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ダーククリムゾン  作者: amo
ダーククリムゾン
6/16

真意

ヘッ、ヘビースモーカーの設定、わわわ、忘れてたわけじゃじゃじゃじゃありませんっ!

 秀治と別れた健一は、大護が飛んで行った方へと足を進める最中、教会の一部が燃えているのを目にする。秀治と戦っているのが炎の魔導士と言う事だけは聞いていた健一は、それが水夜の魔法だと気付き、秀治の身を案じて心配そうに振り返る。だが、すぐに前から聞こえる足音に気付き、そちらに目を向けると、大護がこちらに歩いていた。


「よぉ。さっきはよくもやってくれたな。」


「やっぱり無傷かぃ。こりゃ骨が折れそうだねぃ。」


 健一はそう言うと、肩に乗せていた大剣を構える。それを合図に、大護は地を蹴って間合いを詰める。健一はそれに合わせて大剣を横に薙ぐ。大護はそれを屈んでかわそうとする。健一は大護にかわされると見るや、すぐさま手首を捻り、剣の向きを横から縦に変えた。面積が広くなった事でかわせないと判断した大護は、すぐに動きを止めて手甲で防御する。激しい金属音の後、大護は体ごと吹き飛ばされる。大護は体勢を崩しながらも、足を擦らせてその勢いを殺す。


「おっ?意外や意外。今のを防がれるなんてねぇ。」


「おいおい。甘く見てんじゃねぇよ。」


 不敵に笑いながらも、大護は手が痺れるのを感じた。手首を捻ってこの威力だ。まともに受けたら、ただでは済まないだろう。両者はしばらく対峙していたが、今度は健一が間合いを詰めてくる。健一が迫ってくるのを見て、大護は魔力を両手に込める。


「『対の魔剛拳』!」


 大護の頭の中では、片手で大剣の軌道を反らし、もう片方の手で攻撃するつもりだった。だが、そんな大護の計画は、健一が大剣を振り下ろすのを見て変更される。大護が頭上に両手をかざした瞬間、けたたましい金属音が鳴り響いた。


 大護の両手から伝わった衝撃が床にまで走り、大護の両足を床に沈ませる。大護の予想を超えて、健一の大剣が重く速かった。あと一瞬でも、片手で受けようとしていたら、真っ二つにされていただろう。


 そして、何より大護の顔を曇らせたのは、大剣が触れた両手から魔力が消えている事だ。


「あらら。今回は結構本気だったのにねぇ。」


「おま、えらは‥っ!防魔法、コーティングが、好きだな‥!」


 軋む両腕に力を込めて、大護は大剣を押し返そうとするが、大剣は全くその位置を変えようとしない。歯を食いしばっている大護とは対称的に、健一はまだ涼しい顔をしていた。


 しばらくその均衡状態が続いたが、急に健一の背後から大きな爆発音が鳴り、一瞬健一はその音に気を取られる。僅かに出来た余裕を使い、大護は片足を大きく振り上げる。


「『魔剛脚』!」


「おっと?危ないねぇ。」


 言葉とは裏腹に、健一は危な気もなく後ろに下がって、大護の足をかわす。だが、大護はそのまま追撃を仕掛ける。


「『魔剛拳』!」


 離れようとする健一との距離を零にし、大護は魔力を纏わせた拳を突き出すが、それは大剣の腹で受け止められ、また魔力は霧散する。だが、まだ足を床につけていない健一は、その衝撃に比例して、大きく後方へと飛ばされる。今度は大護もそれを追う事なく、また魔力を練る。


「『魔翔拳』!」


「おっと!?」


 ようやく慌てた様な声を出した健一に向かって、大護の発した魔力の塊が迫る。だが、それも大剣に掻き消されてしまう。


「やれやれ。お宅のお嬢さんはずいぶんやんちゃだねぇ。」


「悪いな。躾けしようにも、なかなか言う事を聞かなくてよ。」


 肩で息をしながら、大護は額の汗を拭う。たったこれだけのやり取りで体力を消耗してしまった。しかも、相手はまだ魔法も使ってきていない。自分の勝算はほとんどないに等しかった。


