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平穏

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「……様…」

「…..タ様」

(なんだ?何か聞こえる…)

「…ルタ様」

(なんの声だ…)

「オルタ様!!」


「はっ!ここは…どこ?」


オルタは目が覚めると見慣れない場所にいた

「ようやく目覚めましたか…!眠りすぎてもう死んでしまわれたのかと…」

隣に座っていたアルカティアが安堵の表情を浮かべた

「失礼な…でも僕は何をしてたんだろう…思い出せない…」

「オルタ様はあの時アストラマス・シュタルヒンを討ち取り、そのまま倒れ込んでしまわれました。その後、奴らが撤退したのを見て我々が病棟に運び込みました」

「あの時って…うーん…よく思い出せないけど…アルカティア、僕は一体どれほど眠っていたのだ?」

「ざっと1ヶ月ほどかと」

「うん1ヶ月か………え?」

「本当に長い間眠られるので死んだのかと思いましたよ」

「どうりで覚えてないわけだ…ってそうじゃなくて、そんなに長い間眠ってたの?1ヶ月も?」

「はい、オルタ様は1ヶ月と12日眠られておりました」

「1ヶ月より長いのかよ!しかも!なんか損した気分…」

「しかしあの戦争はオルタ様のおかげで収まったのですから」

「そうなの?」

1ヶ月ほど前

反国家勢力の一員で指名手配されていたアストラマス・シュタルヒンが仕掛けた戦争にバナコスタ帝国軍は勝利した

アストラマスの他人に変身できる特殊魔法や強力な精神操作魔法により苦戦していたが、記憶の一部を取り戻し覚醒したオルタによりあっけなく散った

協力していた華蝶同盟代表で反国家組織黒鳳(クロアゲハ)の長のガノン・ハルトマンの撤退によりこの反乱は収まった

アストラマスを討ち取った時、激しい疲労と血を使いすぎたため、過労と貧血によりオルタはその場に倒れ、意識を失っていた

そんなオルタはアルカティアによって本陣に運ばれた

そしてガノンの撤退の知らせを聞き病棟へ運び込まれた

「私も直接見たわけではありませんし、オルタ様もお忘れになられているかと思いますが、私はオルタ様がアストラマスを討ち取りになられた時を見ておりました。弔いの言葉「サーリス」を唱えられ灰となって消えるアストラマスの前で凛々しくお立ちになられたオルタ様の姿を」

「そうなの?だけど覚えてないし…魔力も使っちゃて…今めっちゃ疲れてて…」バタッ

「オルタ様!?大丈夫ですか!?」

「アルカティア様、落ち着いてください。オルタ様はまた疲労によりお眠りになられただけです」

「はぁ…驚かせてくれますね…オルタ様…」

アルカティアはため息をつきそのまま病棟をあとにした

この1ヶ月の間国内は大きく変化していた

第四部隊の寝返り(アストラマスの精神操作によるもの)により陥落したプワープの砦は戦争前と相違ないほど修復されていた

町中で復興が進み、現在では国民が安心して生活できるほどには回復してきている

この戦争により数100名の兵士たちが犠牲になり、その中には今まで数々の功績を残した兵士もいた

また精神を操作されていたとはいえ敵方に寝返りプワープの砦を陥落させるなどの行為をした、第四部隊を率いる将軍、ショウ・タチバナは一度は将軍職の退任を命じられたものの、第二等将軍のアズアの説得により2ヶ月の謹慎処分に減刑された

「本当になんと感謝したら良いのか…」

「いやいやタチバナ殿は悪くないのに厳罰されるのは違う。タチバナ殿は今後、国を守っていくために必要な人材だからな」

ショウが謹慎されている部屋にアズアが尋ねた

「そんな…私が精神操作魔法で操られるほど気を抜いていたのが問題であるのに…」

「そう自分を責めなさるな。もう過去の出来事ではないか」

「そうですが…」

暗く沈んだショウの気分を上げるためアズアは話題を変えた

「私はタチバナ殿がこの国へやってきた時を鮮明に覚えておりますよ?」

「…え?」

「あれはもう20年も前か」

アズアは話し始めた

当時のアズアはまだ将軍ではなく第二部隊大尉として当時の将軍に仕えていた

ある時アズアが所属する第二部隊は神樂卿と戦争を繰り返していた

神樂卿は今の神樂國である

ある時、当時の神樂卿の領主だった烏丸氏に仕えた柊木氏が反乱を起こした

この反乱は驚くほど長引き結果として、バナコスタ帝国の介入により双方は和解

しかし和睦の条件を不服とした柊木氏は再び反乱を起こした

そんな戦火の最中、自分たちの身の危険を感じ他国へ亡命する人も少なくはなかった

ショウの家族もそんな中の1人であった

戦火を逃れてひたすら逃げた先で尋ねた場所がアズアのいるバナコスタ帝国国軍第二部隊の陣地だった

ショウは母親、妹と共に保護され、そのままバナコスタ帝国へ移住した

「そんなこともありましたね…懐かしいです」

「あの頃の神樂國はかなり荒れておりましたからね。タチバナ殿のお家も国ではかなり有力な豪族だったと聞きましたが?」

「はい。神樂國の中でも特に力を持っていた豪族の橘家に私は生まれました。私の曽祖父がその力を当時の将軍様に買われ、代々烏丸家に仕えておりました。しかし家臣であった柊木嘉(ひいらぎ よしみ)が謀反を起こし、その後長く続く戦乱へと発展してしまったのです」

「あの戦争はそんな経緯があったとは…タチバナ殿も大変な思いで我が国へ逃げてきたのでしょう…」

「はい、ですがこうやってバナコスタのために働けているのですからこれ以上ない幸せです。ただ…」

ショウは続けた

「やはり柊木の所業はまだ許せたものではありません。奴は神樂國を崩壊させた。そんなこと…許せるわけないです…!」

「タチバナ殿…」

ショウは行き場のない滞った感情をアズアに打ち明けた

「…すみません。せっかく私の気分を変えようとしてくれていたのに…」

「いや気にすることはない。それにタチバナ殿の覚悟や誠意がよく伝わった。それだけでも私は嬉しい」

「アズア殿…」

「話は変わりますが、オルタ殿が目覚められたようですよ」

「本当ですか…!オルタ殿にも本当に感謝しないと…」

一通り話した後、アズアはショウの部屋をあとにした


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

つづく

お久しぶりです〜!

今回のストーリーがひと段落ついたのでしばらくお休みさせていただきました〜

今回から第二章ということでストーリーが進んでいきます

今後ともよろしくお願いします!

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