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エピローグ0.5 どうして俺の夢の中はこんなに荒れているんだろうか? 美少女に傷が刻み込まれていくとかホラーかよ!

こんばんは。天条光です。

本日は水曜日というわけで宣言通り更新しました! ほんと、このままのペースを維持していきたいですね。まぁ、大学のテスト期間に入るまでは問題ないとは思うんですが、これは頑張って二話分ぐらい書いて置かないと。

と、初めに気づけよレベルの話に今さら気づいた天条でした!

では今話を楽しんでくださいましい!

「……くん!……くん!」


 誰か俺の近くで名前を呼んでいた。


 声に反応して目を開けると、そこは知らない場所の光景がだった。夕日に照らされていて幻想的な雰囲気のある、でもやっぱり―――見知らない場所。しかし、さっきまで感じていた禍々しい闇の存在はなかった。


 そのことにとりあえす胸を撫でおろす。


「ここはどこなんだ?」


 言って、より詳しく辺りの情報を知ろうと、ふと、横に視線を向けると、そこにはオーシャンブルーの長髪の綺麗な女の子が座っていた。


「うわぁ!」


 あまりにも至近距離に顔があったのでビックリした俺は、大きな声を出してしまった。


 そんな俺の大きな叫び声に見知らぬ女の子は肩をびくっとさせてから、少し怒った声で言ってきた。


「いきなり大きな声を出さないでよ。ビックリするじゃない」


「ご、ごめん」


 と、俺は素直に女の子の目を見て謝った。


 直ぐに謝ったのが功を奏したのだろう、女の子は「いいよ」と笑ってくれた。


 ところで、そもそもの疑問だったんだが、


 この女の子は何者なんだろうか? それに俺の身体も驚きのあまり言うタイミングを逃していたんだが、まるで小学生みたいな身長と見た目だんだよね。視線も低くて、なんというか新鮮というか、舞い戻ったというか、とにかく年齢的にも若返ったみたいなんだよね。


 そして件の女の子。たぶんだけど、知らない……と思うんだけど、なんか知っているような気もする……ぅぅぅ。


 俺が目の前の女の子について思い出そうとした瞬間。激しい痛みが胸のあたりを刺した。……なんだこれは。まるで思い出すなと魂が警告しているみたいだ……く、苦しい。とりあえず、一旦思い出すのはやめよう。


 と、俺が一人で考えごとをしていると、いきなり耳を引っ張られた。


「いててて! な、何すんだよ」


 恨みの籠った眼で振り返ると、そこには「何放置してんのよ」と言いたげな瞳で俺を睨んでいる女の子の顔があった。


「なにするんだよじゃない! 人が何度も呼びかけてもうんともすんとも反応しないハルくんが悪いんでしょうが」


「滅相もございません!!!!」


 こ、こええええええええ!? え、なに? こいつは阿修羅かなんかの生まれ変わりなの? 視線で人を殺せるぞ、マジで。


 その前に、今こいつ俺のことをハルくんって呼んだよな? ってことは、少なくとも知り合いということは確定したんだけど、俺はさっぱりなんだよな。


「あの……さ、ハルくん? その別に嫌ってわけじゃないんだよ? 勘違いしないでね。 でもさ……」


 俺が女の子の正体をなんとかひねり出そうと頭を回転させていると、いきなり女の子はもじもじと恥ずかしそうに体を動かしているので、不審に思い視線を顔の方へと向けるとほんのりと朱色が差していた。ん? ん? どうしたの?