 だが、なぜか自分と対峙している男から殺気が放たれていない。そのせいかは知らないが、ここまで追いつめられても、死の恐怖は感じなかった。


 と、不意に健一が構えを解き、大剣を肩の上に乗せる。一体どうしたのかと思っていると、健一は呑気な顔で、こんな事を言ってきた。


「あんたにいい事教えてあげるよ。俺は魔法を使えないんだ。」


 それを聞いて、大護は少なからず驚いた。顔を見る限り、嘘を言っているようでもないので、ますます意味が分からなかった。敵である自分に、そんな事を離して、どうするつもりなのだろうか。


 だが、健一がまた大剣を構えるのを見て、大護も魔力を放出する。


「そう言う訳だから、せいぜい早く負けてくれよ?」


「どういう訳か知らねえが、俺もそう簡単には諦められないんでな。」


 大護の言葉が終わるとともに、二人の間合いがまた消え、激しい金属音がけたたましく響いた。







 同じ方向に吹き飛ばされていた竜次と冬馬は、飛ばされた先で地下に通じる階段を見つけていた。周りでは大護達が争っている音が聞こえるが、敵は大護達に任せて、自分達は地下を調べる事にした。


 地下に入ってすぐに、円形の広い部屋に突き当たる。階段との位置関係と、天井に大きな穴が開いていることから、ここから剣一が奇襲してきた事が伺えた。だが、開けられた穴を見て、竜次達は不審な顔をする。


「さっき奇襲された時、魔力は感じなかった筈だが‥‥‥お前は感じたか?」


「いいえ。俺も感じませんでした。」


 そう。二人の言う通り、健一が奇襲してきたとき、その場にいる誰も魔力を感知していなかった。つまり、魔力なしで天井を破った事になるのだが、その穴は、魔力なしで開けたと言うには信じられない物だった。


 この部屋から大聖堂まで、階段を下りてきた高低差を考えて、少なくとも天井の厚さは二メートルある。だが、聞こえた音は一度きりだ。これらの事を考えるに、健一は魔法を使わずに、二メートルもある木と土の塊を、一撃で打ち砕いた事になる。


 竜次は大護達の身を一瞬案じるが、すぐに考えを改める。大護達も、今までに幾度となく凶悪な敵と対して来たのだ。今回も大丈夫だろう。


 竜次は仲間を信じて、その部屋の捜索を終えて、更に地下へと続く階段を下りていった。







 秀治との戦いを終えた水夜は、所々痛む身体に鞭打って、誰かが争っているであろう場所に向かっていた。秀治と戦っている時は自分の立てる爆音で聞こえなかったが、耳を澄ませば、こちらの方から何度も金属音が聞こえる。


 そして、水夜の耳に一際大きな金属音が届くのとほぼ同時に、自分の目の前に大護が吹き飛ばされるのが目に入った。


「おい!大丈夫か!?」


「ん?何だ、はぁ、水夜か‥‥っ、悪ぃんだけど、はぁはぁ、今取り込み中だ。」


 そう言う大護は、倒れていた身体を起こし、すぐに体勢を整える。だが、その身体のあちこちに赤い線が刻まれ、肩も上下に大きく揺れていた。


「貴様、そんなにやられたのか?」


「うっせえ!お前はさっさと竜次達探しに行け!」


 ぼろぼろで疲れた様子の大護を水夜がからかっていると、向こう側から健一が大剣を肩に乗せて歩いて来る。だが、先程までの呑気な様子はなく、明らかな敵意を表情に出していた。


「お譲ちゃん。あんたが戦ってた子供はどうしたんだぃ?」


 健一の実力を知っている大護は身構えるが、それを知らない水夜は勝ち誇ったような顔で踏ん反り返る。


「ふはははは!残念だったな!秀治なら改心させたぞ!もう人殺しはしないと誓っていた!がはははは!」


 水夜の言葉に驚いた顔をした健一だったが、不意に表情を緩めて嬉しそうに笑うと、ある方向を指さす。健一の不自然な行動に大護は警戒するが、健一からは先程の敵意は感じない。


