6/62
閑話 暗躍する者
王城を取り囲むように建ち並ぶ高位貴族のとある屋敷。
そのプライベートな奥の間で、2人の貴族が密談をしていた。
「ほう?サーランドが死んだか?」
ソファーに座る赤いガウンを着た青年が首を傾けた。
「我々の事を話す前に自ら果てたようです」
向かい合うようにソファーに座る青年が笑って報告する。
「ふむ。貴族として名に恥じぬ死を遂げたのなら良かろう」
満足そうに頷くと、高級ワインを自分のグラスに並々と注ぐ。
「まだ王城には我々高位貴族の手の者が居ります。今は急がずに現状の維持をした方が良いかと……」
「ふん、ならば暫く様子見と行こう。見ておれよ……ゴールデンロア一族は王族直系のみではない。……必ずや我が一族が王位についてこの国を支配してくれるわ……ふふふ……ふはははは!!」
部下からの進言を聞き、屋敷の主である青年はグラスを持って窓辺に立つと、高らかに笑うのだった。