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第六夜 夕焼けのチャイムが鳴り止まない
仕事に、ちょくちょく出るようになった。 やることは決まっている。
セメントを混ぜて、流して、固める。 ほうきで掃いて、片づけて、また次。
作業は、終わらない。
無言の現場。重たい空気。 だが皆、当たり前のように身体を動かしていた。
あるとき、気がついた。 その中に、辞めていったはずの人間が混じっていた。 名前はもう思い出せない。 けれど、確かに見た顔だった。
彼らもまた、何も言わず、同じ作業を繰り返していた。
夕焼けのチャイムが鳴っていた。
ずっと、鳴っていた。
時間が終わるはずの合図。 それなのに、鳴り止まない。
作業は続く。
また、セメントを混ぜて。 また、掃いて。
誰も疑問を口にしない。 それが一日のすべてであるかのように。
チャイムは、まだ鳴っていた。