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大将軍、ポンになる

新連載作品になります

ぜひお読みください!

(誤字脱字、そのほかわかりづらい点等ありましたらお教えください)


「第一部隊進軍せよ!!」

「今日こそバナコスタを制圧してやる…!」

「狙うはオルターニャ・ガルナドーラの首ただ一つ!!」

血の気が立った男たちが武器を片手に走っていく

呪文を詠唱する魔術師もいれば、素手一本で戦うオークもいる

ここは戦場

国と国の威厳をかけた争いが繰り広げられている

男たちは目の前にいる敵を目掛け一直線に向かっていく

殺気立つこの雰囲気の中1人落ち着いた表情を見せる男がいた

「伝令!アストロイア軍進軍を開始!我が陣目掛け突撃してきます!」

「オルタ様指揮を」


「いや、まだだ」


「いや…しかし…」

「まだまだ。焦った方が負けだ」

「は…はい…」

ウォアアアアアアアアアア…

「…」

ドドドドドドドドドドドド…

「……今だ!矢を放て!」

前衛部隊は一斉に矢を放った


「なんだ!グハッ!」

「ぐっ…矢か…この程度なら…魔力でなんとかな…」

「!?回復できない!」

「いやそれどころか力が抜けていく…」


「オルタ様これは一体…?」

「あの矢尻には月影石が使われている。さらにそこにサイカの毒を仕掛けている。直接当たらずともかすっただけで致命傷を負わす矢だ」

月影石は触れた者の魔力を触れている間無効化する性質があり、サイカの毒は触れた者の魔力、体力を吸収し最悪の場合死に至らしめる強力な毒である

「なんと用意周到な…」

「さぁ。どう出る?ローデウス」


彼の名はオルターニャ・ガルナドーラ

バナコスタ帝国軍の将軍職を代々世襲してきた名家「ガルナドーラ家」に生まれた

そんなガルナドーラ家でも数100年に一度と言われる魔力量を持ち戦いの才能も長けたまさに天才であった

年齢はまだ14歳と若いがこれまですでに6カ国と計数十回もの戦争を繰り返し全戦全勝、若くしてバナコスタ帝国軍第一等将軍の号を国王から承った


「くっ…オルターニャめ…」

「伝令!第一部隊全滅!奴らの使う矢には月影石にサイカの毒が使用されており、敵陣に近づくことすらできません!」

「ちっ…クソッ…」


敵国、アストロイア軍の指揮官「ローデウス・バルジ」は追い詰められていた

魔力の高い者を第一部隊に固め、相手の攻撃を受けつつ敵陣を突破する作戦は完全に打破された

「奴らが犠牲になってしまっては我々の兵力は4分の1…」

その時

「グワァ…!」

「ぎゃあああ…」

「なんだ!?何があった?」

「バナコスタ軍の爆裂魔法です!自陣の守りは崩壊いたしました!」

「くっ…舐め腐りあがって…!!ええい!全軍突撃だ!!私が直接指揮を取る!!」

「あぁ!ローデウス様お待ちください!」



「アストロイア軍、全軍突撃して参ります」

「ふっ…負けは見え透いてるのに、じゃあ最後だ」

「オルタ様?」

オルタは自陣の最前線に立った

「…フレア」

そう唱えるとオルタの手の上には小さな火の玉が出来上がった

「ハハハハハ!簡易火炎魔法のフレアか!そんなもので私たちを止められるとでも…」

オルタがその火の玉を放った瞬間、たちまち大きな火柱となった

「グワァああああああ…」

火柱は先頭のローデウスや後続の軍勢全てを飲み込んだ

「ばっ…バカな!簡易火炎魔法のフレアでこんな威力は…」

悶えるローデウスに近づく人影があった

「…オルタ!」

「魔力の高い奴らを前線に置く作戦は悪くなかった。だけど今回は僕の方が上手だったね」

「ちっ…クソガキがぁ!」

「…メタ」

「…!?」

バタッ…

精神魔法のメタを使用されたことにより完全に思考を止められたローデウスは何もできず、灰となっていった

「…サーリス」

焼け死んだ敵軍にオルタは弔いの言葉をかけた

「この戦争!我がバナコスタの勝利である!!」

「うぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

