表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の瞳に映りたい~恋と錬金術~  作者: 石月 主計


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/69

第8章第4節

-4-


湊はアルダスの店の扉をゆっくりと開ける。慣れているはずなのに、いつもより重く感じた。カウンターの中にはアルダスとミレイユがいて、湊が入ってくるなり驚いた顔をした。そして、その後ろにダブラーがいるのに気づいて嫌そうな顔をする。


「あぁ、クォーク。もう大丈夫なのか?」


「はい。ご心配をおかけして申し訳ございません」


気まずい沈黙が流れる。それを切り裂くようにダブラーのぬめりのあるドスの効いた声が店中に響いた。


「クォークは俺が貰っていくぜ。おめぇさんたちは二人で仲良くやっていけばいいだろう」


余計なことを……と湊はダブラーを睨む。アルダスは俯きながら聞いていたが、顔を上げると


「それは困る……」


と言った。湊はハッとしてアルダスに目を向ける。


「クォークがいなくなって、初めて自分の無力さを思い知ったよ。客が言うのだ。クォークの作った薬が欲しいってね」


ああ、誰かには届いていたんだ。苦労が報われて、湊は胸の奥が熱くなるのを感じた。


「クォーク。私は意固地になっていたようだ。これからは調合を手伝って欲しい。だから、私の店にいてくれないか?」


湊の目から涙があふれてくる。断る理由などない。


「こちらこそ、よろしくお願いします」


といつもの癖で深々と頭を下げていた。


「あーあ、つまんねぇな」


ダブラーが面白くなさそうな声を上げる。グイッと湊を自分の方に向かせると


「だが、診療代は返してもらうぜ」


と舐めるような目つきで睨みつけた。湊の背筋に冷たいものが走る。


「でも、お金は……」


湊にそんな余裕はない。もちろん、アルダスもミレイユにも無かった。


「何も金で払えって言ってるんじゃねぇよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