは黙祷でもして、心を穏やかに落ち着けるとしよう」


 日頃からやっていた神への祈り、時代を超えてからはちゃんとしていなかった。懐から十字架クルスを取り出し、胸の前で十字を切り、祈りを捧げる。その間の部屋は静けさがあった。黙祷を捧げてからある言葉を口にする。


「…………天に召します神よ、そして父上、母上。私の身は非常に波乱に満ちているものです。見知らぬ地で倒れ、行長様やおたあ殿に助けられ、そして過去の時代に身を置いているのは、もしや神のお導きなのでしょうか?」


 それを問うも、応える者はいない。

 それでも問わずにはいられない。


「けれど、私はこの波乱をも乗り越えて見せましょう。神の試練ならば、父上から授かったこの十字架クルスと共に……あれ?」


 時貞ときさだは何かに気付いた。十字架クルスを凝視すると。


「これはもしや……時計……? 真ん中の窪みに、時計が埋まっている。今になるまで気づかなかった」


 よくよく十字架クルスを見ると、真ん中の丸みを帯びた窪みに長短の針に常に刻み続け動く針の三本が存在していた。そしてそれはちゃんと動いている。


十字架クルスに時計、これは珍しい。父上はこんな貴重なものを私に託してくれたのですか」


 三十年先の時貞が生まれ育った故郷の隣国である長崎、横瀬浦の留学の際に南蛮人が所有していた時計を目にしたことがあった。どのような役割をしていて、どう役に立つのか、仕組みも使い方も学んでいた。日ノ本で時計というのは珍しい代物でまず、庶民には持てない。富裕層でもなかなか手に入らないものが時貞の手中にあった。


「……不思議ですね。なんだかこの十字架クルスが、私の身を守ってくれるようにも惑わしているようにも思えます。それでも大事にしましょう。折角父上が遺してくれた唯一の形見ですから」


 些細な疑問を持ちながらも、この時点での時貞は深く考えなかった。


♰ ク ♰ ロ ♰ ノ ♰ シ ♰ タ ♰ ン ♰


 翌日、三人は昨日と同じ部屋に集まり、島津義弘の謁見対策極秘会議をしていた。


「…………」

「…………」

「うーん……色々と考えてはいるものの、なかなかこれといった決定的なものが欠けているな……!」


 流石に昨日今日で早々にいい提案は思い浮かばない。時貞もおたあも口を噤むしかない状況に追い込まれていた。


「面目御座いません、行長様」

「私も色々と考えましたが、良い案が思いつかず……」

「……まあ、昨日今日では思いつかないものだ。やはりここは少しずつ、信頼かつ協力的な仲間をここに集って知恵を共有するしかない」


 行長にとって苦肉な案ではあるものの、少しでも多く極秘任務に参加出来るほどの仲間を集うしか方法がないようだ。


「やはり我々だけでの知恵では限界があるのでしょうか」

「それもそうだし、昨日も言ったがやっぱこの再建復興統一はいずれ拡大していくために多くの仲間が必要になる。しかし、現時点では反対勢力もあれば当然この再建論に拒否するやつもいる。見定めには慎重な判断もいるし、俺たちの同士になる覚悟があるやつじゃなきゃ難しい話だ」