 と唐突におかしくなってしまった女の子を見て、俺は小首を傾げてしまう。


「ど、どうしたの? どこか痛いの?」


「ううん、大丈夫なんだけど……。そんなにまじまじと見られるとさすがに恥ずかしい……かも」


「はっ!」


 そこで俺はやっと気づいて、慌てて顔を引っ込める。


 どうやら、思案に集中しすぎてしまったことが災いして、まるで今からキスしますよってぐらいの距離で見つめていた挙句、あろうことか生暖かい吐息が女の子に掛かっていたのだ。―――――うぉぉぉぉぉぉ!? これじゃ、ただの変態じゃないか! 俺の心はそんなにどす黒かったのか……。


 ということを即座に認識した俺はプロサッカー選手並みのフットワークで離れてから、ごめんなさい土下座をして許してもらおうとする。


 どう考えても、今のは俺が悪いし、殴られるくらいは覚悟しなくてはいけないだろう。


 俺が覚悟を決めて土下座のまま女の子の方を見やると、女の子はくすくすとその美しい顔を歪めて笑っていた。


「あはは。もう、しょうがないんだから、ハルくんは。もう何回目だと思ってるの?」


 と言いながら、「そんなところに座ってたら汚れちゃうから立って」と俺をさきほどの位置に座らせた。


「三回ぐらい?」


 無難というか、許せる範囲の数を取りあえず答えてみる。


「ううん。ちょうど、その十倍くらいだよ?」


 な、なにしとんじゃ!!!!! おれって!? どんだけ節操がないプレイボーイなんだよ、おれ!? あぁ、死にたい。


「そのなんだか……申し訳ないです」


 俺が今までの愚行を素直に謝ると、女の子はなぜか怪訝そうな目つきで視線を向けてきた。


「なんだか今日は妙に素直だよね、ハルくん。どうしたの? なんか変な物でも食べた?」


 怪訝そうというか、単に心配してくれていただけだったようだ。ていうか、普段の俺はそんなに素直じゃなかったんだろうか。

 女の子の発言から推測するにいつもの俺はおいそれと簡単に謝るようなヤツではなく、長々と非を並べ立てて納得しないと謝らないようなひねくれ野郎らしい。


 変態で、捻くれているとか、某人気ラノベの主人公よりも酷いんじゃないの?


 ともかく、女の子の好意ある心配をまずは解消しなければ。


「大丈夫だよ。いや、日々の行いを思い返して見たらさ、色々と迷惑をかけているなと思って。それで、謝っただけ。裏も表もないからさ、本当だよ、ほんと」


 ……裏しかありません。ていうか、裏もない気がする。


「そうやって必死に否定したりすると逆に怪しく感じるんだけど……。まぁ、いいや。これ以上聞いても答えてくれないだろうし」


「そうしてくれると助かる」


 この返し方では何かあると認めているようで女の子からツッコまれるのではないかと思ったのだが、その心配は杞憂だったようで女の子は何も言ってこなかった。


 会話がひと段落したので、周りをぐるりと首を回して見回してみる。


 まず、目に入るのは大きな砂場でだった。おそらく、十人ぐらいは一斉に遊ぶだけの大きさはあろうかという砂場には、誰か作ったであろうこれまた大きな砂山がそびえ立っている。その横には滑り台と人気ランキングのトップをあらそうブランコが取り付けられており、そして視線を左に向けると、そこには滑り台も備え付けられていた。まぁ、どこにでもある標準的な公園であろう。プレートには「キズナ公園」という標識が見受けられた。


 ―――――ふうん、ここはキズナ公園というのか……うううっ!?


 俺がその名称を思い浮かべて、先にある情報へとアクセスしようとした瞬間。激しい痛みが再び襲ってきた。


 どうやら、この公園も女の子と同様で触れてはいけない箇所らしい。なんだというのだ、いったい。


 まぁ、少なくとも良い思い出ではないらしいのは疑いの余地がないだろう。それが一体どういった類の思い出なのか未だに判然とはしないが、体が強い拒絶反応を示すぐらいには強烈で残酷な内容ではないかとは予想できてしまう。というか、心の奥底では理解しているのだろう。でも、思い出さないように無意識のうちにセイフティをかけてしまっているに違いない。開けてしまえば、死を望んでしまうかも知れないから。


