島根 結(2)
島根結の、ドキドキ恋愛テクニック講座!
「はいはーい、皆さ〜ん! こんにちは! 出雲より愛を込めて、恋愛マスターの島根結です!
みんな、毎日ドキドキな恋はしてるのかな?
今日の出雲流ドキドキ恋愛テクニック講座は、気になるあの人への…初アプローチ!
起承転結の『起』ファーストコンタクトを上手くこなすお勉強をしましょう!
と、言う事で。
今日の受講者は都道府県学園の3年生で、学園の裏グループ『維新』のリーダー、番長の異名を持つ…頼れる硬派な高知龍子センパイ!
なんとこの高知先輩、今までの人生で異性への告白回数が0回、異性とお付き合いした回数0回、と言う筋金入りの硬派(と言う名の初心)!
果たして恋愛経験0の高知先輩、初の気になる異性へのアプローチは上手く行くのか⁉︎
私、恋愛マスターの島根結が全力でお手伝いするよ!
ステップ1
まずは、出会い頭の1アクション。
第一印象。コレを大きな衝撃として、相手に私と言う存在を知ってもらう所から。
よくあるベタな例としては、寝坊しちゃって学校に遅行しそうな朝。
食パンくわえて全力ダッシュで学校へ…
そしてふとした曲がり角。前方不注意で出会い頭に相手とごっつんこ!
いたた〜っ! す、すみません!
って可愛く謝って、相手との出会いに1つのアクションを!
さあさあ、高知先輩も。まずは出会い頭の1アクションで土佐先輩にレッツアピール!」
「…結ちゃん、長い」
「お、おっし。まずは出会い頭でごっつんこ!だな!」
「高知先輩大丈夫っすか? 目が、目が血走ってますよ…」
翌朝7時半。
俺と結ちゃんと高知先輩は土佐先輩宅のすぐ近くの交差点にいた。
もう直ぐこの道を歩いて土佐先輩が学校へと登校する時間。
高知先輩、目を血走らせながらも食パンをくわえて角に待機。
そこから少し離れた場所に俺と結ちゃん。
「結ちゃん、こんなベタベタな展開で上手くいくのか…?」
「先輩は分かってないです。少年漫画は王道が面白い、みたいに、恋愛も王道こそ成功への道なんですよ! 特に高知先輩はまだ初心みたいですし、案外こっちの方がすんなり…」
「…そうなの?」
本当か?と思いつつ、目前の角にいる高知先輩の方へ視線を向けたら…
「よ、よぉ土佐!」
「あ? 高知か」
目の前の交差点で、既に高知先輩と土佐先輩が出くわしていた。
「……ッ⁉︎」
「……っ!!」
俺、結ちゃん共に、いつの間にっ!? とばかりに息を飲む。
そして気付く。
「あれ? 高知先輩…食パンくわえてぶつかったのか?」
あからさま、いかにも普通に出会った感で交差点端で会話をしている2人。
どうやら、高知先輩が隠れていた角の方から土佐先輩は来てしまったらしい。
「おぉ…マジか」
「ちょっ、先輩! どうするんですか⁉︎」
交差点奥の電柱の影で俺と結ちゃんはあたふた。
一方交差点では、
「どうした高知、こんな所で?」
「あっ、いや…あっ! アレだ、アレだよ!」
「あ?」
「アレだ。土佐、アタシこれからお前に告ろうとしててさ」
「…はっ?」
人間、予期せぬ事態に陥り、正常な判断が難しい状況下に置かれた場合。
頭の回転が鈍い人間ほど、
無意識に爆弾を投下してしまう悲しい性がある。
「何言ってんだ高知先輩⁉︎」
島根結の出雲流ドキドキ恋愛テクニック講座は「起承転」をすっ飛ばし、いきなり「結」へと進んでいくのであった。




