体は軽く
「討伐任務は基本的に“狩って”現物がある状態で受けないとだけどタケルんとこなら楽勝じゃないか?」
「ウチは人数も足りねーし草だけでも生きてけそうだし、ソッチはあまり受けそうもないぞ?」
「タケルんとこは、みんな収納持ちだっけ?配達とかもできそうだからうらやましいな。普通の俺らみたいなグループは収納がないから狩り一択になるんだよ」
「配達か?わざわざ他の街までいくのもダルいし多分やらないな」
「でも、手ぶらで帰ってくるのは結構有名な話だからな。やりたくなくても、収納サイズと量に制限がないとくりゃ、商人ギルドから指名で配達依頼が入ってもおかしくないぜ」
昔知らずに配達を受けて荷車の手配に苦労したんだと、隣の長屋に住んでいるグループリーダーのマリクさんが健と話をしている。
赤い髪をした割とふつう顔の青年でランクはABCDEFの中の中堅冒険者のマリクさんは、仲間四人と討伐任務を主に受けて冒険者をしている人なんそうだ。
隣に並ぶタケルが普通に話していて違和感がないのはタケルが老けてるからか?
お仲間はみんな結構ゴツイ感じでしたね。
とりあえず、牙や角みたいな腐らないような討伐部位なら年単位での保存が聞くから余った素材の溜め込むのもありだそうだ。
後は、魔石や宝石を一つ所持しておくと非常時に役に立つとかー。魔の森付近なら大概の魔物が狩れるが行き帰りだけで日が暮れるから数日野営する必要がありなかなかに大変なようだ。討伐部位より魔石を求めて冒険者は狩りをしてるそうで、魔石は頭かハラを捌かないと魔石があるかわからない。
頭も腹もアウトだわ、スプラッタな時点で魔物狩りは出来ん。
そもそも、刃物の切りつけるのが難関だの。
狩りしなかゃ飯食えないのはわかるけどラノベの主人公達はよく魔物狩り出来たなー。近場の山は小鬼のお陰で魔物が少なく採取に向いているので、そちらがオススメだそうだけど、ポポタン採取依頼が一週間位で消えてしまったので、ポポタンを花・茎・葉・根・各部位毎に解体して瓶詰めにしたものを魔法薬ギルドに卸している。
部位毎に分けてあると買取金額が高くなるので安定した収入があるんだけど、常駐依頼を受けてないからランクがEから全く上がらないですわ。
冒険したいわけじゃないから安定してるならそれでもいいかな?
あと、情報収集してわかった事が幾つかある。
この辺りで日帰りで行き来が出来るような街は港町だけで、街の南側の穀倉地帯に存在した集落や村は安全策のために高い壁があるこの街に居を移し街の付近新たな畑を作ったのだそうだ。
そのため、草原には廃村が点在し、その中のまだ使える家屋を依頼中に拠点にするといいと言い、ついでとばかりにあまりありがたくない話しも加えてくれた。
小山の麓に曰く付きの村が一つだけ存在し、どんな作物も育成段階で色がくすんでしまう病気になってしまうでそこだけは未だに誰も近付かないのだという。
―ガクブル
オレ独りで草原出歩けないかも。
とりあえず、海の方角はわかった。
足の速い人なら半日も東の街道を歩けば港町まで行ける。
ほとんどやる人はいないが、浜に行くだけなら草原を突っ切ればもっと早く着くらしい。
背の高い草が邪魔になるし、正しい方角に向かわないと大変らしいね。
足手まとい必至!
◇
「いくぞ影丞っ!合体だっ!!」
「ら、らじゃーっ!」
足を開いて立つオレの後ろから、四つん這いになった健が股の間に頭を通し立ち上がったら完成。
―これぞ。
「「完成!究極合体カタグルマーッ !」」
「わらび餅もあるよ!」
なぜ真一はわらび餅担当した!?局地的なネタしてどうする気さっ!
オレの足をガッチリ掴んでそのまま、空高く舞い上がる健。
「発進!超無重力ジャーンプ」
一瞬で四階建てのマンションベランダの高さ(推定)に至り、数秒間滞空した後一気に下降が始まる。
―うん叫ぼう
「っぴょあああああっ??」
「待って健!影丞がオチたっ?!」
遠ざかる意識の中真一が健に制止を要求したが落下は止まってくれない?!
目が覚めたらちょっと湿っていたっぽい。
まだseason0は続きます