 思い出すのは怖い。でも、それでは前へ進めない。永久に時は止まったままになってしまう。身体は大人になっていくのに心は永遠に囚われたまま、子供をぬけ出せなくなってしまう。それは駄目だ。だから、だから、俺は……打ち勝たなければいけない。


 決心を付けた俺は女の子へと声をかける。


「ねぇ」


「ん、なに、ハルくん」


 真っ直ぐと輝かんばかりの微笑みをたたえた女の子。けれど、決意を固めた俺が改めてみてみれば、その微笑みは歪んでいた。美しくなんかない、可愛くなんかない、その笑みは俺の弱い心が作り出した幻の微笑み。空虚な笑み。空っぽの……笑み。


 そう、女の子は笑ってなんていなかったのだ。女の子は無表情だったのだ。


「き、君の名前はなんだ? いったい何者だ!」


 俺がそう叫んだ瞬間、世界はその姿を変容させた。


 突如、ぴきぴきと空間にひびが入り始め、それは徐々に全体に広がっていくき、遂にはパリンと空間が割れてしまった。その奥から現れたのは禍々しい雰囲気をあたりに放つ、先ほどの闇だった。しかし、黒口の姿は見られない。が、代わりにグニャグニャと気味悪く歪んでいる闇の空が存在していた。


 視線を上から、下へと向けなおして、女の子をおずおずと見てみると、


「どうなってんだよ、あれ……」


 恐怖のあまり失神してしまいそうになる意識を無理やり繋ぎながら、震える瞳で目の前で起こっている理解不能な現象を理解しようと試みる。


 女の子の原型が崩れているわけではない、あの象徴的なオーシャンブルーの流麗な長髪も、クリっとしている小動物のような愛くるしい瞳も。見た目に変化は起きてはいないが、体の周りで何かがうごめきながら女の子の手と足を傷つけていっている。まるで、本来の姿を再現していくかのように、少しづつ少しづつ刻み込んでいく。幸いなのは傷が薄いというか、かすり傷程度なこと。そんな風に女の子を眺めていたその時だった。


「!? 痛い痛い痛い! いきなりなんでこんな激痛が!? 全身が軋むように痛てぇ! どうゆうこと―――――!?」


 突如、正体不明の激痛に襲われて、たまらず倒れ込んでしまう。そして、混乱した頭で状態を把握しようと自分の足に視線を向けて俺は全てを理解することが出来たが、そのあまりの非現実に固まってしまった。


 何故なら、さっきまで健康そのものだった足が重軽傷を負っているように青くはれ上がっていたからである。これを幸いというのはどうかと思うが、折れてはいないようなので動かせるが、もちろん動かした瞬間には激痛が走るはずであろう。


 そして、特に酷いのは手である。折れてしまっているのは当たり前であるが、右手にはまるで電気が流れたかのようなビシっと一本長い傷跡があった。


 それを見た瞬間、俺は記憶の一部を取り戻した。


 そうだ。確か、俺が小さい頃に交通事故にあってそれで右の手に大きなけがをしたんだった。その時、確か……ううう!


 その先を思い出そうとすると激しい頭痛が襲い掛かってきて思考を強制的に遮断されてしまった。どうやら、この先についてはまだ教えてくれないらしい。


 ―――――あ、そう言えば女の子はどうなってるんだろう。


 とあまりの激痛に忘れていた重要なことを思い出した俺は、倒れ伏した体勢のままで首だけ上に向けて女の子の方へと視線を送る。果たして、見えてきたのは傷の刻まれた女の子の姿だった。


 俺の視線に気づいたらしい女の子はこう口を開いた。


「思い出してくれた?」


 その顔は実に悲しみに染まっていた。と、そんな顔を見ていると何かを思い出しそうになる。


 くっ……何かが這い上がってくるような感覚がする……脳がオーバーヒートしそうになるほどに稼働していて、思い出さないように押し返している気がする……あぁ、なるほど。なるほどな。そういうことか。


