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円卓会議

第2話です

よろしくお願いします

「サイカの毒を飲んだことにより脳の記憶処理機能にも影響が出てしまってますね…」

「そんな…せっかく目を覚ましたのに…」

「回復魔法とかでなんとかならないのか!」

「サイカの毒は魔力を吸い取る毒です。回復魔法を使っても魔力を吸い取られるだけです。しかも脳の記憶処理機能は回復魔法じゃどうしようもできません…アルカティア様、国王陛下、残念ですが…オルタ様は…」

「そんな…」

「うーん…思い出せない…」

この事実は瞬く間に国中に広がった

「号外!!号外!!!」

「サイカが宮廷に!?」

「被告人のオルタ様がサイカの毒を…!?」

「そんな…」

そんなサイカ宮廷持込事件は国中を巻き込んだ大騒動へとなっていった

ある人は怒り、ある人は悲しんだ

一方宮廷では犯人探しが続いていた

「この水は誰が用意した!」

「私たちではありません!私がここにきた時にはにはもうすでに準備されておりました」

宮廷の警護を担当していたバナコスタ国軍第三等将軍「ガルナ・メリオストロ」は聞き込みを続けていた

「ガルナ様。これを」

「これは…」

「あの時オルタ様がお飲みになられた水の入ったコップです。そのコップにオルタ様と別の人の指紋が見つかりました」

「なんだって?」

「はい。すでに部下たちは宮廷の召使、裁判官、検察官、弁護人、全員の指紋を調査したところ、現状どなたとも一致しておりません」

「なんだって!?なら宮廷の人間の犯行ではないと言うことか?」

「まだ全員を調べたわけではないですが、可能性としては高いかと」

「なるほど」

「それに、この水に混入されたサイカの成分を調べたところ、宮廷に落ちていたものと完全に一致いたしました」

「なに!?そんなのも調べられるのか!?」

「一概にサイカといえど、個体によって成分や性質が違います。今回のサイカはオルタ様が戦争で使用されたサイカとは異なる成分を持っておられました」

「検察官はそれを隠蔽していたのか…とんでもない証拠だったではないか…」

「はい、これでオルタ様の無実は確実かと」

「ありがとう。とにかく今は調査を続けてくれ」

「わかりました」

(これで大臣たちが唱える自殺説はないな…オルタ大丈夫なのか…)


国軍第三部隊はその後も宮廷の人々全員の指紋を調査した

国王陛下や貴族たちにも構わず調査した

しかし一致する指紋を持つ人物は現れなかった

「これはもしや敵国からのスパイの犯行なのではないのか」

「可能性は高いな」

「まだ国民を調査したわけではないが…」

「それにまだ敵国の犯行なのかもまだわかりませんし…」

宮廷の円卓にて臨時の国軍大将軍会議が行われた

5部隊からなる国軍のそれぞれの部隊を率いる将軍5名と国王陛下1名、計6名が円卓にて会議を行う

しかしオルタは療養中なのでオルタを除いた5名で執り行っている

「だが…今後はどうなる?オルタは今、サイカの毒の影響で記憶喪失だと聞いたぞ?」

第二等将軍「アズア・フローデン」が切り出す

「第一等将軍不在ではこのバナコスタ王国は終わりだ…一体どうすれば!」

第四等将軍「ショウ・タチバナ」が声を荒げる

「落ち着いてください!まだオルタさんが完全にダメになっちゃったと決まったわけでは…」

第五等将軍「クロエ・フローネ」がなだめる

「とはいえ、記憶のない人間を戦場に駆り出すわけにもいかない」

そして第三等将軍「ガルナ・メリオストロ」がつけたす

「皆、落ち着きたまえ」

ミリムがその場を収めた

「オルタの記憶喪失で不安が募るのは仕方のないことだ。だが、この程度のことでクヨクヨしているようじゃそなたたちもまずい」

ミリムの言葉に4人の将軍は一斉に言葉を慎む

「この騒動に乗じて敵国が今や今やと我が国土を狙っている。今こうして会議をしている間にも、敵国の奴らは戦争の準備を進めているかもしれない。そうなればオルタ不在でも其方たちは戦わなければならないのだ。第一等将軍のあの輝かしい成績を見て其方たちが憤りや妬みを覚えるのもわかる。しかしこの国を守る上でオルタに依存しているようじゃ、この先はまずいと私は考えておる」

「国王陛下…」

「こうなった今、我が国のあり方について改めて見直すいい機会になったと私は考える」

「なるほど…」

「しかし戦争を行い、我が国の威厳を保つというのは第一部隊の役割、そんな大事な役割を担う部隊の大将が不在ではやはり難しい部分があります」

「確かにそうだ、まだ目を覚ましたとはいえ記憶のないまま戦場へ駆り出すのは危険が多すぎる。かと言って大将不在で部隊をまとめ上げるのも難しい。こうなってしまった以上、オルタではなく新たな将軍を立たせるのが得策だ」

ショウとガルナはオルタに変わる新たな将軍を立たせることを提案した

「待ってください!そうなればオルタさんはどうなるんですか!将軍職を辞職してしまったら我が国の掟で命は無いんじゃ…」

「クロエ殿の言うとおりだ。あれだけの功績のあるオルタを我々の判断で辞職させ、命を絶たせてしまうのはもったいない。それに第一部隊の中にオルタに匹敵するほどの魔力、体力を持っている者はいない。仮にいたとしても今から将軍職の引き継ぎを行なっていたのでは時間がかかりすぎる」

