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【第4章】彼女(ライバル)
――アルダスと市場にやってきたミレイユは、積まれた薬草の中から最も高価なものに手を伸ばし
「これをくださいな」
と商人に向かってのたまいました。思わずアルダスは
「ちょ、ちょっと……」
とミレイユを制します。
「あら、どうしてですの?」
ミレイユは無邪気な子どものように不思議そうな顔をしました。
「こんな高価なものを買ったら、他の薬草を買えなくなってしまうじゃないか」
「あら、良い薬を作れば多くの人を助けられるでしょ?」
そんなことではないんだけどなぁ、とアルダスは額を押さえました。
『アルダスとダブラー:二人の錬金術師』第4章より




