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23.会場脱出と憐れな男

 花子はなこは何度も炎の魔法で攻撃をしかけてくるリーナ嬢にどう対処していいのやら頭を抱えた。

 下手な魔法を放つとリーナ嬢だけでなく周囲を巻き込みそうだ。

 特になんでか花子はなこの傍にいる第一王子様が一番邪魔だった。

 なんでこの高貴な人物は逃げないのか?

 お陰で花子はなこ側からは下手に攻撃できず、シールドを張って防護に徹するしか出来ない。

 ところがここへ来て何度杖を振っても魔法が全然当たらないリーナ嬢の方がますます焦れて来て炎の魔力が上がっていた。

 ここが前世なら今頃もう熱でスプリンクラーが作動して上からシャワーのように水が降ってきて火も消え・・・。


 そうか水。

 水なら当たっても別に怪我することはないだろう。

 花子はなこは前世のスプリンクラーをイメージしてから”水””ミズ”という文字を描いて魔力を流した。

 花子はなこが魔力を流した瞬間にリーナ嬢を中心に水がまさにスプリンクラーのように降り注いであっという間に炎を消し止めた。

 ホッと肩の力を抜いた目の前にはずぶ濡れになって髪は崩れ、水に濡れたことでほぼ全裸とかわらない状態になった令嬢が現れた。

 周囲にいた男性からオオーという雄叫びいや興奮の叫び声が上がった。


 相手は硬直して動かなかったので花子はなこはそそくさとそこから逃げようとしたところにやっと異母兄ブラウンが現れた。

 やっと現れた異母兄ブラウンの肩はなんでか微妙に震えていた。

 何かを堪えているようだ。

 何を堪えているかを知りたいような知らない方がいいような気がした花子はなこは迷わず何も聞かなかっ。

 すぐに二人は会場を後にしようとするがそこでまたリーナ嬢が叫んだ。

「どこに逃げる気なのこの卑怯者。その着ているものは魔法で作られたものじゃないでしょう。」

 退散しようとしていた異母兄ブラウンの足が止まりクルリと向き直る。

「ほう、何を証拠にそんな暴言を吐いてるのかな?」

「暴言じゃないわ。確信よ。私の魔力量を上回る人間がいるわけないわ。」

「ほう確信とは大きく出たね。花子はなこはきちんと新入生歓迎用ゲートを潜ってこの会場に入ったんだ、リーナ嬢。君がそれを疑ってことは君の婚約者を疑うってことになるんじゃないかな。ちなみにきちんとゲートを通っている証拠は記録されているはずだ。すぐに会場に開示出来るはずだし君の魔力量より花子はなこの魔力量の方が多い。」

 異母兄ブラウンは会場の各所に立っている警備員及び会場での案内人に視線を走らせた。

 彼等は一斉に肯定の視線を二人に返した。


「何を根拠にそんなことを言っているの。」

「証拠はすでに大学側に提出済だよ。後で調べてみるといい。それとそんなに君の婚約者がいる会社で作った魔道具の性能が悪いならルービック家が経営する会社で作っている魔道具を提供してあげるよ。」

 異母兄ブラウンはそう言うとやっと花子はなこを会場から連れ出してくれた。


 ちなみに彼らが背を向けたことで雰囲気にのまれていた周囲が我に返り、そこに走って駆けつけた婚約者の異父弟おとうとがリーナの肩に上着をかけていた。

 彼女はかなりご立腹のようでその羽織った上着の袖を引き千切ると魔力を流して金属のように固めると去って行く彼らに投げつけた。


 投げつけられた布の塊は背を向けながらも異母兄ブラウンの風魔法で粉々にされた。


「俺の上着・・・。」

 リーナの後ろには高級上着を台無しにされて涙目になっている憐れな男の姿があった。

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