「どなたかお力添え出来る仲間をまずは作って小西一族としての結束を固める必要がありますね」

「一応、目星の者はいる。だからその相手と慎重に交渉をしていって、互いに知恵を汲み取りあった方が、自ずと解決の糸口が見えるはずだ」

「その仲間探しに私も協力出来ないでしょうか?」

「出来ないこともないが、今のお前にそれが出来る力があるとは俺は思えないぜ」

「……それは」


 直観力に長けている行長から告げられると確かに自信がない。加えてこの場合時代も違えば時世も異なる。未来から過去に来た時貞にとっては難しい話である。


「だからトキには俺の傍について、様子を見て互いの意見を共有し合って「本当の仲間」を見定めていくことを中心にやっていこう」

「ええ、それであればお役に立ってみせます。よろしくお願い致します」

「主、私にも何か出来ることは……」


 横にいたおたあも何かせずにはいられない。


「ジュリアは不穏な気配を感じとったらどんな些細なことでも報告することだ。しかし、無理は禁物でな」

「はい、お任せください」

「おたあ殿、私も出来る限り周囲を注意しますので何かあったら報告し合いましょう」

「ええ、トキ様のお役にも立ってみせます」


 島津義弘の謁見の前に今の段階で「再建統一計画に集える仲間探し」を目標に進むことにしたことで話はまとまった。


「よし、とりあえずは話はここで一端打ち切ろう。なあ、気晴らしに海でも見に行かねぇか?」

「え? 海に、ですか?」

「また唐突ですね、あるじ


 またしても行長の唐突発言が出てきた。

 今度は海を眺めにという提案だった。

 時貞もこの張りつめた状況の中でよく気楽なことが言えるなとつくづく呆れを通り越して感心すら覚えた。


「思い立ったが吉日。今日は特に野暮用も重要な要件もないから、これから立て込んでくる厄介事が来る前に今の内に羽伸ばしてぇんだよ」

「行くにしてもここからどのぐらいですか?」

「馬でひとっ走りいけば辿り着ける。ただ今から行かねぇと夕刻になっちまうぜ」

「ええ、今すぐですか!?」

「今すぐ! ほら、行くぜ!」

「本当に唐突ですね、主は本当に、あっけない程に突然で、まさしく馬の如く疾走するよう……」


 おたあは何かと小言を言いつつもそそくさと部屋から出る準備をしている。


「おたあ殿、楽しみで仕方ない様子ですね……」

「ジュリアは散策が好きだからな! んじゃ、外出用の着物に着替えねぇとな! トキもほら準備して馬小屋まで行くぜ!」

「は、はい……!」


 ほぼ強制だが、行長の言い分には断れない状況で付き合う他なかった。


♰ ク ♰ ロ ♰ ノ ♰ シ ♰ タ ♰ ン ♰


 三人が外出用の着物に着替え、馬小屋まで行く。外へ出るのはおたあの薬草摘み以来で、遠出をするのはこの時代に来て初めてだ。そしてまた初めて知ったこともあった。大きい屋敷だと思い込んでいたが、大名だと知ってからの内装外装は思った以上に広い敷地で、よくみると石垣も存在した。それはもう城ということになる。馬小屋まで到達するのにもすぐに着くものではなかった。時貞は改めて凄いところに居候していたのだと改めて思い知る。


「ところで、一応聞くがトキは乗馬出来るのか?」

「ええ、それは出来ますよ。幼い頃からやっていましたし、それがないと隣村に行くのにも不便でしたから」

「そうこねぇとな! 男児たるもの馬に乗れねぇと話にならねぇ!」

「そういえば、遠出も久しいですね。こちら側に来てから海も久しく見ていない気がします」

「お前を拾ってきてからずっと部屋に籠もりっぱなしだからいい機会じゃねぇか! 外に出て気分転換していこうぜ!」

「……ええ、私が成人を迎えてから自然を愛でる機会なんてそういえばありませんでした」


 時貞は自然が好きで幼い頃から自然に囲まれて育った。この時代も変わらぬ自然に囲まれている様子で懐かしさも含めて心が穏やかになるのを思い出した。


「よし俺はこの愛馬で、トキのは今調子のいいこいつにしようか」


 馬小屋に到着した。行長は颯爽と馬を即断即決で決め、お気に入りの愛馬は行長が乗り、調子のいい馬を薦めてきた。


「これ、鞍と手綱な。乗れるならつけられるだろ?」

「はい」


 時貞は馬を優しく撫でながら器用に鞍と手綱を装着する。

 

