1話
光子編スタート♪
櫻木聡子の妹『光子』の物語を致しましょう。
時は大正。
姉聡子が嫁いで3年が経ち、光子は16歳となりました。
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姉は長男を産んですぐにまた妊娠したようで、長男を引き連れて櫻木家に戻りただ今休養中だ。
光子は今まで自分が末っ子だったので長男勇平が珍しく、猫可愛がりをしておりました。
「あぁー。本当に勇ちゃんは可愛いーねー。べろべろばー。」
光子の変顔を見て勇平はきゃきゃとはしゃぎます。
すると…。
「光子!いつまで勇平を独り占めしているんだ!」
そう言って父藤作は勇平を抱き上げて高い高いを始めた。
「勇ちゃん。じじ様ですよー。ほーれ。」
いつもの厳しい顔はどこへやら。デレデレに勇平を甘やかす藤作でだった。
「あんなに姉様の結婚を反対していた父様がこの変わり様!じじ馬鹿そのものね。」
こそっと姉に告げ2人でクスクス笑った。
藤作は勇平を連れて部屋を出て行ったので、部屋には聡子と光子だけになった。
「姉様はいいなー。あんな素敵な夫に可愛い息子に恵まれて。」
ぷーと光子は口を尖らせた。
「あら。光子にはあの方がいるじゃない。」
聡子はお腹をさすりながら言った。
「…あー。あいつねー。…はあ。」
ーー『あいつ』とは…。
B村の女ったらし神田博。29歳。
元々は聡子の結婚相手だったのだが、一悶着あり結局聡子は恭平と結婚した。
だが、神田博。聡子のフリをしていた光子を一目惚れしたとかなんとかで…。以降、猛烈なアピールをしかけてくるのだ。
「聞いてよ!この前なんか玄関で待ち伏せされてて『君を一目見たかったのさ☆』とかなんとか言って花束を無理やり渡して帰って行ったのよ。」
「まあ!素敵じゃない。」
「冗談じゃないわよ!!いかにも女ったらしじゃないッ!!絶対に私は引っかからないんだからッ!!あのナルシストのロリコン野郎!次に私の前に現れたら蹴飛ばしてやるわ!」
『女はおしとやかに』が風潮な時代であるのに…。
妹の狂犬ぶりを見ながら聡子は『誰に似たのかしら』と首をかしげるのだった。




