ダチはいふ・修正版
これはマズい。
拠点に帰るとテントの前に人集りができ、真一と影丞が正座をさせられていた。
それを見たおれは迷わず回れ右をした。
おぉ、森の木々が枝を揺らし呼んでいる。
今日は夕方まで森のほうで薬草でも探そう。
―しかし、なにがあった。
◇
俺の足が…足がしびれている。
「正座。」
「…はい。」
隣の影丞は足を崩しているようだが、芋虫に籠もっていただけでどうしてこんなに責め立てられなければならないのか。
なぜだ?
「シンチ…、そんな事で仲間を悲しませてどうするるんだ。」
悲しませるも何も泣きたいのは俺の方だ、慎みのあるムッソリスケベ万歳じゃないか。
「女の子がいるってのに下着一枚取り上げられたからってイジケてたんじゃカッコつかないだろうに。」
黙れ、マリーさんの下着は角度も色も匂いも絶妙なんだ。
今更、あきらめるなどできるか。
どすっ
「…っぐぁ、いきなり何を。」
いきなり背中を蹴られ四つん這いになる。
「だだだって、ミリさんがやれって。」
チラチラとミリさんを見ながら話す影丞。オロオロといつもからは想像つかないほど動揺した影丞がそこに立っていた。
くっ、立ち上がるにも足のしびれがジワジワと押し寄せてきている。
蹴らせるだなんて一体なんのつもりだ、ギリッと歯を食いしばりミリおばさんを見る。
「なぜ、影丞にこんなマネを。」「こうでもしないとお互いにわからないだろうからね。」
“手遅れになる前に”と付け加えたミリおばさんは、恰幅のいいオバサンだ、食堂とか宿屋の方が似合いそうなのに、冒険者としての年季の入り方が俺たちとは明らかに違うまさにベテラン冒険者だ。
―でも、蹴らせるなよ。
影丞がフードの下から申し訳なさそうに見ているが、狭まる包囲網を前に俺としてはそれどころではない。
「者共、やっちまいな。」
ミリおばさんの冷徹な号令と共に痺れる足に狙いを定めた女共が………。
「ぎゃあぁぁあっ!?」
いや、本当に何の意味があるというんだコレ。
下着を盗んだ訳ではないし他の女の子に手を出した訳でもない。
…………なんの意味が。
その後何度か繰り返し、事務的に蹴るようになった影丞と遠ざかる意識の中で、笑っている女達の理不尽を心に刻んだ。
袋の使用を控える事には同意したが、なんで俺は拷問されてるんだろう…。
マリーさんが作ってくれたパンツは還らないし、下着が好きで何が悪いと言うのか女共の考える事は理解できない。