「よろしくお願いしますね」

「うん、慣れているってことは確かだな。よし、俺も準備は終わった。早速行くとしますか、おたあ……」

「主、私はトキ様に同乗させてもらいます」

「え? なんで?」


 おたあが自ら意見を述べることが初めてだったのか、行長が目を丸くさせたのは言うまでもない。


「え、ああ、私の後ろにですか?」

「トキ様は私の側近として仕えている身です。主の重臣ともなれば猶更、傍に仕えるのも私の役目。でしたら同乗するのも役目の一環だと思うのです」


 通り一遍につらつらと意見をするだけに行長も押されたのか。


「そ、そうか、役目な。トキ、おたあを任せられるか?」

「ええ、ではおたあ殿後ろにどうぞ手を貸しま……」


 おたあは慣れた手つきでさっと後ろに乗り込む。


「トキ様、おたあの準備は万端です。さあ、参りましょう」

「早い……」

「はぁ……そんじゃ乗り込んで行くぞ」


 行長は軽い溜息を吐きつつ器用に乗馬し、時貞も葦毛色の馬に乗ると行長を先導についていく。ゆっくりと馬が闊歩し、門の外へと出て暫し揺られながら進んでいく。


「こっから道なりな。んー風が気持ちいい! 天気も良好で何より!」

「はい。春も過ぎて初夏に入りましたね。日差しも些か強く感じます」

「これから暑くなるからなぁ、はあ……湿気暑い夏が来ると思うと茹だる気持ちだぜ。だから一足先に海を眺めに行こうってわけだ」

「先取りですか。なるほど、流石は行長様ですね」


 他愛のない話をしながら馬を進めていくと水平線が見えてきた。


「お、もうすぐだな」

「うわあ、綺麗ですね」

「日差しで一段と青く澄んで見えますね」


 空と海の境界線すら混じって見えるほどの一面の蒼碧色。横長に続く白い砂浜。三人を乗せた二頭も砂浜に辿り着く。


「砂浜に来ると海風が気持ちいいな。おお、お前も嬉しいか」

「磯の香が近くまで来ると一段と感じますね」

「太陽の光の反射で綺麗に輝いています」


 水平線からくる風を感じ、海の煌めきを暫し静止して眺めていると時貞が不意に思い出したかのように言葉にする。


「海の向こうには、まだ見ぬ世界がある」

「まだ見ぬ世界?」

「父上と、外に出かけたていたときによく話していたのです。私たちが住むこの国とは違う別の世界が広がっているのだと」

「南蛮の国、か。扱っている物資も興味深いものがあるからな。いずれ長崎の交易をこちら側に収めて有利に運びたいもんだな」

「はい。しかし私は、巡ってみたいですね。世界がどんなもので、広い世界でどんな人がいるのかを、私は見てみたいのです」


 水平線を眺めながら時貞は抱いていた夢を告げてみた。


「旅をする、か。はは、トキは物好きだな。ま、それも悪くないかもしれねぇな」

「素晴らしい夢だと思います」

「今は大変な時期ですけど、ぜひこの夢は叶えてみたいですね」

「だからこそ、今から俺たちで動いていかないとな。今俺たちにある問題を一つずつ解決していくためにも」

「ええ、お供致します行長様」

「よし! トキ、一つ競争しようか!」

「え、競争?」

「簡単さ。乗馬対決でこの砂浜一直線、どっちが早いか勝負するってことだ。そうだな、あの岩場の手前までを目処にどちらが先に付くか勝負しようぜ」

「勝負ですか。あの、こちらにはおたあ殿も乗せているのですが」

「おたあは問題あるか?」

「いいえ。トキ様、私のことは構わずどうぞ挑んでみてください」

「はあ、おたあ殿がそういうのであれば……」


 おたあから了承を得たようで勝負を挑まざるを得なかった。


「そんじゃ位置につこうか。いっとくけどトキ、大名の俺だからって手加減はするなよ。お互いの実力を示すいい機会として、いい勝負にしようぜ」

「分かりました。そのつもりで全力で挑みましょう」

「ただし、俺も負けねぇからな! 聞いて驚けよ、俺の乗馬技術は日ノ本一なんだぜ!」

「自称、ですけどね」

「っ! おたあ殿、しっかりと掴まっていて下さい。振り下ろされないように」


 後ろでおたあが小声でぽつりと囁くと時貞は思わず吹き出しそうになるのを堪えながら、おたあは後ろでしっかりとしがみつき位置につく。


「よし、準備はいいか?」

「はい、いつでも」

「なら、どんっ!」


 行長の掛け声と共に馬を一斉にほぼ同時に手綱を叩き、二頭の馬は疾走する。


「よっしゃあ、かっ飛ばしていくぜ、はいどう!!」

「トキ様、気張ってください!」

「ええ!」


 しかし、行長の馬がどんどん前に進み、時貞が一方的に後退していく。


