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高知 龍子(2)

「ええっ⁉︎ 高知先輩…土佐先輩に惚れたんスか⁉︎」


「テメぇっ、バカ! 声でけぇよ!」


高知龍子。


荒々しく、恐々で。


硬派なイメージ、都道府県学園の番犬の異名を持ち、ひとたびその拳が火を吹けば、そんじょそこらの不良共など一発でK.O間違い無し。


その背中は大きく、数は少ないとは言え都道府県学園の荒くれ生徒達からの絶対の信頼を得てる、


裏のリーダーである。


凄く因みに補足すると、高知先輩は不良ではない。


校則はギリギリのラインを攻め行き、成績はすこぶる悪いけど授業は余程の事が無い限りサボらない。


サボらない…確かこの前、果たし状が来たとかで授業サボって学校を出て行った高知先輩、その後宮城先輩がその事知って激昂してたな…


ま、まぁ。

あくまで、番長と言うキャラで根は良い人、所謂女子高生そのものな人なのである。


現に今、高知先輩は俺の目の前で…


「な、なんつーか…その。あ、アタシもこんな気持ちは初めてっつーか、その…あぁんもう!」


都道府県学園の番犬が…あの勇しき番犬が…


モジモジしとる。


これは…これは…


「高知先輩」


「んだよ?」


「アレです、めっちゃ可愛いっすね今」


バシっ! …と。


持ってた竹刀で首をやられた。








高知先輩が俺を呼び出したのは、惚れた相手の土佐先輩の情報を得る為だった訳だが。


悲しいかな、俺はそこまで土佐先輩と親しい中ではなく。

高知先輩の求めているモノは提供出来ない中にいた。


「スミマセん高知先輩…俺、そんな土佐先輩とは親しくはなくて…あくまで家が近所ってだけなんです」


「お、おぅ…そうか…」


チッ、と赤面ながらに舌打ちをする先輩。


そりゃそうだ、だって何だかんだで後輩に自分の好きな人を暴露するだけの結果となったのだ。


まあ、恥ずかいよな……って事で、


「でも流石にそれじゃ申し訳ないので、土佐先輩の情報あれこれは無理でも、せめてその恋を後押し出来る、スーパーキュンキュン自称恋愛マスターさんを紹介しますよ!」


「……はぁ?」








初恋の味とは、果たしてどんな味なのか。


生憎俺には分からない。


恋の味とは如何程なのか。


因みに鯉なら食べた事はある。


淡白だけどクセが強くてあんまり好きじゃなかった。


「って事で高知先輩。多分俺だけじゃアドバイスも何も中途半端だと思って、先ほど言った自称恋愛マスターさんをお呼びしてみました」


「ちょっ、先輩! 自称は余計ですよ!」


むむっというその表情。


結ちゃんの仕草はいちいち可愛くて困る。


「初めまして! 1年の島根結です。恋愛の事なら色々とアドバイス出来ると思うので、よろしくお願いします!」


にっこり笑顔の結ちゃん。


その神々しき眩しさたるや、あの番犬こと高知先輩がたじろんでいる。


「お、おう。アタシは3年の高知龍子だ。よ、よろしく頼む…」


新鮮だ…あの威勢が服着て歩いているかのような高知先輩に、威勢がない…




そうして始まる、


「恋愛マスター島根結プレゼンツ! ドキッ! 気になるあの人と急接近! キュンキュンラブラブテクニック講座! 開演です!」


…ここに来て、俺は気付いた。


あっこれダメなヤツだ、ダメなフラグ立った…

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