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君の瞳に映りたい~恋と錬金術~  作者: 石月 主計


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【第10章】油断ならない弟子

──エリックは、自分の腕にそれなりの自信を持っていました。基礎は理解しているつもりだったし、アルダスの古臭いやり方に苛立ちすら覚えていました。効率よくこなせば、もっと早く仕上げられるはず──そう信じて疑いませんでした。


だからこそ、初めて調合を任されたとき、エリックは自分流の手順で薬を仕上げてしまったのです。


仕上がった薬は見た目も香りも問題はありません。けれども、客が顔に塗ると数秒後には赤黒く腫れ上がり、火ぶくれのように変色していきました。


「いったい何だ、これは!」


怒り心頭の客は、荒々しく椅子を蹴飛ばして立ち上がります。


「アルダス。弁償してもらうぞ!」


そう言い捨てて、店を後にしました。


アルダスはその場に崩れ落ちるように腰を下ろし、顔を両手で覆いました。


「……もう、この店はおしまいだ」


その言葉に、店内の空気が一気に冷え込みます。


エリックは、何がいけなかったのか、なぜこんなことになったのか。何も分からないまま呆然としていました。


『アルダスとダブラー:二人の錬金術師』第13章より

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