「おいどうしたトキ! ちゃんと本気出してるのか!?」

「トキ様、このままでは負けてしまいます!」

「おたあ殿大丈夫ですよ、ね?」


 時貞は様子見をするように馬に問いかけている。


「……よし、中盤に差し掛かりました。さて、行きましょう、かっ!」


 頃合いを図ると時貞が手綱と足で拍車をかけると馬がそれに反応し、急激に加速し始めた。


「速い!」

「お、っと?!」


 行長を追ってどんどん距離を縮めていく時貞の馬。そしてあっという間に詰められ、最終面に差し掛かる。


「おいおい、負けてられねぇ!」

「トキ様、もう少し!」

「ええ、このまま全速疾走です!」


 そして遂に行長を追い抜き、一着で到着した。互いに手綱を強く引っ張り馬を止める。


「はあっ、まさか、俺が負けた……!」

「勝ちましたね、トキ様!」

「ええ、この馬のおかげです。ありがとうございます」


 時貞は降りて勝利した馬に健闘を称えながら労わるように撫でる。


「ああ、悔しい! 悔しいけど、あっぱれだ! トキ、大したもんだな!」

「素晴らしかったです、トキ様の馬裁きで成し遂げたあの追い上げ。乗っていた私でもとても気持ち良かったです!」


 おたあを後ろに乗せたハンデもあったはずだがそのハンデあっての勝利でとても満足していた。


「はい。この馬は結構のんびり屋みたいで、最初はあまり勢いに乗らないのですが、どんどん機が熟してきたときに本気になる性質みたいです」

「そんなことまで分かるのか?」

「この海までの間に、なんとなくそんな感じがしたのです。だからそれを汲み取っただけですけどね」

「いや、初めて乗った馬に普通そういうのは判断できないけどな」

「凄いですね、トキ様」


 目元が仮面に覆われて表情は見えないがジュリアはとても興奮している様子。時貞は行長に歩み寄り、健闘を称える。


「行長様もいい走りっぷりでした」

「まあ、負けは負けだ。男に二言はねぇよ。だが、次勝負する機会があったら負けねぇけどな!」

「はい、私でよければいつでも」


 互いに笑顔を見せあい、勝負はひとまず時貞の勝利で終わった。


「そろそろ、日が西に傾き始めてきたな。辺りが暮れる前にそろそろ引き上げるか」

「ええ……ん?」


 引き上げようとした途端、時貞が海辺であるものに気付いた。


「行長様、暫しお待ちいただけますか」

「おい、トキどうした?」

「トキ様?」


 時貞の急な行動に行長もおたあも困惑する。


「岩場のところまで、トキあんま波打ち際に近寄るとあぶねぇぞ!」

「トキ様、どうなされたのですか?」


 様子が気になるのか二人は思わずついていく。その間に時貞は岩場の辺りまで近寄ると。


「え…………!?」


 波打ち際に物体が、いや明らかに人が打ち上げられていた姿が目に入った。


「ゆ、行長様、おたあ殿、大変です!」


 異変を知らせると行長とおたあがその声を聞きつけ、潔く駆けつけた。


「どうしたんだよトキ」

「トキ様、何があったのです?」

「人が、人が倒れています! 何故こんなところに……!?」

「あ、主、トキ様、そこのお方は死んでいるのですか……!?」

「ちょっと落ち着け二人共。俺が様子を見る」


 数々の病人や怪我人を見てきた薬師の行長は冷静で、人が倒れている姿を見ても慌てずに、近づいてまずは目視する。


「おい、あんた大丈夫か? おい!」


 倒れていた人物は全身を布で覆われていて、頭も頭巾で覆っているためにどんな人物かは一目で確認出来ないでいた。しかも俯せの状態で倒れているために時貞の距離からでも確認は出来ない。行長が意識確認で声をかけるも返答はない。


「ちょっと失礼するよっと!」


 行長が倒れている人を反転させ仰向けに変えると、右手を持ち脈がある場所に手を当てる。


「……うん、脈はある。ちゃんと息もしているし、海水を飲んだ様子はねぇな。こいつはちゃんと生きている」

「本当ですか、よかったです」


 死体じゃないだけまだよかったが、この後が問題である。


「しかし、脈は平常よりもやや弱いな。この状態だとだいぶ海に流されてきたのか、長い間浸かって体も冷たいし、放っておくと低温で体が弱くなっちまうよ」

「行長様、なんとかなりませんか? 城まで、連れていけませんか?」

「主、どうしましょう?」

「放っておく……なんて、出来る訳ねぇよな。トキに続いて二人目の拾い人だな。やれやれ、俺はどういう巡り合わせを持っているんだか。トキちょっと手を貸せ、こいつを運ぶからよ」

