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48.飛び級するには

 花子はなこは取り敢えず味がまったく分からなくなった食事を終えて祖母に挨拶すると部屋に引き上げた。


「お待ち下さい。」

 セバスがかなり落ち込んでいる様子の花子はなこに廊下で声を掛けて来た。

 花子はなこは訝し気に後ろを振り返った。

「ご存知でしょうか花子はなこ様?」

 何を知っていると問われたのかわからなかった花子はなこは首を振った。


「一応、飛び級するには幾つかクリアしなければならない条件がございます。」

「条件?」

 唐突に始まった話に何が言いたいのかさらに花子はなこは疑問符を浮かべた。


「一つは卒業までに魔法レベルがAAダブルエー以上であることです。ですがこれはすでに花子はなこ様にはAAAトリプルエーの実力がありますのでクリアしております。」

「えっ、そうなの?」

 意外にも飛び級条件の一つは知らないうちにクリアしていたようだ。


「はい。二つ目は高貴な血を持っていることとありますがそれもマリア様の血を引いているので問題ありません。そして最後ですがこれは四年間で取得する履修単位を満たしていることです。」


 さすがにそれは無理よね。

 花子はなこは項垂れた。

「この三つ目ですが幾つか手段がございます。」

「手段?」


「はい。一つは最終試験を全て受けて合格することもしくは・・・。」

「もしくは?」

「大学内で行われる全学年を対象とした魔法試合で全勝することです。全学年対象魔法試合で全勝したものには特別履修単位が与えられますのでそれを持ってすれば・・・。」

「飛び級出来るのね。」

 セバスは力強く頷いてくれた。


「セバスさん。」

 セバスは花子はなこの顔をまっすぐに見るとすぐに一礼する。

「お任せ下さい。すぐに試合の方には申し込みをしておきます。」

「お願いします。」

 花子はなこは嬉しそうに頷くとそこでセバスと別れ与えられた自分の寝室に入った。


 これで少しは望みが出て来た。

 よし。

 やるぞぉー!


 翌朝。

 花子はなこは朝食を終えるとすぐに大学に行こうとしたが何でかそれをセバスに止められ、今住んでいる”白の宮殿”の中にある訓練室に案内された。


「ここが魔法の訓練室?」

 見るからに何もないガランとした空間が広がっていた。

花子はなこ様。レベルはいかがいたしましょうか?」

「レベル?」

 レベルって一体何のレベルを指しているんだろう。


 花子はなこが首を傾げているいるうちにセバスは壁の一部をタッチすると何かの操作パネルを引き出すとそれに数字をインプットした。

「それでは私お勧めのレベルを設定させていただきます。」

「えっと・・・じゃあそれで?」

 よくわからず返事をすると今まで何もなかった空間が突然、前世でいう亜熱帯のジャングルに変化した。

 何かの鳥や獣の鳴き声が周囲に響き渡る。


 花子はなこはその変化に目を瞠りながらもそのままそれらの音に耳を澄ませた。

 耳を澄ませた瞬間にその音は突然、ピタリと聞こえなくなった。


 シュッ!


 何かが飛来して来た。


 花子はなこが無意識に自分の周囲に張り巡らした防御壁にびちゃびちゃとイヤーな音を立てながら真っ赤な血と肉片がその壁にぶち当たりすぐ後には重い衝撃音が障壁を揺さぶった。


 何これ!


 花子はなこはゾワリとした背筋に這いあがってくる悪寒に防護壁を張ったままそこから移動した。

 かなり高速で移動しているはずだがそのゾワリとした感覚が離れない。

 花子はなこは今度は無意識にその場で動きを止めるとそのゾワリとした感覚が強い空間に向け、小さな石を高速で飛ばした。


 ガッ!


 派手な音が鳴った途端そのゾワリとした感触が無くなった。



 パチパチパチパチ

 パチパチパチパチ

 パチパチパチパチ


「「「さすが花子はなこ様です。」」」


 いつの間にかジャングルが無くなって先程の空間に戻っていた。

 そして何もなかった空間に小さな穴の開いた箱がポツンと置かれていた。


 よくわからないうちに何かの訓練が終わったようでその後花子はなこはムツキとキサラギに送られ大学に向かった。


 花子はなこ様を大学に送って行く間、ムツキとキサラギは満足感でいっぱいだった。

 今朝唐突に行われた”白の宮殿”の”次代就任式”いや仲間うちでは”次代拷問式”と裏で呼ばれている訓練機による試練を花子はなこ様はあっという間に終えてしまった。


 これは連綿と受け継がれた来たルービック家の”白の当主においての次代就任式”ではまさにAAA(トリプル)クラスではなかろうか。

 それにしてもセバス様には後でキサラギと二人、物申そうと目配せしあった。

 花子はなこ様があの試練でもしも怪我でもしようものならどうするつもりだったのか。

 それも何の説明もなくいきなりあんな超難易度の試練を課すなんて許せん。


 二人は同時に拳を握っていた。

 セバス様とは言え帰ったら花子はなこ様の代わりに鉄拳を食らわせる。

 二人はもう一度頷き合った。

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