健参加中・修正版
「え、撤退するのか?」
影丞に真一を任せた後、集合場所で直に交渉し並みのグループに参加させてもらったグループのリーダーが、何体目かの魔物を仕留めた所で撤退を提案してきた。
「あぁ、さっきまでの戦闘でうちのメンバーも怪我をしているし、明日に支障がでないとは限らないから早めに切り上げようかと思う。」
「そうか、なら仕方ないか」
まだ昼前で、一日中張り付いて普通のグループのやり方を見せてもらう予定だったのだが、肩すかしを食らった気分である。
これまで戦ったのは並みのサイズのウルフが二体に、ウルフの死体を横取りしようと現れたゴブリンが三体。人数がいるから役割分担していまいち物足りなさがあるが、グループリーダーを含めあちらの面々は包帯だらけで現代日本であれは満身創痍と称しても笑われる事はないハズだ。
もちろん、連日の戦闘からくる精神的疲労も最大の原因なんだろうが疲労から注意力散漫になり戦闘に精彩をかき怪我が増え、その怪我で反応が鈍りまた怪我が増える。
―これが普通。
並ならぬ体がある俺たちだから、ケガの一つもなく毎日参加している訳だが、グループ単位での参加が困難なグループもいくつかある状況らしく、動ける者同士で一時的に混成部隊を作っている所も少なくないらしい。
初め見た時は過剰戦力っぽかったのに、今ではちょうどいい人数が動いてるらしいし、強制依頼ってブラック企業みたいなもんだよなな。
必要なのは理解するがランクあげたくねぇわ。
「確かにこれじゃ仕方ないか。」
「すまないな、事情が事情だからな手当てが終わったら移動しよう。」
「わかった。」
とりあえずわかったのは、並みの魔狼は普通の冒険者には十分脅威ではあるのは間違いない。無理な狩りをして被害がでては意味がないからな。
「ポーションはないのか。」
「最初の侵攻で持ち込みのポーションは使い切った。
町に帰らないと補充も難しいから、どこもストックなんかないんじゃないかな。」
「ギルドの出張所にもないのか?」
「冒険者ギルドにはないな。販売権のある魔法藥ギルドが持ってきてるやつは街なら同じモノが二本買える。」
「運賃込みかよ。」
完全に足元みてんだな。
怪我は事故責任とはいえ回復藥くらい支給にしろよ。
たしかに冒険者ギルドじゃ回復藥扱ってないって話だったけど同じ建物に窓口があるんだからギルド同士で融通したって構わないだろうにな。
「キズ薬くらいいくつか融通できるがいるか。」
「本当か?」
「それか、素材だけでいいならタダでいいけど?」
「いや、そんな道具ないから出来た奴でお願いしたい。」
やっぱ作る道具はないよな。
影ちゃんの暇つぶしになるように持ち歩く俺たちがおかしいのかだけど、影ちゃんは中級ポーションからは足が抜けているし、上級ポーションはレシピと素材の関係で手を出してない。
部位欠損なら月下美人でいけるし、中級があれば大概のけがは治るから必要もないんだよな。
因みに一般的なポーションは中級からだ。
下級は一般家庭向け。
元々自然界にある物を再現したのが各種魔法藥だから本物を知ってしまっていると、今みたいな売り目的でしかつくらないし。
「いくらだ?」
「そうだな、初期だし一本千で三本で三千ギルでどうだ?」
「ほとんど相場だがいいのか?」
「まぁ、帰ればストックがあるし持ち帰る手間を考えたらそんなもんだろ。」
腰のポーチから瓶を取り出してリーダーに手渡し、かわりに小さな銀貨を三枚渡される。
「毎度。」
ギル通貨は基本的に硬貨で出来ている。
金一万以上銀千銅百から~一ギルまで一ギル=一円相当で初期ポーションはギルド売りで950ギル。
初期ポーションは全身の怪我を治すとなると瓶を一つほとんど使いきるから、50ギルくらいなら上乗せしてもいいだろう。
なにより、オレに小銭がないからな。
「今飲ませれば回復するだろうけど、すぐに飲むか?」
「言い訳にならないから帰ってからに…。」
「たまにゃ、帰ってゆっくりしてもバチはあたらんだろうよ」
おれもガツガツやりたい訳じゃないから、帰りたいムードからやる気を出させるつもりもない。
依頼とかめんどくさいもんな?
「おれらみたいに草抜いてる方がいいぜ?」
「それは同意しかねる」
―そか?




