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アニマル天国~転生した最強王子は我が道を突き進む~  作者: 玉白美琴
第一章僕の選ぶ道。
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閑話ハウザーを泣かす奴は許さないわ

王城に務める侍従や侍女が慌ただしく走り回る中、1人の下級侍従は他の者とは違う方向に向かって居た。


その様子を1匹の梟が追い掛け、下級侍従が人目の無い噴水に来ると、気付かれないように木の影へと隠れる梟。


波紋が広がり、揺らぐ水面が落ち着くと、梟はある人物を見て目を細めた。




王城から少し離れた貴族街の一角に、内務省に多くの一族を入れ他の3人より頭が1つ抜きん出たデコモンドコ公爵家の1つ、モンドコ伯爵家の屋敷がある。


豪華な調度品や宝石に囲まれた生活を送る1人の女性と、彼女な忠実に従う8人の青年達の姿があった。


私はモンドコ伯爵家の女当主ベトラード・モンドコ。


私が望んだ者は何でも手に入るの。


多くの男が私をベトラー様と呼び敬愛し、私は何をしても許される。


水晶に城へ潜入しているランから連絡が入ったわ。


『やはりベトラー様の予想通りでした。10年前に死んだ筈の王族や公爵、アルカナディアの国王や側近も生きてます。何かトラブルがあったのか、アルカナディアと神獣王国で交戦するようです』


「ふふ、別宮で日の当たらない仕事をしている3公爵やその一族では分からない情報ね。苦労して貴方を平民に扮して王城に入れた甲斐があったわ。……この気を逃さずに、双方が消耗している所を各個仕留める気でぶつかりなさい」


私は赤ワインの入ったグラスを傾け、香りを楽しみながら命じる。


「「「御意」」」


私の言葉に下僕達は返事をした。


「……くそな帝国に貴方達を送り込んで私はアルカナディア王国にも繋がる手掛かりを掴んだんだもの。……今ここで両国に殺し合いをさせちゃ駄目よ。それに……誰か1人でも死ねばあのお人好しが悲しむ」


私の脳裏にはいつだってたった1人の男の顔が浮かぶ。


「生きて捕まえて、10年間何があったのか問い詰めるの!!勿論、私も行くわ!!」


ビシッと私は指を指して高らかに言い切る。


『ベードは凄いな。俺もまだまだ負けていられないよ』


10年前のあの日の前日。


私の魔法を見てハウザーは笑っていた。


『ふっ……ふんっ!!ハウザーもこのくらい、直ぐに出来るようになるわよ!!』


照れて恥ずかしくなりながら、自分の放った魔法を空に放った私はハウザーに素直になれなかった。


あの当時は幼馴染みからハウザーを好きだと気付いて、私も混乱していたからかも知れない。


またいつでも会える。


軽くそう思った私が間違いだったの。


なのに…翌日。


王宮で事件が起きて訳が分からないまま、ハウザーは王太子となって隣国の姫だったエリクレアと結婚した。


婚約もすっ飛ばした結婚だったから、私は荒れに荒れたわ。


やっと落ち着いて私は、王都で行われたハウザーとエリクレアの結婚パレードを見た。


あの泣き虫でお人好しだったハウザーが、私も見たこと無い笑顔をエリクレアに見せているのを見て胸が苦しくなった。


そりゃムカッとしたけど、ハウザーが……あんたが幸せならそれで良いと思った。


その時はそれで諦めが着いたと思ってたのに……。


当時伯爵だったパパに頼んでアルカナディアと、カイザー帝国の事を調べて貰って気付いた。


4代公爵を追い落とした高位貴族を怪しいと判断した私は、パパに無理を言って強引に新参の4代公爵家の一角に入って貰ったの。


そのまま私は未婚のまま、モンドコ伯爵の女当主になって下僕に帝国を調べさせた。


帝国とアルカナディアのアロウ国王代理の繋がり、エリクレアの馬鹿な考えに私は頭に来たわ。


「ハウザーは……ゲームみたいな可哀想な奴じゃない。此処はゲームじゃなくて現実なのよ。……あのくそ女……ハウザーを泣かせたら許さないんだから!!」


私は叫ぶと、王城の方角を睨み付ける。


私と同じ転生者らしき女、エリクレア。


あんたを私は許さないわ!!


私の望みはハウザーの笑顔だから……その為に私は動く!!


「ランは引き続きエリオット様を探して見付け次第保護しなさい!!」


『承知しました』


私の命令にランは答えると、ランは返事をして水晶から消えた。


「いざ!!王城へ!!」


「「「「はっ!!」」」」


私の気合い入った号令に下僕達は返事をすると、馬車を使わずに屋敷を出て王城へと急いだ。



「……さてと、エリオット様を探すか」


ランは気付かなかったが、梟は全てを見届けると、直ぐ様飛び立ち主の元へと向かう。


玉座の間の扉前に居た1人の青年の右肩に止まると、梟は羽根を休める。


「アーチェス義兄上、モンドコ伯爵が動きました」


梟が人語を話して報告する。


「やれやれ……あのお転婆には困った者ですね」


肩を竦めた青年は溜め息をつくと困り果てる。


「三つ巴ですね……」


青年は月を見詰め息をするようにポツリと呟く。


今日の月は赤い満月だった。

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