さりげなくキメろ
本日二回目
とりあえず試着してみる事に。
「これは…どうなんだろうね」
鮮やかなグラデーションの入った黒のビキニみたいな水着。それに腰に巻いたパレオ…構図としては悪くはない。
だけど、オレの背が小さいからなんとなくちぐはぐな感じ。
背が高くて美人なら凄くイイな…。
見苦しくはないだろうから問題ないんだろうけど、これはガンバリ過ぎじゃないのかね?
二人が「いやいや似合うから大丈夫」とか喜んでるならそれでいいけどさ。
…ん、まぁこれぐらいなら問題ないか、たまにの家族サービスって事で。
◇
「ごめんください。」
暑くて開けっ放しだった扉から声を掛けられたのだが誰もいないー?
「はい「まずは羽織ろうか」んで?」はいはいどちらさんで?と振り向いたら頭からローブを引っ掛けられた。
そうだね水着だから見られては困るこたないけど健の言うとおりローブは着ておきますよ。
「えぇと、オタクはどちらさんだ?」
服を着ている間に健が対応してくれている。
くはぁ、役目をとられたっ!?
「こちらの法師様に合わせていただきたいのですが。」
「…用件より先に、名前くらいいったらどうだ。」
おや?言うことはごもっともだけど健がなにやらイラついてないかい。
「…野郎タダ見しやがった」
なる。真一が低い声で手掛かりをくれたよ。
保護者も大変だ。
でも、裸でないから別にそんなに気にしなくて構わないぞ。
水着みたいな鎧着た冒険者って結構いるんだしー…って、そう言う問題じゃないか。
「王国騎士団所属のデルックスといいます。法師様は御座いますか?」
あぁ、どうやら件の騎士さんみたいだね。
居留守使いたいけど、背中越しだけど覗いた時にバッチリ見られてるね。
「おr…『いない』
健の声が被った、しかも真ちゃんが“しーっ!”って、口押さえてるから声も出せん。
「だけど、今確かに…」
「他の奴ならいるがアンタの言う法師様とやらは留守だ」
なおも言い募るデルックスさんに対し苛立ちを隠そうともせずに健が言い放つ。
「そうですか、失礼しました。残念ですがまた後ほどうかがいます。」
「いや、アイツもそうだけど、今から俺達も依頼で出かけなくちゃならないからな。悪いがいつ帰るかわからないから用件があるならギルドに伝言でもしといてくれ。」
今からってヲイ。気に入らないからって、いくらなんでもやりすぎでないかい?
「…そうですか。」
デルックスさんずいぶん二人に嫌われたみたいだね、だいたい騎士団の人に関わるとろくでもなさそうだから聞きたくはないんだけど。
「妹の着替えをみたんだからあたりまえだと思わんか?」
なるほどっ!これから起こるのは―
「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せなんむむ゛ー!!」
「落ち着こうねー」
息できないってばっ!




