大体、僕は誰かに指図されるのが嫌なんだ
肩まで長くなった赤紫色の髪を後ろへと長し、僕は不愉快さを顔に出してエリクレアを見据える。
「マーシャの持っていたナイフは、本物みたいにリアルだったけど、良く見たら柔らかな素材で作られた玩具のナイフだったよ。……僕はメイゼスト達を捕まえて直ぐ、君に何度も言った筈だ。彼等の処分は僕に任せて欲しいとね。けれど……メイゼストは自害してしまい、他の家族はハウザーと君や、父上と君の父親に委ねられてしまって今に至るわけだけど……。
分かっていて君は……僕の臣下を処分したいと言うんだね?」
事実や此処までの状況を話し、僕はエリクレアに殺気を放つ。
「っ……子を成したことのないルーベンス義理兄様には分かりません!!どんな訳があろうと、子を狙われた苦しみなど分かる筈がない!!この国の王妃は私だ!!第三王子の貴方より私の方が身分も上だ!!私の命令に従って貰う!!」
エリクレアは怒りに任せてこの僕に言い返して命令する。
「っ!?エリクレア!?ルーベンス兄上に何て口の聞き方を!?」
あぁ、……ハウザーは気付いたけどもう遅い。
「大体、僕は誰かに指図されるのが嫌なんだ」
要らないものは義理妹であっても処分しなくちゃね。
エリクレアに僕は感情を無くした顔で淡々と言うと、内心そう思いながら右手を彼女に翳した。
その瞬間、僕の右手から黒い焔が出現して彼女に襲い掛かる。
「っ!!ルーベンス兄上!!」
「っ!!」
咄嗟にハウザーがエリクレアを庇って前に出た。
「やり過ぎだ!!この馬鹿」
僕の焔はクレイ兄さんの闇魔法で無力化されてしまう。
「ルーベンス!!ハウザーとエリクレアを殺す気か!?」
「この馬鹿者!!」
「いでっ!!」
シリウス兄さんと、レミオ兄さんの拳骨を喰らって僕は痛みに悶えるのだった。