 思い出すも、思い出さないを決めるのは俺なんだよな。当たり前のことだから、すっかり忘れてたよ。灯台下暗し、とはこうゆうことを言うんだよな。


 そう、俺はさっき決心はしたけど、決断はしていないんだよな。なら、今ここで決めなくちゃいけないな。ぶっちゃけ、夢の中なんだし、これが意味を持つことは……ないし。


 なら、


 1、思い出して過去と向き合う。 2、今まで通り封印して生きてゆく。


 選択肢は二つしかないけど、きっと決断いかんでは未来が大きく変わることになるだろう。


 もちろん、俺はもう選んでいる。


 だから、


「あぁ、思い出したよ」


 1の選択を迷うことなく選び取った。なぜこのタイミングでこんな夢を見るのかは不思議でたまらないが、ちょうどいい機会だからあんまり気にしていない。もちろん、その理由を知れるというなら知りたいが。


 選択肢を選び取った瞬間、頭の中のどこかに存在していた鎖が解かれたような感覚が脳裏を駆け巡った後、今までとじ込まれていた過去の記憶がまるでビックバンのように爆発を起こして広がっていった。その過程の中で、俺は全てを思い出した。悲しい、辛い、苦痛を伴う大事な記憶を。


「じゃあ、わたしの名前は?」


「陽空 見晴ちゃん」


 と、俺が女の子――――陽空 見晴の名前を答えると、再び空間に亀裂が生じる。


 俺は一瞬身構えてしまうが、どうやら今回は禍々しい闇の津波が流れてきたり、竜巻が起きて破壊していく様子もない。


 それどころか、裂け目からひと筋の光が差し込んで、辺りを照らしていっている。


 ―――あぁ、これはなんとも懐かしい風景だな……。


 しばらくして、そこに出来上がったのは記憶のなかにある、公園。


 朝から晩まで、見晴ちゃんと二人で遊びまくっていた公園。そして、辛い思い出のある公園でもある。


 と、そこで見晴ちゃんが少しずつ薄くなっているのが目に入った。


 見晴ちゃん――――いや、俺の心が作り出した幻の見晴ちゃんはふっと微笑みながらこう言った。


「これで私の役目は終わりです。これからはそのことを忘れずに頑張って生きてくださいね」


「ちょっと待ってくれよ。まだ、話したいことも、聞きたいことも、伝えたいことがあるんだぞ」


「それは現実の私に伝えるべきでしょう。ここで、私になにを言われたとしても、私は何もして上げることも出来ませんし、応えてあげることも出来ません。そして、何よりそれは一番分かっているのはハルくんでしょう?」


「いや、そうなんだが……」


「安心してください。近いうちに私とハル君はまた出会うことになりますから」


「え? で、出会う? 近いうちに? ど、どうゆうことだ?」


 俺は言っている意味が分からず尋ねるが、答えてはくれず、


「それは――――すいません、時間切れのようです。では、さようなら」


 と、一方的にだけ告げると幻の見晴ちゃんは光の粒子になりながら、その姿を消した。


 ――――近いうちに必ず、再会できます。だから、そんな顔をしないでください。


 最後にそんな声がしたような気がした瞬間、何の前触れもなく意識が暗転した。



 運命はいつだって理不尽で、自分勝手で、怠惰である。本当に求めているものはくれないくせに、いらないものは大量に押し付けてくる。

 人間はそれを甘んじて受け入れて挑んでいくしかない。

 だから、目覚めた先にある数々の出来きごとはその一つでしかないのである。






読んで頂きありがとうございました。

今回は夢の中ということでちょっとばかり意味不なところを入れてみたのですが・・・・いかがでしょうか? なんか、凄く失敗してる感が加齢臭よろしくプンプン匂っている気がするのですが・・・・気のせいですよね?

次回からは、ついに現実の話に進んでいきますのでこうご期待ください。

では! 次話でお会いしましょう。

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