前へ目次 次へ 33/69 【第8章】報われなくても ――吟遊詩人はたて琴を奏でながら歌いました。 役に立ちたくて動かした手が、あの人の眉を曇らせました。 喜ばせたくて走った足が、自分を立てなくしていました。 それでも、あの人の「ありがとう」が聞きたくて、今日もまた手足を動かすのです。 「良い詩だ」 ダブラーは酒が入ったグラスを高く掲げ、クォークの肩を抱き寄せます。けれども、アルダスはその詩の良さが分からず、ただ戸惑うばかりでした。 『アルダスとダブラー:二人の錬金術師』第8章より