「お譲ちゃん、秀治の事は礼を言うよ。あんたらが探している謳歌師団の団長は、今はまだ地下にいる筈だよ。手遅れにならないよう、せいぜい急ぐんだねぃ。」


「‥‥お前はどうするんだ?」


 未だに警戒を解かない大護に向けて、健一は肩をすくませてみせる。


「さぁ?でも、安心しな。あの子が抜けたんなら、謳歌師団に肩入れする理由もない。だから、あんたらとやり合う理由はもうないよ。」


 健一はそう言って、水夜が来た方へと歩いて行く。


「おい、貴様!」


 不意に掛けられた水夜の声に、健一は振り返る。水夜の顔は先程のようなふざけたものではなく、真剣な顔をしていた。


「もし貴様が秀治を殺す気なら、私には戦う理由になる。」


「‥‥‥安心しなよ。この騒動が終わったら、警察のお世話にでもなるさね。ただ、あんたに負けたあの子を避難させるだけさ。」


 そう言った健一は、手をひらひら振りながら、その場を後にした。残された大護達は、掴みどころのない健一に困惑するだけだった。







 地下を進んでいった竜次達は、今まで隠れていた大勢の謳歌師団の構成員と戦闘をしていた。乱射される銃弾を柱の後ろでやり過ごしながら、竜次は通路の反対側にいる冬馬に声を掛ける。


「どうやら、この先に何かありそうだな。」


「そうですね。どうします?突破しますか?」


「ああ。少し目を瞑っていろ。」


 竜次の言葉に従って冬馬が目を閉じたのを確認すると、竜次が右手に旧型の銃、左手に最新型の銃を構えると、そこに魔力を流す。そして、銃弾の雨が僅かに収まった隙に、身を隠していた柱の陰から身を出し、魔力の込められた銃弾を放つ。


「『光弾』。」


 詠唱とともに撃ち出された弾は眩いほどの光を放ちながら、構成員二人の肩を正確に打ち抜いた。他の構成員も攻撃された事には気付いたが、竜次の放った光で視界を遮られ、狙いを定める事が出来ない。その間も、竜次は銃弾を構成員の肩に撃ち込んでいき、構成員の視界が回復した時には、その場にいた全員が肩を押さえて銃を手放していた。


「さっすがは竜次さん!いつ見ても凄いですね!」


「そんな事を言ってないで、早く銃を凍らせておけ。」


 竜次は懐から煙草を取り出しながら、相手にまだ戦意があるかを確かめる。そして、全員銃を拾おうとしていないのを確認してから、煙草に火を付けるのだった。


「ふぅ‥‥‥ここ三日、水原がいたせいでろくに吸えなかったからな‥‥」


 ヘビースモーカーである竜次にとって、煙草の事にうるさい水夜との旅は、かなりの苦行であった。水夜の側で吸おうものなら、その煙草目掛けて炎をぶつけてくるのだ。更に、ようやく水夜と離れて一服できると思った矢先に先程の戦闘である。いい加減身体がニコチンを摂取しろとせがんでくるので、今回は少し強引な方法で戦闘を終わらせたのだった。


「竜次さん。銃を全部凍らせました。これで、先に進めますよ。」


「そうか。じゃあ、先を急ぐぞ。」


 せっかく久しぶりに吸う事の出来た煙草を、また水夜に炭にされては敵わないと、戦闘音が聞こえなくなった通路を振り返りながら、竜次は足早に地下を進んでいった。


 地下通路の先には、厳重な扉で施錠されていた部屋があった。木造で出来た他の扉と違い、ここだけは金属の扉で出来ており、この中に何かあるのは明白だった。


「さて。ここに何かがあるのは分かるが、どう開けたものかな。」


「水原に開けてもらいますか?あいつならこんな扉の一つや二つ‥」


「駄目だ。そんな魔法をこんな狭い通路で使われたら、俺達が逃げる前に教会が崩れ落ちてくる。‥‥‥‥仕方ない。下がってろ。」


「え?は、はい。分かりました。」


 冬馬は言われた通り下がるが、竜次が何をするのかが分からなかった。竜次は確かに強いが、それは対人戦闘におけるものだ。一撃の火力が水夜以上の者を、冬馬は見た事がない。それに比べて、竜次の魔力量は自分より少ない筈だ。つまり、物を壊す事においては、竜次はあまり優れていない。


