霊海探偵社の依頼人1
世海の真ん中で幾百の島からなる連合国家、バームント諸島。
無数の船が往来し、流通の中心地であるこの島国の港はどこも船と人で溢れ、儲け話がゴロゴロと転がっている。最大の大衆紙ムートの表紙には毎度成り上がった者達の写真が掲載され注目の的となる。
その中で、若干15歳で表紙を飾る少年がいた。
国内最大の海運企業ウルトラCの総帥。
ムギムギパッチンである。
ポートチラス島にある最大の港町カザンに百を超える船を入港させることのできる大型格納庫を見渡すウルトラC本社ビルの最上階で少年はムートの美人記者から取材を受けていた。
少年の膝にはインコがスヤスヤと幸せそうに眠っている。
「大富豪になるひみつぅ、それはボクがゆ・・・。それはですね。私が皆様に愛されるよう常に努力しているからなのですよ」
少年はそう言って手を広げると左右に待機していたホワイトタイガーとアルマジロが近づいてクンクンと頬ずりをはじめる。美人記者は納得ですわと頷きメモを走らせる。
「あのぅ、取材中失礼しま、すぅ」
扉からオサゲ頭の女の子が心配そうな顔をして入ってきた。
「おお、秘書くん。何かな」
「総帥にその、アッチの件でお会いしたいという方が」
インコがバッと飛び上がった。
「ジケンダ、ジケンダヨー」
ピッカピカに磨かれた机をジタバタと走り汚してインコは倒れた。
小さな悲鳴を上げる記者。
少年は倒れたインコを持ち立ち上がった。
「フフ、フフフフフ、ハハハッハ」
インコが目覚めた。
「ショウキダヨ、ダブンナ」