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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

ある日突然に妖精が舞い降りた

作者: らすく
掲載日:2026/05/28

 ボクはどこにでもいる男子高校生。とくにこれと言った特技は無いし、外見も平凡・・・。とてもつまらない男だ。このボクは・・・。

 後ろ向きな性格もあり、彼女がいた時期なんてない。

 「野田くん。」

 「うわっ!?日高さん。」

 「これ今週中に提出だって。はい。」

 「う、うん。分かった。」

 僕にプリントを配ってくれた女の子は日高さんという。誰にでも分け隔てなく接する心優しい娘だ。

 つまりこんな出来た人格の女の子にしか、僕は関わることができないのだ。

 

 帰宅部の僕は、放課後には直ぐに家に帰っている。帰路で寄り道なんかしない。

 「ふう。」

 僕は小学生の頃から使用している学習机に座っていた。そしてとある異変に気づいたのだった。

 人形がある。

 何だろうか。僕はこんなものを持っていた覚えなはない。若い女の子の人形だ。とても可愛くて、おとぎ話の世界から飛び出してきたような服装だった。それにしてもリアル・・・。今にも動きだしそうだ。

 そしてそれは動いた。

 「うわっ!」

 勿論、僕は驚いた。


 「うふふ。」

 その人形は脚を組んで、消しゴムの上に腰かけていた。

 「な、なんだ・・・!」

 その非現実的な光景を、まだ僕は受け入れられなかった。

 「お兄さん。私を飼ってくれないかなあ。」

 極めてチャーミングな笑顔で、とんでもないことを彼女は述べたのである。

 そして勇気の無い僕は、その小人を居候させる羽目になってしまったのである。


 「はいはいー!」

 彼女は僕の学習机の上でダンスを踊っていた。どこで覚えたのだろうか、とても優雅な踊りなのであった。そんな彼女を見て、僕は幸せな気持ちになっていた。

 小人の女の子が来て1ヶ月になった。もう小人の女の子がいる生活が当たり前の状況になった。

 小人の女の子とのお喋りは面白かった。どうも彼女は小人の世界では身分が高く、いわゆる王女様らしい。気まぐれで家出をして、ここにたどり着いたのだという。

 もう彼女も作るつもりもなくなったし、結婚もしないと思う。

 気がつけば僕は、この小人の女の子を自分の大切な人と思うようになった。

 

 それから数日後。

 「最近の野田君、明るくなったね!」

 「えっ・・・?日高さん・・・。」

 日高さんはゴキゲンなのだ。

 「ま、まあね。」

 詳しい理由も言えるわけがない。

 それでも日高さんとの関係が良くなるのは、とても心地の良い事だ。

 僕の学校での生活は充実してきた。


 「ふう。」

 僕は疲れていた。

 何故なら一人になる時間がないからだ。

 ここに五月蠅い小人の女が居座っている。

 「ランラララン♪」

 コイツの鼻歌は本当に鬱陶しい・・・。

 「ねーえ!!」

 「なんだよ。」

 「新しい服が欲しいなあー!」

 「・・・・。」

 本当に面倒くさい小人の女だ・・・。僕は相槌を打つ気も失せてしまった。そんな僕の様子を見て、小人の女はキョトンとしていた。

 「どうしたのー?」

 「・・・。」

 「何か困ったことがあったの?」

 「・・・・ああ・・・。」

 「なになに!?教えて!!」

 小人の女は僕の頬に両手で触れてきた。

 「何すんだ!!」

 「きゃっ!!」

 僕は小人の女を突き飛ばした。簡単に小人の女の身体は吹っ飛び、鉛筆刷りに背中を打ち付け倒れ込んだのだった。

 「うう・・・。」

 小人の女はぐったりとしている。

 「苦しいか?」

 「うううう・・・。」

 小人の女の眼は涙で溢れていた。だがそんなものを見ても、僕の感情は動かされなかった。

 そして僕は拳を振り上げた。 

 

 ===== ぎゃっ!!!! =====

 

 本当に一瞬の事だった。衝動的に打ち込んだ僕の拳によって、小人の女は絶命した。恐らく内臓は破裂しているであろう。

 「うわっ!汚ない・・・・!」

 僕は自分の拳に着いた小人の血を、ウェットティッシュで拭き取った。そして小人の女の死骸にビニールを重ねて、ゴミ置き場に出した。

 不思議と僕は落ち着いていた。殺人という実感は無かった。それほど現実離れした状況、という事であろう。

 やっと部屋で一人に慣れた僕は、久しぶりにグッスリと眠りに就く事が出来たのだった。

 明日からは普通の生活が待っている・・・。

 

 ~~~~~ 以前の日常へと戻った ~~~~~

 日高さんと仲良くなった。まだ彼氏彼女の関係では無いけど、これで十分に楽しい。たとえ友達関係でも、やはりリアルな異性との付き合いが良いのだ。うん。あの小人の女は所詮人間ではない。

 僕は虫を殺したに過ぎない、と自分自身に言い聞かせた。

 やがて僕は小人の事など忘れて、日々の生活を楽しんだ。


 ある日の夜中。

 「う、うん・・・・。」

 体に痛みを感じたボクは、目を覚ました。

 「はっ!!」

 小さな灯りが僕の周りを照らしていた。

 武装をしている小人達に取り囲まれていた。しかも自分の身体は縄の様なもので、拘束されていた。

 一人の身分の高そうな若い男性の小人が、口を開いた。

 「・・・・お前が妹を殺した・・・・。王女であった妹は、家出をしていたのだ。お前が妹を大事にしていたので、私は見逃していたのだ。しかしそれは大きな間違いだった・・・。」

 その高貴な小人は、両手を握りしめて悔しがっている様子だった。涙が畳に落ちているのが、暗がりでもよくわかる。それは気の毒な光景だった。

 しかし次の瞬間、顔を上げた高貴な小人はギュッと僕の顔を睨みつけた。

 僕の高貴な小人に対する感情が、哀れみから恐怖へと変わった。

 「苦しんで、死ね・・・・!」

 何かが灯りに反射し、鋭い光を放った。

 「ぐあ・・・・!!」

 その瞬間、ボクは右目の視力を失った。

 ===== グッグッ =====

 小さなもので切り刻まれる。

 僕は・・・・恐らく肉片となった・・・・。

                          

                       ~ある日突然に妖精が舞い降りた~ <終>

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