 だが、竜次の行動を見て、冬馬は自分の認識の甘さを思い知らされる。


 竜次は自分の左手、最新型の銃、弾丸に魔力を集中させる。それは魔闘士、魔剣士、魔銃士の素質がなければ出来ない技術だ。まだ何もしていない内から冬馬は驚いていたが、この後、更に驚かされることになる。


竜次は準備が終わると、銃口を鍵穴に向けて引き金を引いた。


「合成魔法『閃光』。」


 魔力で強化された銃から放たれた弾丸は、普通に発射された時の二倍以上の速度で発射され、同じく魔力で強化された弾丸は、金属で出来た扉の強度に負ける事なく、勢いを殺さずに突き抜ける。更に、魔力で強化された竜次の手からは、いつも以上に反動を返してくる銃が手を離れる事はなかった。


 目を覆いたくなるほどの光と、耳を覆いたくなるほどの轟音の後、鍵穴は跡形もなく消え、そこにはただ穴があるだけだった。


「やはり手が痺れるな。まあ、いい。冬馬、行くぞ。」


「‥‥え?あっ、はい!」


 目の前で行われた光景に呆けていた冬馬は、竜次の声でようやく我に返り、扉を開けて部屋に入っていく竜次の後をついていく。


 冬馬は、今まで竜次が強いのは対人戦闘だけだと思っていたが、それは違っていた。前に噂で、竜次が今の地位に就いたのは、魔法が扱えるようになる前だと聞いた事もあった。体術のみで戦闘部隊のトップになり、その後に覚えた魔法も完璧に使いこなす。つまり、竜次は何においても強いのだ。


 それまで以上の憧れを胸に抱きながら、冬馬は竜次の後姿を見つめているのだった。 

 部屋の中は、扉と同様に木造ではなく、病院を思わせるような白のコンクリートの壁と天井だった。部屋の中央にはステンレスのテーブルが置いてあり、その上に何かの資料らしき大量の紙が、その表面を隠している。


 そして、何よりも目を引かれるのが、それを囲うようにして置かれている培養器だ。中には人間界や魔界に入る筈のない、特殊な生き物が入っている。


 『魔獣』。召喚士が人間界と魔界の、更に別の次元から召喚する生物。その多くの生態はまだ解明されておらず、召喚士が魔力を支払って使役している間を除いては、人間界にも魔界にも姿を見せない。


 そんな魔獣が、部屋中に置かれている培養器の中に、眠ったように入れられていた。


「ここで何か実験をしていたのか?」


「資料を見る限り、そうみたいですね。」


 召喚士が魔獣を召喚する際に浮かび上がる独特の紋章が書かれた紙が、机の上のほとんどを占めている。この事から考えるに、ここでは何かの研究がされている事になるのだが、二人とも魔科学に詳しくないため、何をしていたのかまでは分からない。


「ここの資料は何かの証拠になるかもしれない。冬馬、これを回収してくれ。」


「分かりました。」


 冬馬は白手袋をはめると、皺がつかないように袋の中に詰めていく。


 冬馬の作業が終わりかけた時、二人以外に人のいない筈の部屋で、聞き慣れない声がした。


「ほほ、もういらっしゃったか。」


「「っ!?」」


 気配を全く感じなかった二人は、反射的に声がする方へと顔を向ける。声の主は、もう腰も曲がってしまっている男の老人だった。老人は杖に体重を掛けて立ち、そうしているだけでも辛そうだ。


「誰だ?」


「あなた方こそ、誰ですか?私のテリトリーに侵入しておいて。」


 老人の言葉で、彼が謳歌師団の団長だと分かり、竜次は躊躇いなく引き金を引いた。竜次の放った弾丸は、寸分狂わず老人の両膝に向かった。だが、その弾丸は当たる事なく、後ろの培養器に弾かれてしまう。


