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64.後悔

 マリアと王が会場を去ってすぐに大海おおみがその場に頽れた。

「お祖母ばあ様。」

 花子はなこは慌てて大海おおみに駆け寄った。

「大巫女様。」

 花子はなこの後ろに控えていたセバスがそのまま彼女の傍に膝まづくと倒れた彼女を抱き上げた。

 大海おおみが着ていた白い色の巫女服の裾が広がりその優雅な流れに数名の貴族が感銘を受けて憧れの表情を浮かべた。

 花子はなこもその姿に一瞬うっとりしかけたがそんな場合じゃなかったことに気づいてすぐにセバスに声をかけた。

「セバスさん。すぐにお祖母ばあ様の手当てを。」

 あわあわしている花子はなこを落ち着かせるようにセバスはゆっくり頷いた。

 セバスの背後にいたツヴァイは先頭になると城の兵士を威圧しながら会場の出口に向かって歩きだした。

花子はなこ様。」

 ムツキとキサラギは花子はなこの両脇でをしっかりと警護しながらそれに続いた。

「お祖母ばあ様。」

 花子はなこはこれまで経験したことがない場面の連続で心臓をドキドキさせながらもなんとかその会場を後にした。

 会場を出ると長い王宮の廊下を全員が無言で歩いた。

 その間も大海おおみは真っ青な顔のままピクリとも動かなかった。

 なんとか全員で王宮に乗って来た乗物までたどり着くとセバスはツヴァイと二人で大海おおみを運び込む。

 花子はなこも無言で運び込まれた大海おおみの隣に乗り込んだ。

花子はなこ様はこのまま・・・。」

「病院に向かってください。」

 セバスの言葉を遮って出された命令に彼はすぐに頷くとそのまま全員でルービック系列の病院に向かった。


「お祖母ばあ様。」

 花子はなこは先程から何度も大海おおみに向け治癒魔法をかけているがなんでかそれは見えない壁に阻まれまったく届かなった。


 なにがどうなっているの。

 なんでなんで・・・。

 花子はなこの横では大海おおみが何度もうめき声をあげていた。

 花子はなこは治癒魔法が届かない中、それでも諦めきれずに”治癒”の文字を描いてはそれに魔法を乗せていく。

 そのうちに前方に病院の建物が見えてきた。

花子はなこ様。まもなく到着します。」

「セバスさん、治癒魔法がきかないかもしれないから・・・。」

「お任せ下さい。すでに治療薬の準備はできています。」

 セバスがそう説明した時には乗物が病院の横に止まっていて担架を抱えた人物がその場に待機していた。

 彼らはセバスがドアを開けるとすぐに大海おおみに近づくと何かの薬を投与した。

 彼らはそのあと大海おおみを担架に乗せて移動しながらも次々に薬を彼女に投与していた。


「お祖母ばあ様。」

 花子はなこが見守る中大海おおみを乗せた担架は緊急用の通路の中に消えて行った。

花子はなこ様。まだ治療には時間がかかりますがこちらでお待ちになりますか。」

 花子はなこはセバスの声に無言で頷いた。

 たとえどんなに疲れていてもお祖母ばあ様の容態が気になって休めない。


花子はなこ様。よければ何か召し上がりませんか。」

 ムツキの提案に花子はなこは首を横に振って否定した。

「ありがとうムツキ。でもなんかお腹すいてないの。」

「では休憩室でお待ちになるのはどうでしょう。」

「そうね。」

 花子はなこはムツキに連れられ乗物を降りると休憩室に向かった。

 休憩室には座り心地のよさそうな大きなソファーが置かれていた。

 花子はなこはそのソファーの真ん中に腰を下ろした。


 目の前にはいつの間にかきれいな星空が広がっていた。


 お祖母ばあ様。

 花子はなこはソファーに腰を下ろしたまま頭を抱えた。

 なんで探索魔法を飛ばしたときにわからなかったのか。

 それにあの時放たれた魔法をすべて防いでいれば・・・。


花子はなこ様。よければ飲んでください。」

 ムツキが花子はなこの前に湯気の立つカップを差し出した。

「ありがとう。」

 花子はなこはそのカップを両手で包み込むと一口飲み込んだ。

 温かい液体が喉を滑り降りていく。

 味はコクがあって・・・しょっぱい・・・えっ・・・これって!

「なんで味噌汁。」

信子(のぶこ)様が入院中よく好んで飲まれていたとお聞きしましたので・・・。他のものがよろしかったでしょうか。」

 入院中マグカップでお味噌汁を飲んでたんだ。

 あの人ってなんでこう・・・コク・・・美味しい。

 花子はなこは気が付いたらすべて飲み干していた。

 するとぐうーとお腹がなった。

「何か食べられるものをお持ちします。」

 キサラギが素早く立ち上がってかけて行った。

 本当私ってば・・・。

 花子はなこはもう一杯お味噌汁のお代わりをお願いするとキサラギが持ってきた食事も食べ始めた。


 お祖母ばあ様。

 花子はなこは目の前に広がっている星空を見ながらご飯を口に運んだ。

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