「はい! お任せください!」


 行長の指示で倒れている人物を丁重に二人で運ぶことにした。


「よし、とりあえずこいつは俺の馬で運ぶとして、帰ったら色々と準備をしねぇとな」

「主、私も手伝います」

「おう、とりあえずまずこいつの部屋の確保に寝床の準備に体を温めるためにお湯を沸かして、薬湯を煎じてあと、生姜湯とかも準備しとくか」

「では、私たちは足早に先に帰って準備をあらかた済ませておきましょう。行長様はゆっくりとそちらの方をお運びください」

「おう頼んだぜトキ、おたあ」


 二人は素早く馬に乗り、そして手綱を強く叩くことで馬も疾走し、早めに城へ帰還することにした。


♰ ク ♰ ロ ♰ ノ ♰ シ ♰ タ ♰ ン ♰


「トキ様、こちら空き部屋になっていますのでここに寝床を準備しましょう」

「ええ、褥はどこにありますか?」

「そこの押し入れの中にあります」

「ああこれですね、早速引きましょう」


 時貞とおたあは行長よりも早く先に城に到着し、急ぎ準備に取り掛かっていた。


「では私はお湯を沸かして薬湯を煎じておきますので、トキ様は着物の準備をお願いします」

「はい! では、私のところから何着か出して準備をしましょうか」


 おたあも手際が早く、段取り良く準備を進めていく中、時貞もしとねを準備して自室まで行き、葛籠の中から二、三着の寝間着と着物を揃えて空き部屋まで持参する。


「よし、これで受け入れる準備は済ませましたね。そろそろ戻られる頃合いでしょうか」


 暫し待つこと数刻。門の前で待っていると行長が遭難者を抱えて帰ってきた。


「今帰った!」

「お待ちしていました、行長ゆきなが様」

「と、殿!? その者は一体……!」

「何者ですか? 何故急にこちらに連れて……!」


 門番をしていた二人の男が驚いた。


「海で散策してたら遭難者に出くわした。だから連れて帰ってきた」

「ま、また拾い人ですか!?」

「行長様もお人がいいものだから……」

「ごちゃごちゃ言ってねぇで手伝ってくれ! 急病みたいなもんなんだ!」


 時貞と慌てた門番たちを含めた三人で遭難者を下ろす。


「よし、トキは俺と一緒に空き部屋まで案内してこの遭難者の身支度を手伝ってくれ。門番の二人は悪いがこの馬を小屋まで戻しに行ってくれないか」

「は、はあ……」

「いいから早くしろ!」

「は、はい、すぐに!」


 門番は馬を連れて小屋へと向かっていった。


「じゃあトキ、早速この遭難者を部屋まで運ぶぞ!」

「はい、お手伝い致します!」


 トキが先導となって用意した空き部屋まで案内させる。


「こちらで御座います」

「おお、準備しといてくれて助かったぜ! もう人一人を運ぶのにも重くて一苦労で! ひとまず、寝かせる前に寝間着に着替えさせる。まずこの体を覆いかぶさっている布を外すぞ」

「はい」


 巻かれている結び目を解いて纏っている布を脱がせようとまずは頭巾の方を外すと。


「あ……」

「おお、頭巾被ってたから気づかなかったが……」


 頭巾が脱げたことで素顔が露わになる。顔立ちは細長で彫が深く、顔立ちが男らしく美しく整ってはいるがなによりも一番目を引いたのは周囲の誰よりも目立つ赤い髪をしていた。

 なんとか話を継続しているみあこです。これでもがんばってます、自分なりに。


 今のとこ続いているという奇跡。ラノベ家になりたいならちゃんと書けって思うでしょうが、これを言うのも私には変なスパイラルがあり、元々活字が苦手で読書するのも自分が気に入っているラノベじゃないと読む気が起こらない。文法を巧みに書けるようになりたければ沢山の本を読めというでしょうが、興味のないものを無理して読む必要はないんじゃないかと私の独断では思ってます。


 そして私は「この辺は書きたいという部分」と「気分が乗らなくて書きたくない部分」が混在していて、下手するとその影響に煽られて「もう、書きたくない!」という思いに陥ったら本当に書かなくなってしまうのです。


 とりあえず、変なスパイラルに堕ちない打開策としては兎のように急いで油断するのはよくない。地道に少しずつ亀の如く山道を登っていくという慎重にコツコツと書いていくということですね。


 一番ハマっているライトノベル小説家は「西尾維新にしおいしん」先生が手掛ける全作品です。

 独特の世界観にハマる中毒者ホリッカーでコンプ目指して買って読みたいです!


 次は海に遭難していた謎の男を拾ってしまった時貞ときさだたちの奇遇を進めて書いていきます。

とりあえず、踏ん張って書きます!それでは次回!

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