アズアとクロエは新将軍立候補の案に反対した

バナコスタの5人の将軍は神との契約の上で将軍職を受けており、もし将軍職を存命のうちに辞職するなら、辞職してから1週間以内に生贄として自分の命を差し出さなければならないとされている

もし命を差し出さなければ、天災が起こると言い伝えられている

「うーん…確かにオルタの命も惜しいが…」

「だが、我が国を守らなければ意味はない。やはり新たな将軍を立たせるのが良い」

「いや、オルタを将軍のままにしておくのが良い」

(困ったなぁ…いつもなら多数決で決められるが…今回は綺麗に意見が分かれている…一体どうすれば…)

その時だった


ガチャッ


扉が突然開いた

「誰だ!」

みんな驚き声を荒げるが、入ってきた人物を見てさらに驚いた

「ここはどこ…?あれ?誰かいる?」

「オルタ!?」

「オルタさん!?」

「なぜここに?」

「今は療養室にいるのではなかったのか?」

療養中のはずのオルタがなぜか宮廷にいる

「トイレに行きたくて歩いてたら迷っちゃって…君たちは誰?なにをしてるの?」

「え?ええと…私たちはこの国の軍隊の将軍をやってる人たちで今は会議をしてるのよ」

「将軍って?」

「え!?ええと…みんなを守る仕事みたいなものかな…!」

「へ〜!すごいね!」

(あぁ…あんなふうになってしまって…あれでは少年どころか幼児ではないか…)

オルタの変わり果てた姿を見てアズアは頭を抱えた

「ねぇみんな?」

「どうしたのだ?」

「これからよろしくね!」

「…っ!?」

「かわいい…じゃなくて、オルタはまだ体は良くなってないからまだ病棟にいなきゃだめじゃよ?」

「はーい…」

ミリムがそういうとオルタは病棟へ戻って行った

(あんな純粋な若子を殺すなど絶対にできない…かといって戦場に繰り出すのも気が引ける…どうすれば…)

「国王陛下、私に案が」

悩むミリムにガルナが話しかけた

「なんじゃ?申してみよ」

「今のオルタの魔力と体力を測定してはいかがでしょう。記憶喪失ではあるものの、元はあの大将軍オルターニャ・ガルナドーラです。それなりに戦えるほどの魔力、体力は残ってるのではないでしょうか」

「確かにそうじゃな。ではオルタの魔力を測定しよう」

そう言うとミリムは病棟へ向かった



「というわけだからオルタの魔力を計らせてくれないか?」

「魔力?なにそれ?」

「え!?」

(まさかここまで記憶がないとは…)

ついてきていたガルナは驚きの表情を浮かべた

「とりあえずじっとしていてくれたらいいんだ。わかった?」

「うん…じゃあじっとしてるね…」

「では初めてくれ」

「はい!」

ガルナはシスターに頼むと、シスターは水晶を掲げオルタにかざした

「こ…これは!」

「どうだったのじゃ?」

「どうだったんだ!」

「12…です」

「え…」

「嘘だろ…」

あまりの低さに2人とも絶句する

「12とは…これじゃあ戦うどころか生きていくのすらも困難ではないか…」

「全盛期の100分の1…なんでこうなってしまったんだ…」

サイカの毒はオルタの魔力をほとんど吸い取ってしまっていた

「みんなどうしたの?」

「オルタ…そなたは今とても危ない状態だよ…」

「こんなことになるとは…」

「危ないって…何かあったの?」

「魔力が平均の5分の1。今こうやって喋っているのも不思議なほど…大丈夫なのか?」

「大丈夫なのかって…僕は今なんともないよ?」

「それが今後まずいことになるかもしれないよ…」

「大丈夫だよ!明日から本気出すから!」

みんなの心配をよそにオルタは深く問題にしていない様子だ

そんな様子のオルタを見て2人はさらに心配になっていった

「このままでは本当に将軍職を辞めなければいけないかもしれないですね…」

「でもそうなればオルタの命は…」

2人はますます不安になっていった

この魔力では戦場へ駆り出すどころか病棟から外へ出歩くことすら危険である

しかしこのまま戦場へ行かなければ神との契約を破棄することになり、命を差し出さなければならなくなる

そんな究極の板挟み状態にオルタは立たされていた

しかしそんな現実なんてつゆ知らず「明日から本気出すから〜」と呑気になっているオルタを見てミリムは不安になる一方であった

(このままでは命を差し出さなければならなくなる…さもなくばこの国は災厄が訪れてしまう…だがオルタの命は惜しい…どうすれば…)

その時ミリムはふととあることを思い出した

(そういえばー。これならオルタも前みたいに戦うことができるようになるはず…)

そう言うとミリムは使用人にとある人物を呼び出させた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

つづく

ししゃもっこです

第1話投稿からしばらく時間が経ってしまいました

夏の間かなりドタバタして忙しく、執筆する時間がなかなか取れずこんな時期になってしまいました…

申し訳ありません…

そんなこんなで第2話楽しんでいただけたでしょうか

第3話ではストーリーがさらに動きます

次回もお楽しみにしていてください!

最後に、誤字や脱字等ありましたらご報告よろしくお願いします!

お読みいただきありがとうございました!

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