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high school symphony  作者: 結城麗漓
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就任(後編)




だが、安心するのはまだ早い。


問題は山積みだ。


まだ、風紀委員長の欠員は見つかっていないし、生徒会役員の補充も決まってない。




「残る風紀委員長は、誰にするかだな」




そう呟いた昴が、座っていた椅子の背凭れに身体を預け、白い天井を見上げる。


なので、要がアドバイスするように口を開く。




「今いる風紀委員の中から決める事は出来ないのか? 既存の役員ならば、委員会の流れも把握出来るだろうから、戸惑いも少ないだろうしな」




「ふむ、既存の役員か……」




アドバイスを受けた昴が腕を組み、少し考え込むと、紗弓と一騎に確認を取らせる。




「一騎、紗弓。現風紀委員の中から、運動部系または武術系の部員はどれくらいいる」




「ち、ちょっと待って下さい。すぐに確認します!」




慌てて紗弓がノートパソコンのデータから、生徒の検索をかけ始める。


一騎も、同じくノートパソコンで調べていたが、気になったのか、指を動かしながら、昴に訊ねた。




「なんや、昴。既存の風紀委員メンバーの中から、腕っぷしの()え人間を探すつもりか? 」




「ああ、要の言う通り、既存の役員の方が話が通じやすいしな。ま、その中にも候補者が上がらなければ、他を考えるさ」




それにと、昴の言葉を引き継いだ要が言葉を続ける。




「風紀委員は何かと、トラブルが付き物だ。暴力沙汰になる事も少なくないだろうからな、ある程度、腕っぷしがある方が対処も出来るだろう」




その要の話に、蕾も口を挟む。




「ボクもそう思うな。だってさ、ケンカになったら大抵は力付くで止めるしかないじゃん? うちの学校の体育会系の奴らって、無駄に血の気多いし、要さんや昴の考えは的中してるっしょ」




そう話してる間に、調べ終わった紗弓が声を上げるが、その表情は困惑していた。




「検索結果、出ました。でも、凄い数が多くて……風紀委員の大半が、運動部系と武術系で占められてますね」




誠以外の全員が、紗弓の回りに集まり、ノートパソコンの画面を覗き込む。


彼女の言う通り、風紀委員の役員名簿の一覧には、運動部や武術系の部員の名が目立っていた。




「ほんまやなぁ。もともと、聖桜(うち)は体育会系の部活動が盛んやからな、無理もない話や」




困ったように笑った一騎が肩を竦め、隣に立った昴が溜め息まじりにぼやく。




「この中から決めるとなると、なかなか骨が折れる作業だな。要、この中に何人か知り合いはいるか? 」




彼の知り合いならば、それなりに技量や人格も解るだろうと思った昴が訪ねたので、そうだなと呟いた要が、紗弓の横から手を伸ばし、マウスを操作して、名簿一覧の名前を確認していく。 



何度かカーソルを下に移動させた所で、要は見知った名前が目に入り、その名前をクリックする。




『白石 円』




高等部3年の女生徒だ。


背の小さい蕾が、一騎と昴の間に割り込み、画面を見るなり、読み間違いをする。




「しらいし えん? 変な名前だなぁ~」




「ローマ字で読み仮名振ってるのに、なんでそんな、あからさまな読み間違いするんだ。お前は……」




呆れ顔の昴が突っ込むが、蕾はうるさいなぁと、頬を膨らませてしまう。


そんな彼らの会話を、ギャルゲーしながら聞いていた誠が口を開く。




白石(しらいし) (まどか)だろ。3年の毒舌クールビューティーな先輩。ちまたじゃ、氷の女王なんて呼ばれてるぜ」




「相変わらず、女の事になると、情報が早いやっちゃなぁ」




その情報力を他にも活かせば良いのだがと、一騎が苦笑するが、誠は構わず説明を続けた。




「元・槍術部で、現在は剣術部のマネージャー。ちなみに誕生日は5月9日、血液型はA型で、身長168㎝。体重と3サイズも知ってるぜっ!ごふぉっ!」




行き過ぎた誠の情報内容に、昴ではなく、要が近くにあった置き時計を、紗弓が手元にあった辞書を容赦なく彼の顔面に直撃させる。




「はっ!! しまった、思わず……。死んでないか、海老沢」




「気にするな。あいつが悪い」




「そやそや、それにザリガニのしぶとさは、ゴキブリ以上やさかい。へーきや、へーき!! 」




我に返った要が慌てるが、昴と一騎があっさりと受け流す。


それにしてもと、珍しく誠に対して、手荒い実力行使にでた紗弓に、一騎が声をかけた。




「紗弓まで実力行使に出るなんて、珍しい事もあるもんやなぁ。って、あれ、紗弓?」




話し掛けた先に彼女の姿はなく、あっちあっちと、一騎の腕を引っ張った蕾が指し示した先では、悶絶している誠の手から、彼がしていたポータブルゲーム機を奪い取った紗弓がいた。




「あ、なにすんだよ!! こら、返せ!! もうエンディングなんだぞ!」




奪い返そうと、もがく誠を足で押さえた紗弓が、彼のしていたギャルゲーのセーブデータ画面を表示すると、躊躇いなく全部のセーブデータを消去する。


ついでに、途中だったゲームもセーブする事なく電源を落として、強制終了をさせた所で、誠に返した。




「ああああああああああああっ!! お、俺のユリナがぁぁっ!! し、しかも、貴様、セーブデータ全消ししやがったなぁぁっ!! ああっ、桜や希美、うわぁぁっ一番苦労した麗香のデータまでぇぇ!」




「黙りなさい、変態!! お姉さまの情報を、貴方の汚ない脳味噌にインプットしていた罰ですっ!! 」




絶叫し、のたうち回る誠が大激怒するが、凶悪に眉を跳ね上げた紗弓も負けじと言い返す。


そんな彼女が発した、お姉さま発言に、要が首をかしげるが、紗弓は誠と激しく言い争ってるので、聞くに聞けない。




「ちくしょおおおおっ!! おおオレの彼女たちを返せーっ!! 桜、希美、ユリナ、麗香の思い出を今すぐ返しやがれー!! 」




「知りませんよ。そんなに二次元の彼女が良いなら、今すぐ自分が二次元の世界に行ってしまえば良いでしょう!! この変態微生物!あなたの存在自体が有害なのよ!! 」




「なにをーーっ!! 貴様ーっ!! 今すぐ調教してやる!この海老沢 誠さまを怒らせたらどうなるか、たっぷり身体に教えこんでやるーっ!! 」




紗弓はともかく、いい加減、誠の声が耳障りになってきた為、昴が背後から彼を蹴り飛ばす。




「うるせぇっ!! テメェが紗弓を調教する前に、俺様がテメェを調教してやろうか。ああ? 」 




「ひいぃぃぃっ!! 鬼だぁぁっ!! 」




すこぶる目付きを悪くした昴の迫力に、誠は躊躇う事なくひれ伏し、悲鳴を上げたのだった。

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