【街に帰還】・修正版
「到着~っと」
「それじゃ、鍵もらってくる。」
健はそう言いながら隣の宿屋に入っていく。
宿屋街の至る所に見られる宿屋を囲む細長い小屋。塀の代わりに建てられたその長家をオレ達は拠点として借りている。
基本的に荷物はイベンリだから貴重品もないのだか、長く空ける時はカギを家主に返すのが普通だ。
理由はパーティー全滅でカギを失う事があるからだそうだよ。
奥行きは二メートルあるかないかで、玄関先が細長い六畳間で日本の現代家屋の洗面所よりちょいと大きい部屋が二間続きになっていてそこで寝泊まりしている。
↓↓玄関ロビー(笑)
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↓二畳間(影丞部屋
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↑三畳間(健真一
下手にアパートを借りるより人目があるだけ安全だし安い。
冒険者や旅人はこういうのを“外借り”とばれている。
恥ずかしい事ではないが、長年冒険者しているならアジトがあって然るべきなのでアジト(自宅)がない外借りは、若造とか未熟者扱いされる事は少なくない。
堅実なグループはやはりしっかりした拠点を所持しているが、ウチに至っては自宅を持つといざと言うときにげれないからなと健は語っていた。
いや、住み心地悪くないんだけど、コレに慣れちゃうと不味いのかねぇ…。
「影丞、女将さんが後で来てほしいってさ」
そう話す健は鍵をチャラチャラ鳴らしながら歩いてくる。
「マジ?着替えたらいくけどなんだろね。」
「ん~、いつもより期間がながかったからとかか?」
ガチャガチャとカギを開けながら健が返してきたが女将さんから呼び出しとは珍しくもない事だから検討がつかない。
ここにいる間は自炊しないで、朝昼晩は宿屋の一階にある食堂でとっている。だから、わざわざ呼ばずとも三人で行くことになる。
呼び出しと言うことはその前に来いって事だからねぇ。
何かあったにしても大した用事(冒険)ではないだろうから行きますか。
◇
甚平みたいな簡単な服に着替えて食堂の入口を潜る。
「こんにちは、マリアンさんいてますか?」
なぜか関西弁Wow
「おぅ、来たかエースケ」
カウンターの奥にある厨房から聞き慣れた野太い声が帰ってきた。
席に向かう。
「大将なにしてます?」
「なにって、見てわからねえか。」
「…解体にしかみえません」
返事を返してくれたのはクマみたいな風体をした宿屋の旦那さんだ。
厨房が狭苦しく見えるほどの体格と、近隣では珍しい赤黒い髪と無精ひげが某赤兜クマを彷彿させる料理人さんです。
その手元はせわしなく動き、ブツを手早く解体している。
赤く染まった両腕が命の有り難さを伝えてくれますが、ビチャとかバケツに切り分けられる内臓がすげーグロくてキモチワリィ。
「せっかく生きがいいの手に入れたからよ、分けてやろうかと思ってな。」
「それってもしかして普通のクマ?」
「知り合いが今朝方しとめたらしくてな…ほらよ。」
「ほらよって渡されても…。」
解体したばかりの内臓がはみ出るほど盛られたバケツを渡される。
「カンポウとやらだとクマの肝も素材になるんだろ。」
「そりゃなるけどさ。」
「血抜きはしてあるから持ってけ」
ドスンとバケツごと渡されましたが、この重さになると両腕でも持ち上がらんのですが?
20リッターのポリタンク位あるはず…。
「アリガトウゴザイマス」
「後、マリアンは急いで買い物に行ったから今いないぞ。」
「マジですか?」
「おおマジだ。すぐ帰るだろうからちょっと座って待ってろ」
さっきの今でいないのか相変わらず忙しない女の人です。
大将が肝くれたけど、魔物と違って効果はないから需要がないんだよな。
肉食獣は堅くて臭いし不味いのだよ。
魔物はそんな事ないらしいから結構出回ってんだけどね。
何にしても持ち帰れないうえに内臓なんてあっても困る。
「大将、クマ料理作れる?」
「作れるがどうした。」
「普通に、料理してもらっていいですか?」
バケツをそっと差し出す。
臭みが強いからプロに任せたほうが絶対においしいだろうし、クマの肝は漢方薬というより薬膳料理のなんかだったんじゃないかな。内臓まるごとだとオレには腐らせるだけだよ。
そもそも生の内臓なんか触りたくない。
これが、こて〇ちゃんなら喜ぶけど…。




