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35.パートナー?

 花子はなこは単位取得を目指して今日は大学構内にある訓練場で魔法の訓練をしていた。

花子はなこ様。次はどのレベルにしますか?」

 花子はなこのペアはまだ決まっていなかった。

 なので今は魔法を発生させる魔道具を使って色々なパターンを想定した訓練をしていた。

「そうね。じゃあ今度は同時にランクAAダブルエーで正反対の魔法をの二つ発生させて。」

「畏まりました。」

 ムツキは魔道具を操作して水と炎の正反対の魔法を指示された通りランクAAダブルエーで発動させた。

 魔道具から放たれた水と炎の魔法は左右から花子はなこに迫って来た。

 花子はなこも両手に魔道具から発生したのと同じ威力の水と炎の魔法を創ってそれにぶつけると魔法はあっという間に消滅した。


「「お見事です。花子はなこ様。」」

 魔道具を操作していたムツキと少し離れた所で警護しているキサラギから拍手が起こった。

 花子はなこは照れて少し赤くなりながらもそれから訓練場で時間ギリギリまで同じような訓練をこなした。


 予約時間が過ぎ鐘が鳴ると扉のロックが外れる音がした。

 プシュッ

 花子はなこは魔道具をリセットして彼女の傍に来たムツキといつの間にか背後で警護しているキサラギを連れ扉に向かうとそこにちょうど扉を押して見知った女性が入って来た。

「あら、誰かと思ったらあなただったの。まだパートナーが決まっていないなんて本番大丈夫かしら?大学の名誉の為にも無様に負けることがないようにしなさいよ。」

「・・・。」

 うーん相変わらずの上から目線。

 励ましてるはずの言葉が嫌味に聞こえるってなんなのかなぁ。

 花子はなこがのほほーんとそんなことを考えている傍ではリーナの護衛4人とムツキとキサラギが今にも戦いを始めようとしていた。

 そこにノー天気な声が背後から聞こえてきた。

「すまんリーナ。遅れた。」

 黒いバックを抱えたカイトが扉から現れた。

「あれ、花子はなこちゃんじゃない。久々に会ったね。」

 なんか今花子はなこちゃんとか言われたような気がするけどきっと気のせいよね。


花子はなこちゃんもここで練習してたんだね。」

 聞き間違いじゃなかった。

「あのー呼び名は花子はなこではなく、ルービックでお願いします。」

「えー嫌だよ。だってそれじゃ他人行儀じゃないか。」

 本当に他人なんでなんの問題もないんじゃないでしょうか。

 そう言いたいが軟弱ものの花子はなこは呼び方を変えてほしいとだけ強調した。

「ええーそうかな。でもかなり年下なんだから花子はなこちゃんの方がよくない。」

 カイトがそう親しそうに言えば言うほど隣からなんとも不穏な空気が放出されてるのですがそれに気付きませんか。

 とうとうカイトの”ちゃん”付け発言にきれたリーナが彼の襟首を引っ掴むと後ろにグイっと引っ張った。

 行き成り引っ張られたカイトは盛大に後ろに転んだ。

「なんだいきなり?」

「カイト。遅れて来たのにナニそんな娘と話をしているの。訓練始めるわよ。」

 リーナはそういうとムツキたちと睨み合っていた護衛に魔道具を設定するように命令した。


 花子はなこはリーナの視線がそれたのでこれ幸いに扉を潜って外に出た。

 少し遅れてムツキとキサラギもついて来た。

花子はなこ様、お待ちください。」

 何を言いたいのかわかっているがここで彼らとひと悶着起こされても花子はなこは面倒だと思っていた。

 なのですぐに空腹だとムツキに訴えて二人の思考をそらすと三人は大学構内にある学食に向かった。

 学食に向かいながらムツキからどの学食に行くかと質問を受けた。

「どの学食って幾つもあるものなの?」

「はい。一般庶民向けのものと商人向け、それに貴族専用学食があります。」

 そう言えばここは前世ではなかったんだ。

 ついつい前世と同じ感覚でいたけど前世感覚なら庶民はファーストフードで貴族はコース料理って所だけどここではどうなんだろ。


「味はどんな感じなの?」

「そうですね。メニュー的にはいえば例えばサツマイモを焼いただけが庶民でそれに砂糖などを加えてひと手間掛けたものが商人、そしてそれを裏ごしして生クリームなどの高級食材を加えたものが貴族でしょうか。」

 さすがムツキ。

 的確な説明ね。


「それなら貴族専用学食に行きたいけど私でも問題ない。」

 ついつい庶民という意識が強いのでムツキに向かってそんな質問をすれば逆になんでそんな質問が出るんだという顔で彼女に強く肯定された。

「全く問題ありません。」

 それと同時に一緒にいたキサラギがムツキとなにやら視線を合わせて頷くと彼女はすぐに走っていってしまった。

「どうかしたのキサラギは?」

「大丈夫です。それより貴族専用はこちらです。」

 ムツキに先導され花子はなこはきれいに舗装された並木道をさらに奥まった方に歩いて行った。

 並木道を抜けるとその綺麗に舗装された道は突然レンガの壁に阻まれた。

「あれ、行き止まり?」

花子はなこ様。そこのレンガの壁に触って下さい。」

 ムツキに言われるまま花子はなこはレンガの壁に触った。

 すると壁が消えてなくなり白亜で彩られた階段が現れた。

 花子はなこはムツキに言われるままその階段を登って目に前に現れた扉を開けた。

 扉の先にはいかにも高そうな豪華な家具が置かれた部屋が現れた。

「凄い!」

「さあ花子はなこ様。お座りください。」

 ムツキに言われそこに座ると先程どこかに行ったキサラギが部屋の奥にあった扉を開けて現れた。

「さすが花子はなこ様です。料理はこちらに持ってくるように言ってありますのでもう少しお待ち下さい。」

 キサラギはそういうと前菜だけを先に持って来たようでそれをテーブルに置いてくれた。

 皿に盛られている料理は見た目も繊細な模様が描かれていて食べるのが勿体ないような素晴らしい出来のものだった。

 花子はなこはそれでも思い切ってその皿にフォークを突き刺すとパクパクとそれを食べ始めた。

 うまい。

 モグモグ・・・。

 花子はなこが黙々と食べているといつの間にか壁にあった通信用の魔道具をムツキが立ち上げたようで壁のモニターから今回の騎士科の予選状況が流れてきた。

 どうやらもう決勝戦のようだ。

 花子はなこたちが見ていると細めの騎士と大分ガタイの良い騎士がそれぞれの剣で斬り合っていた。

 実況はガタイの良い騎士が有利だと褒めていたようだがそれを見ていたキサラギが逆のことを呟いた。

 それから間もなく一撃を避けられたガタイの良い騎士が逆に細身の騎士に斬られ細身の騎士が優勝した。

「どうやらあの騎士が花子はなこ様の相手になるようですね。」

「えっそうなの?」

 慌てて画面を見たが放送は惜しくも敗れたガタイの良い騎士のインタビューが映されていた。

 その後も食事をしながら放送を見ていたが優勝者の名前以外はまったく放送されなかった。


 フレッド=ミート


 一体どんな人なんだろ?

 花子はなこはそんなことを考えながら出された食事を完食した。


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