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共産主義者が異世界に転生したら

作者:電磁波
 大学闘争に明け暮れた共産主義者の青年は、その最中、味方の放った投石が命中し、死亡してしまう。彼の魂は現実世界を離れ、異世界に流れ着く。そして、何の因果か記憶を保持したまま彼は転生する。
 異界に落ちた共産主義者は、いまだその熱意を失ってはいなかった。魔法文明を築こうとしているこの世界は、貧困と暴力が絶えない世界だった。格差を是正し、人民の幸福を達成するため、彼は再び理想郷建設のために行動する。幸いにも転生先で容姿と声帯に恵まれ、人を惹きつける才能を授かった青年のもとには、人がたくさん集まってくる。
 魔法に頼りがちで、文明の速度に哲学がまったく追いついていなかったこの世界で、青年が披露した「理論」は様々な人々を虜にしていく。人間、エルフ、ドワーフ、騎士も魔法使いも分け隔てなく、彼の思想は広がっていく。
 既存の宗教が否定され魔法兵器だけが暴れ狂う世界で、共産主義は猛毒だった。誰もがその虜になっていく。
 だが、学生闘争途中で死んだ青年は、共産主義のたどった末路を知らない。また、人類すべてがホモ・サピエンスなる一つの種であるという前提をもっている「理論」は、異世界においてある矛盾を露呈させていく。
 青年は、かつて人類が乗り越えたはずの「巨悪」と対峙することになる。
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