それでも……俺は抗いたい
『……え?……皇帝が死んでない……?』
翌日、父の私室に呼び出された私は、父から聞いて何を言われたか理解することが出来なかった。
『あの皇帝こそ、神話の時代に邪神を倒した英雄達を裏切って騙し討ちにしたダークエルフだ。肉体を失った所で完全に死ぬ筈がない。ヴィクセル、お前も見た筈だ。皇帝の身体から黒いモヤが出て部下の身体に入るのを……。そう遠くない内に何か仕掛けてくると俺は考えている』
父は私にそう言うと、何か確信があるのか、思い詰めた顔をした。
『……父上にも見えていたのですか?あの黒いモヤは一体……』
『今のお前に話しても理解できないかもしれないが……皇帝は英雄を殺した時に邪神に魅入られたと……神獣王国に伝わっているんだ。そして……英雄の仲間によって飛ばされ生き残った我々の先祖神獣王国の大王は自らの命や魔力を代価に英雄達が神獣王国で転生できるように禁術を使ったと伝えられている』
『待って下さい……それでは……』
父の言葉を聞いて俺は思わず青ざめる。
『邪神を倒せるのは英雄の生まれ変わりしか出来ない。再び、邪神の力が大きくなった時、世界に災いが起きる』
『っ……』
父の言葉で頭が真っ白になったのを私は今でも覚えている。
生まれ変わりについて、既に心当たりがあったからだ。
代われる者なら親である私が代わってやりたい。
……ましてや、この聖木属性から感じる魔力は生まれたばかりの可愛い孫の魔力だ。
昼間、見た空を貫くかのような聖属性の光の柱を見て、喜びより先に胸が苦しくなり辛くなった程だ。
幼い孫や、まだ若い息子達に背負わせてしまう運命に、私は押し潰されそうになってしまった。
けれど、私は抗いたい。
……このまま……運命とやらに、大事な家族を奪われてなるものかと……!!
ミニアニマル劇場①
取材している小人が御送りします。
「神獣王国の王城の使用人。皆四大公爵家の一族だよ。まぁ、ハーランド一族は平民にされたけどね。ハーランド一族は主に侍従や侍女をしているよ」
ルーベンスは得意気に語ると、私室から廊下に出る。
侍女や侍従が、素早い動きで掃除をしていた。
侍女達が足音無しに高速で掃き掃除をしてから、高速で今度は雑巾掛けをする。
侍従は、身軽な動きで窓拭きをしたり、シャンデリアに一瞬で跳び移り、メンテナンスをしてからササッと拭く。
「上級と下級も含め、全ての侍従や侍女がハーランド一族だからね。下級の場合は掃除やメンテナンスがほとんどだけど、上級になると執務の補佐は勿論、諜報部隊として護衛や偵察も出来るよ。まぁ、下級も皆諜報部隊所属だけどね」
その時、小人の真後ろに黒いカサカサしたアイツが!!
「っ!!」
近くの侍女の目が鋭くなると、太もものガーターに挟んで隠していたナイフを投げる。
「ギチッ!!」
見事、黒いアイツにナイフが命中して突き刺さった。
……ハーランド一族怖いうきゃ!!
小人、戦々恐々に!!
おしまい