オルタは勝利宣言を行い、戦争は幕を閉じた


ーーーーーーーーーー宮廷にてーーーーーーーーー

「陛下。ただいま戻りました」

「うむ、ご苦労だった。よく戦い抜いてくれた」

バナコスタ国王「ミリム・マスカーリャ」が労う

「お褒めの言葉ありがとうございますが陛下…」

「ん?なんじゃ?」

「もう少し離れていただくことは…」

「やじゃ!せっかくかわいいオルターニャが帰ってきたのに何もできないのは寂しいぞ!」

「かわいいって言わないでください…!あとフルネームで呼ばないでください…恥ずかしいです…」

「きゃー!恥ずかしがってるオルターニャもかわいいな〜。ぎゅ〜ってしてもよいか?」

「言わないでくださいって言ってるじゃないですか!」

「ぎゅ〜は…?」

「まぁ…陛下がしたいのなら…」

「じゃあ遠慮なく!」

「わぁ!?く…苦しいです…陛下…」

「そう言わずに〜もっと可愛がられてほしいな〜」

「そんなぁ…」


戦場でのオルタはまさに冷酷でクールな部分が際立つが、戦場から帰るとその風貌は一変する

端正な顔立ち、低い身長、幼い見た目・年齢、声と言った要素から宮廷の女性(特に国王陛下)を魅了してきた

しかし本人はその扱いをあまり良く思っておらず、かわいいと言われるのはかなり心外なのだと

フルネームであるオルターニャも「言葉の響きがネコみたいでかわいらしくてやだ」という理由であまり好きじゃない

そのため宮廷の人や軍の兵士たちにはオルタという呼び方を定着させている


「ただいま…戻ったよ…」

「おかえりなさいませ、オルタ様」

自室に戻ると執事である「マルティン・ガルナドーラ」が出迎えた

オルタの叔父にあたり、先代のバナコスタ国軍第三部隊大尉であった人物である

退任した後はオルタの幼少期に教育係として働き、オルタが第一等将軍になると執事として仕えた

「今日も疲れたよ〜」

「お疲れ様でございます」

「ただでさえ戦って疲れてるのに、陛下の相手もしなきゃいけないし…疲れるよ…」

「はっはっは、陛下は年頃の子どもが大好きですからね」

「どうなの?僕ってかわいいのかな…」

「オルタ様はお綺麗な顔立ちをされておられますし年も若いです。そう思われても仕方のないのだと私も思います。どうぞいつものでございます」

「なんだよその言い方、まるで叔父さんまで僕をかわいいって言ってるみたいじゃん…あとありがとう」

「とにかくオルタ様はたくさんの人から愛される存在だということですよ」

「そうなのかなぁ…」

オルタはマルティンに準備された紅茶を飲んだ

「ちょっと!この紅茶甘くない!もっと牛乳と砂糖入れてきてよ!」

「かしこまりました」

そのとき

コンコン

「失礼致します」

「おー、これはこれはアルカティア様、何用でいらっしゃいましたか?」

国軍第一部隊の「アルカティア・スレイ」大尉がオルタを訪ねてきた

「どうしたんだ?アルカ、何かあったのか?」

「はい、それが…これが宮廷に落ちていたそうなのですが…」

「これは…」

「サイカ…でございますな」

「はい。これが宮廷の大回廊に落ちていたそうです。先の戦争でサイカの毒を使用したオルタ様が誤って落としてしまったのではないかとお疑いをかけられております」

「宮廷でのサイカの持ち込みは厳禁、それが大回廊なら尚更まずい事態になりますな…」

「ちょ…ちょっと待ってよ!僕は確かにサイカを使用した!だけどそれを持って宮廷になんて行ってない!」

「えぇ、私たちもそう信じております。ですがここ数日でサイカを取り扱ったのはオルタ様ただ1人なのです。いま宮廷警備員が捜査を行なっています」

「そんな…もし仮に僕が持ち込んだと決定づけられたら?」

「最終的な判断は国王陛下が行うのでなんとも言えませんが…可能性としては職権剥奪…最悪の場合投獄もあり得るかと」

「そんな!」


ーーーーーーーー国事裁判所にてーーーーーーーー

「これは大問題である!!触れた者の魔力と体力を奪うサイカの毒を宮廷に持ち込むなど言語道断!それが国王陛下のいる王宮の大回廊で見つかったのならそれはとんでもないことである!」

