エリオットの意志を無視できない
取り敢えず俺達は空間から服を取り出して着る。
俺は近衛騎士団長の白い軍服、シリウスは騎士団長の灰色の軍服、クレイは魔術師団長の紫色のローブ、ルーベンスは諜報部隊長の黒い身軽な軽装に、それぞれに着替えた。
あっ、クレイはエリオットを抱っこしてるからローブを羽織っただけか。
アーチェス達もそれぞれ服を着て見苦しかった場を整え終える。
「エリオットがメイゼストを生き返らせるのに、聖魔法を放出して死に掛けた」
邪魔な長い金色の髪を後ろ手でリボンで縛りながら、俺はハウザーに答える。
「なっ……!?」
「っ!?」
ハウザーは青ざめ、エリクレアはクレイが抱っこするエリオットを見詰め泣きそうな顔をする。
「今はクレイとアーチェスを中心に聖魔法で助けたから大丈夫だぞ」
リボンで一つに髪を纏めると、俺はハウザーに振り返る。
赤いリボンしか持ち合わせが無かったから、次はクレイ見たいにゴムを異空間にストックしておくか。
そんなことを思いながらも、俺は二人の次の言葉を待つ。
「けれどレミオ義理兄様、王家に仇なしたハウザー一族を処分しなくては示しが尽きません。例えエリオットがメイゼストを助けたとしてもです」
エリクレアは俺に迷いなく進言する。
「……お前の気持ちは分からなくもないが……メイゼストを助けたのはエリオットだ。今日一日、エリオットと追いかけっこをしていて分かった。エリオットは自我もあるし、俺達の言葉も理解している。俺達もエリオットの意志を無視できない。……それでもまだ言うつもりか?」
前髪を少し掻き上げ、不愉快そうにエリクレアを俺は睨みながら問う。
「っ……!!」
俺に言われ、エリクレアは僅かに怯んだ。
「……それにさ、元々ハーランド一族は僕の臣下なんだ。エリクレア、君はいつから僕より偉くなったの?……あぁ、それとも王妃になったから勘違いしてるのかな?」
まずい、ルーベンスの地雷をエリクレアが踏み抜いた!!
殺気を放ちながらルーベンスが笑いながらエリクレアに言っている!!