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52.ツヴァイと婚約者候補

「お帰りなさいませ、花子はなこ様。」

 玄関扉をくぐるとそこにはセバスが一部の隙もなくかっちりとした執事服を着て待っていた。


「ただいま、セバス。すぐに訓練したいのだけど。」

「畏まりましたこちらでございます。花子はなこ様。」

 花子はなこは”白の宮殿”に到着するとすぐに今日の朝訓練した訓練室に案内された。

 訓練室に入るとどこかで見たことがある人物がセバスと同じように執事服を着て待っていた。

「お帰りなさいませ、花子はなこ様。」

「えっとただいま・・・。」

 花子はなこは名前が出てこなくて口をパクパクさせてしまった。


「お珍しいですね。ツヴァイさんがこちらにいらっしゃるなんて。」

 キサラギが口をパクパクしている花子はなこに代わって後ろから気を利かせてくれたのか声をかけていた。

「はい。もう用件は済ませましたので良ければ花子はなこ様の訓練のお相手でもと思いましてこちらに控えていました。」


花子はなこ様。いかがいたしましょうか。」

 セバスがすでに訓練室の魔道具の前でコンソールパネルを操作しながら声をかけてきた。

「そうね。色々なパターンを訓練したいからぜひお願いしたいわ。」

「ではツヴァイ、花子はなこ様のお相手をしなさい。ところで花子はなこ様、気候や場所の設定はどのようにしますか。」

「前回と同じだとさすがに対人戦じゃきついから1レベルだけ下げて頂戴。」

「畏まりました。」

 セバスは前回とは違いAA(ダブルエー)の環境レベルを設定するとスイッチを押した。

 魔道具から小さな振動音が響いてすぐに周囲は猛烈な嵐となった。

 花子はなこが嵐の中で仏像のようにピクリともせずにいるとツヴァイはその場から後方に飛びながら攻撃用の短剣を取り出すと強風に乗せてそれを彼女に放った。

 花子はなこはそれを自分の周囲に張り巡らした防御壁で弾き飛ばした。


 さすが花子はなこ様。

 いとも簡単に防御してくださいますね。

 ですが私にも護衛としての矜持がありますのでここは本気をださせていただきます。


 ツヴァイは今度は先ほどと同じ投擲武器を使いながらもそれを重ねて放った。

 花子はなこは先ほどと同じように放たれた武器を防御壁で弾くが同じ地点を二重に攻撃され防御壁が音を立てて崩された。

 そこにさらなる投擲武器が放たれた。


 凄い!

 花子はなこは手に氷の盾を出すとその武器を跳ね返した。


「そこまで!」

 跳ね返された武器がツヴァイが身に着けていた鏡を割ったので花子はなこが勝利して訓練が終わった。

「けがはありませんか花子はなこ様。」

 ムツキが疲れた様子で防御壁を解除した花子はなこに駆け寄った。

「ええ、防御壁をあんな方法で割られるとは思わなかったから少し驚いただけよ。それにしてもあんな方法もあるのね。勉強になったわ。」

花子はなこ様。あのー・・・学生であれができるものがいるかどうかは甚だ疑問ですが勉強になったのならよかったです。」

 ツヴァイは少しばかり手を抜くつもりが本気になってしまった自分を反省した。

「全くです。もう少し花子はなこ様の訓練になるような攻撃をしなさい。」

 セバスが背後からツヴァイに説教を始めた。


 それを見ていたキサラギは心の中で自分が仕える主人を褒めたたえた。

 さすが花子はなこ様です。

 護衛の中でもトップスリーに入るツヴァイを本気にさせるなんて素敵です。

 でも護衛対象者である花子はなこ様を危険に晒すなんて減点ですね。

 セバスさんに説教されるだけじゃなくご当主様からも強く指導してもらうためにも今のことを事細かくご注進するから覚悟してくださいね。


 ふふふふふふ。


 キサラギは後であることないこと報告しようと固く決心した。

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