「立体映像か‥‥」


「ほほ、勘が良いですな。申し遅れました。謳歌師団の団長、在原国重です。」


 これで、部屋にいても気配のない理由が分かった。そして、これ以上の攻撃は意味がないと、銃をホルスターに納める。


「そう、それでいいです。何も争いに来た訳ではないのでね。」


 二人が警戒を解いたのを見て、国重は機嫌良く笑う。そして、勿体ぶるようにゆっくりと言葉を続ける。


「あなた方が今回収している資料ですが、もう必要ないので捨ててもらっても構いません。」


「これは一体何の資料だ?」


 竜次の言葉に、国重は待っていましたと言わんばかりに口元を吊り上げる。


「ある魔獣を召喚したかったんですよ。謳歌師団を立ち上げて以来、ずっと夢見てきた実験です。それが昨晩、やっと終わりましてな‥」


「何っ!?一体何の実験をしてやがったんだ!」


 冬馬に話を途中で遮られて、国重は一瞬嫌そうに顔をしかめるが、すぐに元の歪んだ表情を浮かべる。


「今まで伝説とさえ言われ、その存在すら最近確認されたばかりの魔獣‥‥」


「まさか‥」


「ほほ、察しがいいですな。」


 竜次の驚愕の表情を嬉しそうに眺めながら、国重は天を仰ぐように両手を広げ、曲がっていた背筋を伸ばす。


「そう!『ドラゴン』です!」


 魔獣の強さは、一般的にはその体躯の大きさによる。普通の魔獣でも、体長はおよそ2メートル。大きいとされるものでも、およそ5メートルである。それに対して、ドラゴンは10メートルをゆうに超える大きさと言い伝えられていた。


 だが、その魔獣を召喚出来た召喚士は未だいない。魔界での研究が進み、存在している事が明らかになったのは最近である。言い伝え通りの骨格の化石が見つかったのだ。


 それ以来、数知れない召喚士が召喚に挑戦し、中には魔力の枯渇で死んだ魔族もいる。


「研究には苦労しました。名だたる召喚士を呼んで、召喚に使用した魔力と魔獣の強さの関係性などを研究し、ついにどれだけの魔力があればドラゴンを召喚できるかが分かった。あとは魔力の調達だけですが‥」


「人間であるお前には、そんな魔力はないと思うが?」


 人間と魔族では、持てる魔力量の最大値が違う。人間にとって、魔力は薬と一緒だ。適量あれば便利だが、度を過ぎると毒になる。魔族にも毒になる量はあるが、人間のそれに比べれば遥かに多い。


「そう、そこです!どれだけ魔力量に自信のあった魔族でも召喚出来なかったドラゴンを、人間の私がどうやって召喚するのか?これが最大の問題でした。しかし、解決策は簡単だったのです!」


 興奮したように捲し立てる国重が、竜次達には気が狂っているように見えた。ドラゴンに固執し、歪んだ情熱はますます加速していく。


「あなた方は、特定の魔具が魔力を溜めこむ事が出来るのを知っていますか?」


 魔具とは普通、魔力を込めた瞬間に、込められた分だけの効果を発揮する。だが、中には一度に消費する魔力が決められていて、込めた魔力の回数分だけ使う事が出来る魔具も存在する。


「たとえば、あなた方が通って来た彼岸の門の歪曲玉。あれも魔力を込めるだけで、その魔力が尽きるまで使用できる魔具の一つです。私の手元にも、それに似た性質の魔具があるんですよ。」


 国重の説明を聞いて、竜次達はようやく意図が分かってきた。長期間に渡って魔具に魔力を溜めれば、魔力の少ない人間でもドラゴンを召喚できるだろう。


 国重の意図が分かってからの竜次の判断は早かった。


「冬馬!急いで付近住民に避難指示を!俺は黒河達と合流して、在原の居場所を突き止める!」


「分かりました!こっちも避難が完了したら、そちらに合流します!」


「ほほ、もう遅いですよ。準備は整っているのですから。」


 国重の笑い声を最後に立体映像が切られ、竜次達が後にした部屋に沈黙だけが残された。

竜次を強くし過ぎた感が否めないですが、一人くらいこう言うのがいてもいいですよね‥?

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