3.スタートダッシュが肝心
前回までのあらすじ
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赤羽太一は、前の職場に別れを告げ、新たなステップへと踏み出そうとしていた。
「ううぅうぅん」
赤羽太一は、悩んでいた。
芸人になるとは言ったものの何をすればいいのか。一切分からないからだ。この歳から養成所?無理無理。
じゃあどうする?いきなり賞レース?それは厳しい…
やるとは言ったもののその道は果てしなく見えて、それでいて、数m先の道もハッキリしないような曖昧なものだった。
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数日後ー
「おぅ、にいちゃん!」
レトロな帽子、レトロなシャツ、レトロなズボンで山田二郎は言った。
この前会ったあと、連絡先を交換して、今日会うことにしたのだ。
「こんにちは」
一応挨拶されたから、俺も返すしかない。
「それで、話したいことって言うのは…?」
僕がそう言うと、おっさん、"山田二郎"は興奮しながら話し始めた。
「この前な、家の近くの商店街を歩いてたら、ある広告を見つけてな。お笑いのイベントさ。プロ経験のない、若手もしくは、未経験の新人が漫才で競い合うっていうイベントなんだ。これ、どう思う?」
「興味はありますけど…いつなんですか?」
「それがな…明後日なんだよ…」
「明後日!?無理ですよ!流石に出れません」
「え?さっき応募してきちゃったんだけど…」
ええええええ!?…このおっさんは何をやってるんだ。ううう、どうしよう…?
次回『覚えてもらう条件』