俺は一部始終を話し終えるのだった
明けましておめでとうございます。
今年も何卒宜しくお願い致します<(_ _*)>
あれは木の枝や根に呑み込まれて直ぐだったと思いますね。
……何なんだ!?この木は!?ハーランド一族にも感知出来ないなんて……新手の化け物か何かかよ!?
それより、早くルーベンス様を助けないと!!
必死に俺は頭を回転させ異空間から愛用の関節剣を取り出すと縦横無尽に木の根とかを斬り刻みました。
「ちいっ!!」
それでも後から再生して来て厄介だったので、俺は痺れを切らすと関節剣に魔力を纏わせる事にしたんです。
「ハーランド流暗剣術十の型、暗闘斬乱!!」
一気に闇魔法を纏わせたまま、ハーランド流の技を使って俺は木の根や枝をバラバラに斬り刻みました。
「ルーベンス様!!あっ……!!」
脱出できた俺は、ルーベンス様を捕らえている木の根に触ったんですが、熱くて思わず手を引っ込めてしまいました。
……今思うと、ルーベンス様が絶炎魔法を使った時だと思います。
取り敢えず、ルーベンス様から離れないように関節剣を構えていると、周囲から魔力の反応がありました。
「おらあっ!!」
大胆に木を真っ二つに斬って出てきたのがシリウス様。
「……ふう……やっと出られましたね……」
続けて闇炎魔法で木を灰にして出てきたのがクレイ様でした。
「あーもう!!木が鬱陶しかった!!」
木を刻んで出てきたのはヒイロで。
「酷い目に合いました……」
風魔法の指定範囲局地魔法で切り刻んで、木の塵と共に出てきたのがアクトでした。
アクトの周りの木々が木っ端微塵になっていて、何故か中心にいた筈の本人が無傷だったので……思わず俺とシリウス様、クレイ様やヒイロがガン見したのは言うまでもないですけどね……。
一際大きい木の根が、聖魔力を纏った剣技で次々と斬られ吹っ飛び、出てきたのがレミオ様とナツノでした。
「レミオ様、お怪我は大丈夫ですか?」
「いや、大丈夫だ」
ナツノは鞘に剣を納めると、慌てた様子でレミオ様に聞きましたが……
「いや、大丈夫だ。……それより……」
剣を構えたまま、レミオ様はナツノに答えると向かい側の木の根の塊を見据えていました。
4つの巨大な木の根に魔力を感じて、ナツノは再び剣を抜いて構え、クレイ様とアクトは魔力を高め始め、シリウス様とヒイロは剣の柄に手を掛けました。
俺はルーベンス様を守ろうと、関節剣の柄に手を掛けつつ感知魔法を広げたのです。
「……来るぞ」
レミオ様は探知魔法を展開しつつ、静かな声音で言われました。
その瞬間、木の根が木っ端微塵になったり、糸で細切れにされたり、双剣で斬り付けられたり、魔法で派手に吹き飛びました。
「……おや?これはこれは……」
最初に出てきたのはシャルラ。
「げっ……!?」
両刀のナイフを構えて目を細めたモリン。
「……あっちゃあ……」
頭に手を当て呆れた顔をするスオウ。
「あっ……えっと……」
刀を鞘に納めた途端、好戦的な様子から困った顔をするカロス。
「……王の秘剣五人衆……ふふ……まさかとは思いますが、貴方達はエリクレアを守るために動いているのですか?」
4人の戦闘装束に気付いたクレイ様が、目を細めて問い掛けました。
「……エリクレア様は我が王の姫君なんだ。例え、エリクレア様が罪人でも僕達は王の子を守るよ」
全く退かずにモリンが答えたのです。
「ならば……此処で貴殿方を消すしかないですね」
アクトも冷たい笑みを浮かべました。
あれ、レミオ様とナツノの立場は!?
一応、8人の中のリーダー的立場なんですが、モリンもアルカナディア王国の宰相ですし……クレイ様は次期宰相、アクトも次期宰相補佐……。
此処は頭脳同士の舌合戦だと思って呑み込みました。
「ならば……エリクレア様を捕まえる気なら……生まれたばかりのエリオット様も捕まえるって事か?アルカナディアと神獣王国の血を引く子だぞ?」
唐突にスオウが俺達に言葉を投げ掛けて来たのです。
「っ……それは……」
レミオ様は目を見開いた後に言い淀んでしまい……
……そうだ……エリクレア様が罪人ならエリオット様は罪人の子になる……!!
俺達も何も言えず動揺してしまいました。
「私達は何があってもエリクレア様とエリオット様を守ります」
「退けねぇよ。そんでもお前らがやり合おうってんなら……」
「俺達を倒してから進んでください」
「そうゆーこと。ガキ程度に舐められて貰っちゃ困るんだよ」
シャルラ、スオウ、カロス、モリンが魔力を放出して立ちはだかりました。
「……エリクレアは大罪人です。みすみす、その身柄を逃す訳には行きません」
「その通りです。此処で逃しては神獣王国が侮られます」
クレイ様とアクトも魔力を一気に高めて放出し……
「エリオットは例えエリクレアの子でも、俺達に取っては大事な甥っ子だ」
「あいつだけは何とかなるように、取り図るに決まってんだろうが!!」
レミオ様とシリウス様も魔力を放出されて……
「主の敵は誰であろうと斬る」
「……穏便に済むことを願っていたけど……主を馬鹿にされて怒らないとか有り得ないよね」
ナツノは静かに殺気と共に魔力を放ち、ヒイロは怒りと共に魔力を放出して……
「俺はルーベンス様の魔力と気配に気付いて振り返ったら、丁度ルーベンス様が出て来られたと言う訳です」
苦笑して俺はルーベンス様に一部始終を話し終えるのだった。
アニマルミニ劇場。
俺は溜め息を着くと、小人に話し掛ける。
「うきゅ、うきょきょ。うーきゅうーきゃきゃ」
……確かチビエマ族だからこのチビエマ語だった筈。
『安心しろ、害意なんてない。お前を助けてやる』
俺はチビエマ語の恥ずかしさに耐えつつ、何とか小人に語り掛けた。
「本当うきゃか?」
おっ、小人から反応が返ってきたな。
「あぁ、ちょっと待ってろ」
俺は小人を傷付けないように、絵画を取り外して小人を掴み助け出す。
ってか、この小人話せるじゃねえか。チビエマ語言ってちょっと損したぜ。
俺達ハーランド一族の直系で能力が高い奴は、表向き外務官として働いているし裏では諜報部隊としての顔も両立してるからな。
チビエマ語以外に他の言語も話せる。
外務官、侍従、侍女、商人。
ハーランド一族は沢山の顔を持っているんだ。
いや、他の一族もだな。
俺は小人を手に乗せ、取り敢えず傷の手当てをするために自分の部屋へと向かうのだった。




