表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

シンイチのサン

ああ、腹が痛い。顔もぶつぶつだらけになってるわ。昨日食べたアイスとフライドチキンの食べ合わせが悪かったか。


何で味が濃くて、うまいものばかり食べると体調が悪くなるんだ。おかしいだろ。野菜なんてくそまずいもの食べたくないんですけど。


もう何もやる気起きんわ。外に出る気力もない。背中に重いものを背負ってるかのようにしんどいから今日は寝る。明日しんどくなかったら、何か考えてみよう。


……もう昼か。何時間くらい寝たんだろう。寝ても寝ても疲れが取れんわ。天井からつり革みたいなもの降りてきて引っ張って起こしてくれないかな。


そんなことを考えながら俺はまた寝た。


……もう夕方になっていた。さすがに今度は布団から出たが、四つんばいでたたみに頭をうずめたうつぶせの状態からなかなか抜け出せない。だって眠いんだから。立ち上がるということはすごく体力のいることだなあ。急に立つと心臓に悪いから、こうやって四つんばいになるのがベストなんだ。


-1時間後-


よし、そろそろ起きるか。俺は四つんばいから正座の姿勢に体をシフトさせ、頭に血液を流すことに成功した。


うーん、さすがに1日何も食べないと、お腹が減るなあ。かといって、家には食べ物はないし、財布に金もない。


しょうがない、何か売るか……。


俺は正常に血液が流れ始めた頭で、金になりそうなものを考えた。


そうだ、ストレスを売って見よう。こんなもん、あっても病気の原因になるだけだしな。


俺はライラを呼び出し、依頼した。


「ストレスを売ってくれ。」


「かしこまりました。それで、どうするの。今あるストレスだけ売る。それとも一生分のストレスを全て売りはらっちゃう?」


「うーん、全てか。まあ、どうせこれからも必要ないんだから、一生分売るわ。」


「了解しました。」


「お待たせしました。代金は2,300,000円です。1割はもらうね」


「!!!」


「207万。すごい。やったわ。俺超金持ちじゃん。買ったやつバカだろ」


「他に売るものはないですか。では私は失礼します」


ライラは帰って行った。


さてと、7万円でまず食事とか漫画喫茶とかに行ってこよう。話はそれからだ。

俺は数日前と同じように、人生を満喫した。


だが、ここからが数日前とは違うのだ。俺は1週間ほど気ままな生活を過ごした後、残りの200万円をどう使うか真剣に考えはじめた。


おおかた、物語の登場人物ならここでギャンブルや変な人にお金を預けたりして人生を台無しにするんだろうな。だが、俺は違う。俺は今まで色々な人間が破滅するのを漫画やドラマで見てきた。やつらと同じ轍を踏むことはありえない。


俺は1日中、布団の中で頭を働かせ続け、ついに決断した。


そうだ、顔を整形して、ブラック企業に就職しよう。こういう時こそ、堅実に働いて稼ぐのが王道だ。どうせ普通の企業は、職歴無しでは雇ってくれないしな。だがそのためにはまだ売るものがあるな……。


俺はライラを呼び出し、こう告げた。


「涙、くよくよする心、引っ込み思案、度胸のなさ、協調性のなさ、小声、滑舌の悪さ、怒った表情、すねた表情、悲しそうな表情、前かがみの姿勢、一生分だ」


「かしこまりました。……全て売れて、1200万円になったよ。120万円はもらうね」


「はははははは。ざまあみろ。この金で超のつく男前になって一流のスーツを着て面接に行ってやるわ」


「順調なようだね、それでは失礼」


ライラはそう行って消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