「そしてそのサイカを持ち込んだ人物がこの国の第一将軍であるとはまさに大問題だ!」

「意義あり!!まだオルターニャ将軍と決まったわけではない!!」


「静粛に!!」


裁判長が呼びかける

「次に被告人の証言に移る。ではオルターニャ被告前へ」

「はい…」

「あなたは先日の戦争にてサイカの毒を使用したと聞きましたがそれは事実ですね?」

「はい。確かにサイカの毒を使用しました」

「その時使用したサイカを誤って宮廷に持ち込んでしまったというのは事実でしょうか?」

「いいえ。断じてそれはありません。あの戦争の前には出撃前に国王陛下からの言葉をいただいた時以外には宮廷には行っていません。その時にはまだサイカを手に入れておらず、誤って落とすことはありません」

「なるほど…ですがサイカを直近で使用したのがオルタ将軍1人ということになっております。自分が覚えてないだけでサイカを入手した後に一度宮廷に入られたのでは?」

「それは…」

「意義あり!!国王陛下にお言葉をいただいたあと、オルタ将軍は戦地に出撃しておられる。宮廷に落とせるわけはない!」

「ですがそのお言葉をいただいた際にすでにサイカを入手していた場合は?まだ被告の言葉を信じるには早いのでは?」

「くっ…」

オルタは焦りを見せていた

冤罪で職権剥奪されてしまうのではないかと焦っていた

(落ち着くために水を飲もう…)

そう言って水を飲んだ

その時

「…!?グハッ…」

「なんだ!?どうした!?」

「オルタ様が突然血を吐いて倒れました!」

「さっき水を飲んで…」

「まさか…サイカの毒?」

「早く医療班を!」

(なんだこれ…力がどんどん抜けて…頭が真っ白に…)

オルタは医療班に運ばれながら気を失った


ーーーーーーーーーー1時間後ーーーーーーーーー

「オルタ様は?」

「まだ目を覚ましません…」

「容体は?」

「それが…あまり良くありません…」

「そうか…」

「はい…触れただけでも致命傷になるサイカの毒を飲んだのですから…助かる確率はかなり低いかと…」

「そんな…我が国軍はこれからどうすれば…」

そのとき

「オルターニャは!大丈夫なのか!?」

「国王陛下!それが…」

「まさか…そんな…」

「いま宮廷ではどのようなことを?」

「オルターニャの飲んだ水にサイカの毒を混入させた犯人を探しているところだ。だが大臣たちは職権剥奪を恐れたオルターニャが自ら飲んだと主張している」

「そうでございますか…」

「あぁ…オルターニャ…どうしてこんなことに…」

病室にいる人たちは悲しみの涙を浮かべた

その時だった

「うぅ…」

「オルタ様!?」

「オルターニャ!?」

「おぉ!お目覚めになられました!!」

ベッドに寝かされたオルタはむくっと起き上がった

「ここは…?」

「ここは宮廷の隣の病棟です。オルタ様はサイカの毒を飲まれて…」

「オルタ…?あなたたちは誰なの?」

「え?」

「僕は誰?なんでここにきたの?うぅ…思い出せない…」

「まさか…」


「「「記憶喪失!?」」」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

つづく

お読みいただきありがとうございます!

作者のししゃもっこと言います

この度、新連載作品「ポンコツ大将軍は明日から本気出す」を執筆させていただきました

最初制作していた作品がとある理由で打ち切らせてしまったので実質これが初連載になります

まだまだこれからストーリーは繰り広げられていくので今後ともよろしくお願いします!

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